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新・東海道五十三次 目まいのする散歩

 このところ武田泰淳がちょうど良く読める。「貴族の階段」を短時間で読了できたのがきっかけでしたか。「士魂商才」も面白かった。「ひかりごけ」は團伊玖磨さんのオペラを聴いてみたくて探しています。今のところ劇団四季の舞台化まで留まり。いずれ「富士」にはと思いますがまだ歯がたちません。「快楽」も。
 今や奥様の武田百合子さんの方がむしろ大人気みたい。確かに「富士日記」など魅了されますね。書店の文庫本コーナーで泰淳はなくとも百合子はあるって事あるある。タイトルに挙げたような泰淳の特にエッセイには奥様ネタが大部を占めているので、それとの共鳴もあって余計面白く感じます。
 大作「富士」を書き上げた後の大病とその後遺症から、以降口述筆記で奥様が書きとめていたと聞く。「新・東海道五十三次」での饒舌と「目まいのする散歩」のより端的な言葉の違いにはその作用が大きいのでは。もっと踏み込むと、前者では引用として奥様の日記が作品に取り込まれていましたが、後者では奥様の文体が混淆、あるいは侵食してるとすら思える。共作ですね。

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