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【#3】Gが出た ~害虫やイモリや蜂など、入ってくるもの。なんならコウモリも~【地方☆ビジホへおいでませ】

注意

【今回、気持ち悪い話をします。害虫や害獣です。無理無理無理!という方は各自退避してください。】

前回の記事


Gが出ました

 出るんですよね。G。いわゆる『G』。害虫のアレ。
 カサカサしたりぶわっと飛んだりするアレ。
 びっくりします。

(直接書きたくないのでせりふ内でも『G』と書きますが、アレのことです。「ジー」とは実際は言ってません)

食事まわりの説明

 ビジネスホテルなので通常、朝食が付きます。夕食が付くホテルもあります。
 うちでは素泊まり(お食事なし)、夕食付き、朝食付き、2食付き、という4タイプを予約時に選択していただきます。朝食はチェックイン時でも大丈夫です。
 料金は素泊まり料金+お食事料金、という風になります。
 1泊4,500円のお部屋なら、それにプラスして夕食800~1,000円、朝食600円、合計5,900~6,100円といったお会計です。

 夕食はその日のチェックインや連泊帰りなどで召し上がる形なので、食材の買い出しや業者配達、16~17時頃に調理開始する等の都合上、お昼頃までに予約がなければ通常はキャンセルとなります。

 食堂と厨房、食品保管庫(パントリー)は害虫駆除業者が定期的に入っています。

本題

「あのー、すんません。なんか今、部屋にGっぽいのがいるんですけど、殺虫剤貸してもらえますか」

 私は夜勤スタッフではなかったのでこれは伝聞と想像と脚色です。
 数日前にお夕食後にお部屋に戻ったお客様からこのような内線通話が入りました。

「かしこまりました、207号室のB様ですね。ただいまお持ちします」

 常勤フロントの佐藤さん(男性・20代)がフロント室の棚から害虫駆除スプレーを2本取り出して、フロントカウンターに『すぐに戻りますのでお待ちください』というプレートを出し、207号室へ向かいます。
 昼間は事務や経理や庶務のスタッフがいますが、夜はフロントスタッフのみとなります。宿直です。

  207号室の付近で廊下をチェック、Gは見当たりませんが念のためスプレーをカーペット敷きの廊下へ向けて一吹き。
 ドアをノックし、
「お待たせしました。一旦こちらからドアの隙間へスプレーいたします」
と、カーペットとドアの3~5ミリほどの隙間へ、シューッ。

「ありがと、ドア開けますね」
 お客様がドアの向こうから顔を出して2本のスプレーを受け取られます。
「テレビの向こう側かベッドの下かわかんないけど、どっか行ったぽいんだけどまだ部屋の中かもしれないから一応スプレーしときたくて」
「そうでしたか、お休みのところ大変申し訳ございません。害虫に関しては当館でも特に気を使ってはいるのですが……」
「ですよね。でもさあGってどこからでも入ってくるからね~。ここ3階でしょ、そんなにいないよねえ」

 当館は4階建てで、1回がフロントや食堂、スタッフルーム、大浴場等、2~4階が客室階となっています。207号室は3階です。

「とりあえずこれ貸してもらってていいです?」
「はい、朝はそのまま置いておいていただければ、清掃スタッフが回収いたします」
「わっかりました、じゃあどうも!」

 地方の安ビジホということもあるかもしれませんが、お客様もそこまでクレーム!苦情!という言動はなさらない方がほとんどです。
 この日もこんな風に済んで特にクレームにはならなかったそうです(報告はします。日報があります)。
「この間、食堂と厨房と食品保管庫を大掃除したじゃないですか。あれですかね……」
 佐藤さんがそう言うので私も、
「あー、そうかもですね。何でしたっけ、一軒家でも隣の家が引っ越しして出ていくとネズミ的な何かがその別の隣の家へ行くとかいいますよね……」
と、うっかり要らないことを言ったりしていました。

 文字にすると余計気持ち悪いですね。

 その207号室では、翌日の清掃スタッフがGの死骸を部屋の隅っこで見つけたと、そのスタッフ本人が言っていました。なんまんだぶ。

『郊外』も『田舎』も言い訳にならないけれど

「よみじさーん、そこにまだ蜂に使えるスプレーありますっけ?」
 今日のフロントは伊藤さんです。フロントは通常、休憩食事仮眠有りの24時間勤務です。
 先ほどのGの話の時の佐藤さんは昨日(昨夜)も宿直でしたが今朝のチェックアウト作業後に定時で退勤しました。

「ありますよ、こないだ加藤さんが買ってきてました」
 棚から新品の対蜂スプレーを出して渡しました。
「どうもです、なんか今、103号室のテレビの具合が悪いみたいで様子見てきたら、清掃さんが『蜂がいるみたいで怖い』って言ってて」
「え、スズメバチとかだったら大変ですけど、大丈夫そうです?」
「スズメバチじゃないっぽいんですけど一応何部屋か見てくるんで、フロントすんませんが」
「わかりました、電話番してますね」

 上の階に戻った伊藤さんが清掃中のスタッフに確認すると3人くらいが「アシナガバチがいた、刺さないだろうけど客室が近いから」と報告してくれたので、彼は目撃した付近の3部屋くらいのそれぞれの窓まわりを確認したら数匹がばらばらに飛んでいたので、スプレーをかけて窓を閉めました。

「今晩あの部屋あたりのお客さんには注意喚起した方がいいっすよね」
「と思います。まあ皆さんエアコン使ってて窓開けないでしょうけど、わかんないですもんね」
「っすよね~」

 特に春から夏あたりはわりとこういった害虫や、害虫まではいかないけれどハチとかもし刺されたら怖いなって思っちゃうような虫も出ます。
 地方都市の、田園地帯ではないけれどとても都会ではない地方都市の、ビジネスホテルです。
 わりと、出ます。

蚊と、最近あまり見ないけどハエ

 特に夏場は出ますが、もしお部屋に入ってきてしまったらフロントで害虫駆除スプレーをお貸しできます。蚊取りマットや蚊取り線香の用意のあるホテルもあります。
 旅行や出張時に虫よけスプレーや虫よけバーム等をお持ちください。アウトドアレジャーを楽しまなくても、ホテルの部屋にも出ます。

ヤモリやカナヘビやイモリ

 これらもたまに出ます。入ってきます。かわいいです。かじったり刺したりしません。
 見つけたらそっと手に包むか、ホウキなどに乗せて玄関から出します。近くに茂みがあるのでそのあたりに棲んでいる気がします。

クモ

 清掃スタッフが普通に清掃をしているので、ほぼほぼ出ませんし、多分、ホテル内の人間から見えるところには棲んでいないと思います。
 一歩出たらわかりませんが、ホテルなのでまあまあ外観も気を使って管理していますから、クモの巣があれば撤去します。

 たまに事務作業中に小さいクモが天井から私の目の前に降りてきたりしますが、かわいいのでそのまま手に取って外へ逃がします。
 私は別に逃がさなくてもいいのですが、他のスタッフに見つかったらスプレーされちゃう気がします。

コウモリ

 客室階に入っていた清掃スタッフさんが、お昼休みが終わって10分もしないうちにフロントへ降りてきて、
「ちょっと今日のフロント誰、加藤さん? 廊下にコウモリみたいの落ちてるんだけど!」
と言っているのが、奥でPC作業をしていた私にも聞こえました。

 今度はコウモリか……。
 いるよね。この辺りは古めの建物や家があるし農地や川原もあるし、まあ、いるよね。

「はあ!? 落ちてるんですか?」
「動かないみたいなんだけど、あれバイキンすごいっていうから皆近寄りたくないし」(※ホテルの客室の清掃スタッフです。お客様の私物も触ります)
「わかりました、ちょっと見にいきます」「よみじさーん」
「はい、電話番してるんで、行ってあげてくださーい」
「すぐ戻るんでよろしくです!」

 15~20分後くらいに加藤さんはフロントに戻ってきました。
「いました?」
「いました」
 流しで石鹸で手首あたりまで擦り洗いをしながら、
「廊下にちっちゃいコウモリいて、飛ばないんですけど生きてたんですよね。それなんで非常階段から裏に降りて、すぐそこの川原に置いてきました」
 15分てそれですか。
「あー、それはお疲れ様でした」
「一応ポリ袋二重にして段ボール使ったし直接触ってないし外の水道でも手洗いしたけど、アルコール消毒もしとこうかな……」
 言いながら加藤さんはそりゃもうごしごし手と手首を洗ってました。
 赤くなってますよ。

「清掃さんたちには落ちてたあたりや周囲をアルコール消毒お願いしたけど、あれで大丈夫かな」
 私が退勤してから外出から帰ってきたマネージャーに報告したみたいなので、加藤さんの対応(周囲のアルコール消毒)がまずければマネージャーから指示が出たと思います。

 その後もそれが原因と思われる被害はなかったようなのでよかったです。

まとめ

 宿泊先のロビーや廊下、大浴場や客室などに害虫や害獣やなんかこわい虫とかなんかよくわかんないトカゲとか出ても、慌てずにフロントに内線するなり飛び込むなりしてください。
 普通の宿泊施設は不潔にしてません。
 でも建物の性質上、窓も正面入り口も非常口も裏口もと、出入りできるところが多いのでどこからか入ってきてしまいますし、昼間の清掃中は外出中の客室やリネン室などのドアを開放しているので部屋Aから出て行っても部屋Bへ入ってしまうということもあります。
 網戸があってもお客様が網戸ごと窓を全開にすることもあります。

 夜中でも早朝でもフロントに通報してもらえればスタッフがちゃんと対応します。客室に空きがあれば変更もできますし、どうしても気持ち悪ければ別のホテルを紹介します。
 必要なら行政の衛生系部署や保健所等に報告して指示を仰ぎますし、専門業者に駆除と消毒を依頼します。

次回予告

#4『宿泊害虫も出た』

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