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母の日 と 鍋セット

散歩に出た、いつもと同じ、
お花屋さんの前を通る。

いつもと違う、メンズの姿が多い。
お父さんと小さな女の子、
お父さんと高校生くらいの男の子

そっか!

今日は、母の日だ。

母が亡くなって、数年は
この日がすごく苦手だった。

もうこの世に"母がいない"ってことを
思い知らされる日だから…

キリキリと胸の奥が痛んだ。
それまで、わたしは
"胸が痛い"って何か比喩的な表現だと
思っていたんだけれど、
違ってた、ほんとうに痛くなるんだ
胸の奥がチクチクと…

母が亡くなってから何年経ったころかは
忘れたけれど、
母の日が来てもチクチク痛むことが
なくなった。

きっとそれは、わたしが
母の日にプレゼントを受け取る側に
なったからだろう。

母の日に必ず思い出して読みたくなる
本がある。

東京に住みはじめてすぐの頃、
友人からもらった、角田光代さんの『Presents』。

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この中に収録されている
"鍋セット"というお話。

何回よんでも、笑いながら泣いてしまう。

だって、ここに出てくるお母さんが
母にそっくりなんだもの。

娘を地方から東京に出すときの
母というのは
みんな同じなんだろうか?
『母』と『娘』の描写が見事で
わたし自身と重なって、
何回読んでも涙が頬をつたう。

東京に住んで20年が過ぎたというのに
やっぱり今年も読みたくなって
『Presents』を手に取り"鍋セット"
のページを開いた。

お話の中で、主人公は
お母さんに鍋セットを購入してもらう
やはり、わたしも、母から
鍋セットとやかん、包丁を持たされた。

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包丁も鍋も、もっとおしゃれなのを
揃えたくて、フランス製の鍋を買ったり
ドイツ製の包丁を買ってみたり…。
だけど、今でも、圧倒的に出番が多いのは
母から持たされた、鍋と包丁だ
全て"日本製"ちっとも気取ってなくて
いちばん使いやすい!
20年経っても手放せない。

さて、本の中で、主人公は
雑誌で人気のフードプロデューサーに
なっている。

残念ながら、そこは、主人公とわたしとは
違うけれど、今朝、娘からステキな
お手紙を手渡された。

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「ある家にりょうりじょうずの
おかあさんがいました。
りょうりじょうずのおかあさんの
ごはんを食べれば、
つかれた目はかがやき、
しずんだ心は、キラキラと
かがやきました…」

こんな手紙をもらえるようになるなんて
母から鍋を持たされた当時のわたしからは
想像もできないこと。

"しずんだ心がキラキラとかがやく"
料理を作れるようになったなんて
すごいじゃないか!

わたし(^^)

きょうは母の日。

いつもがんばってる
すべてのおかあさんに
たくさんの愛がとどきますように…❤️

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