見出し画像

DARUさんの推しが喜ぶB.league撮影術(ポストプロセス編)v20230903

0.はじめに

 B.league撮影後、装額展示、Book作成、作品作り等をする場合には、撮影してきたデータそのものでは10%ぐらいの表現力しかないといえます。せっかく撮影した写真ですので、ポストプロセス(仕上げとか、レタッチと呼ばれる)を通じ、よりよい写真に仕上げましょう。 
 ネット上の写真を見ていると とうまく明暗度、コントラスト、彩度、マット(部分的に色をつぶす)、トリミング処理してた目を引く写真があります。 また、最近は、ソフトウエア・アプリが発達しているので「フィルタ」を選択するだけで瞬時に写真の雰囲気がガラっと変化させることができます。なかには、人間の顔の輪郭を自動でスリムにしたり、肌の欠点を自動修正、お顔の明るさを自動調整等々 様々な画像処理技術が開発されています。
 よく、撮影データを加工したらNG。邪道だ!撮影データで勝負!などと一昔前は、撮影技量自体が評価・もてはやされていた時代がありましたが、現在では、「成果物」の価値がすべてと考えるべきです。 AI、グラフィックソフトウエア、コラージュ(切抜き-合成)、従来からのベーシック手法。利用できるものは何でも利用しましょう。 最終的に「写真で何が言いたいのか」が写真を見る人に伝わることが一番大切です。
 設計編・撮影編に続き、ポストプロセス編(レタッチ)と称し、筆者の写真表現に関するスキル・ノウハウの一部を公開します。 ポストプロセスでは何ができて何ができないのか、何をするべきなのかをメインに本noteで記述していきます。

「注意書き」
・対象とする方: 撮影したデータをポストプロセス(レタッチ)にて仕上げ、および、作品水準まで画像データを利用されたい方、そして、「写真がうまくなりたい」と思う方。
・免責事項: 本記事は各自の責任においてご実施ください。筆者は、note内の全てのコンテンツに対して責任を負いません。

1.準備

 実際に ポストプロセスを行うには、いくらか必要なものがありますのでご準備が必要です。ご興味がありましたらメーカWebページなどを覗いてみてください。 (知識だけ蓄積したいかたは不要です。)
 ・Rawファイル、JPEGファイル等の電子データ。
 ・画像処理ソフト* と パソコン
*:LightRoomが有名。日本製、安価なことからSylkyPixなども人気があります。

「注意書き」
・対象とする方: 撮影した画像をレタッチしたい方、そして、「写真がうまくなりたい」と思う方。
・免責事項: 本記事は各自の責任においてご実施ください。筆者は、note内の全てのコンテンツに対して責任を負いません。

2.(基礎知識)できることと・できないこと

 下記にポストプロセスでできること・できないこと なぜその操作を実施するのか記述します。

ポストプロセスでできること;
 ・トリミング
  画像から不要な部分を削除します。 また、構図に合わせ主題の配置を変更します。
 ・画像の回転
  画像のフロアを平行にします。 画像が傾いていると「不安」「不調」「目が回る」等を表現するによいのですが、バスケットボールの試合、オフショットでは、床面が水平に保たれているべきです。
 ・明るさの調整
  写真を見る方は、明るいところに視点が自然と動きます。 主題から視点を奪われてしまうので、明るさの調整は必須かと思います。
 ・コントラストの調整 (明暗度合)
  コントラストを上げると 一般的に 力強さが表現できます。 逆にコントラストを下げると 「眠たい写真」と称されます。
 ・彩度の調整 (鮮やかさ)
  彩度を(すこし)上げると一般的に 力強さが表現できます。 逆に彩度を(すこし)下げると 力弱い感じになります。
  上げすぎ、下げすぎは人間の目で見える、認識する範囲から逸脱することが多いので利用時は留意が必要です。(あまりやらないことをお勧めします。)
 ・白黒化
  色 と 彩度をなくし、明るさの調整、コントラストの勝負になります。
  人間は 色彩がないと脳内で色彩を補おうとします。これをうまく利用して記念写真や「あの時ああだったなぁ」写真に適用するといいでしょう。ただし、「調子」「粒度感」や「トーニング」というようなより専門的な知識を得てから楽しむべきと考えます。

ポストプロセスでできないこと;
 ・ピントの修正
 (・ 欠損データの補完 ) 最近、欠損している背景をAIが自動生成するような機能があるようですが、筆者が記述している段階で、かけてしまった選手の指やバスケットボールを自動補完してくれるかどうか未確認です。(多分、無理だと思うのです。)

3.(基礎)実践例

 B.leagueの写真例ではありませんが、3x3の写像を1例としてご説明します。 フリースローを打つ前に深呼吸している絵になります。仮に主題をFTの投球をする選手 「緊張」としてみましょう。 なお、マニュアルモード EVはスポット±0 F4.0(F2.8レンズを絞り)であわせてあります。 ISOは室内の為 3200程度のいっぱいいっぱい。 W/Bはホワイト優先自動 で撮影しております。 では、 2.項で述べた項目を随時処理していきます。

 お使いのソフトウエアによって操作方法が異なりますので、どのように操作をしていくかを記載いたします。 

 ・トリミング
  被写体をシューターを切り取ります。(青点線) 後方の観客からとれる情報はありません。 左側選手2名は顔位置がかぶりもはや意味をなしていません。 不要な情報は見る人に余計な情報を与えてしまうので削除しましょう。
  最終成果物の出力サイズに合わせる為、画像の縦横比に指定がある場合は、その比率でトリミングします。
 ・画像の回転
  被写体と画像のフロアに傾きがありません。 
 ・明るさの調整
  室内からの撮影ですが、画面右側から自然光(太陽光の反射)が強くあります。画面右奥。 画面には映っていませんが、選手後方上面からスポットライト(色温度高め)が大量に差込み床面に反射しています。 この2点の光源が選手よりも強くありますので、部分的に明るさを落とします。
 主題が逆行+側光となりますので、暗くなり、影が出ています。明らかな明るさ調整をすると 周辺光との釣り合いが悪くなりますので、軽めに明るさを上げます。
 ・コントラストの調整 (明暗度合)
  主題は「緊張」なので、コントラストは強めにしますが、 被写体が女子の場合は、コントラストはある程度控え目にするのが定石です。
 ・彩度の調整 (鮮やかさ)
  一般的に被写体が女子の場合は-10%程度、男子の試合では+10%程度にするようにするのが定石です。 ですが、ユニフォームのオレンジ色(目を引く 赤・オレンジ系統)の彩度を変更すると全体のバランスが著しく崩れます。変更する場合は、画像をよく見て全体のバランスに留意して彩度を決定しましょう。 今回は彩度調整は致しません。

 以上が基本的なポストプロセス(レタッチ)内容になります。 「普段からやってるよ!」「いくつかはやってます!」というような方もいらっしゃるかと思います。 基礎的な知識・技能はいつでも必要になります。是非、理解・実践されることをご推奨します。

4.(応用)ステップアップ

(応用編の前に知っておくべきこと1)
 ポストプロセスで利用する技術は、2.3.項で見てきた基礎的なもの(トリミング、明るさ、コントラスト、彩度の変更)になりますが、ポストプロセスは欠点を治すもの、または、写真の仕上げをする行為のみならず、 「無形のもの」を表現していく手法としてもちいることができます。 

(応用編の前に知っておくべきこと2) 「写真は最弱」なので表現力のスキル・パワーアップはMUST
 おそらく多くの方は、 選手を撮影し、選手の写像を用い『選手』と表現をしてます。B.leagueにかかわらず、撮影ジャンルをかえたところでも 風景であったり、人工物-静物(モノ・建物)であったり、人工物-動くもの(電車・飛行機・バス・タクシー・自転車)、生物(動物・花・草木等)、人物などを主題にしておられるかと思います(生活している範囲で目に入るもの)。カメラの操作技法が若干難しかったり、繰返し練習を伴う為、なにがしかの被写体写像を得られるようになると「写真が上手くなった」と勘違いをされます。実際には、被写体をカメラを用いて写せるようになったという事実以外なにもありません。本当に写真が上手であるのであれば、次の課題は難なくこなせるはずです。
(課題)
 例えば「うれしい」を壁に飾りたいんだとオーダーされたら あなたは写真でどう対応しますか? 「うれしい」は無形の概念です。 また、依頼主は写真じゃなくてもいいそうで、コンペ形式で作品を購入を検討しているケースを想定しましょう。
 平面なので競合相手は 「書」・「水墨画」・「水彩」・「油彩」・「鉛筆画」・「書籍・手紙・誌」・「CG」・「ディスプレイを用いた短編VTR」等々 表現方法がたくさんあり、よしいざコンペ!となるわけです。 短編VTRからはYoutube Pharrell Williams - Happy いきなり強敵。しかも無料です。 オーダー主があなたの「写真」をチョイスする確率はどのくらいありますか?
 折角なので、筆者も「Happy」の絵をかいてみます。 筆者は絵画のプロではないので、この絵に費やした時間は 概ね15秒、おそらく幼稚園水準またはそれ以下です。 この絵よりも価値がある あなたのお写真「Happy」は何でしょうか? 本当に写真が上手であれば、15秒の幼稚園水準の「Happy」を簡単に駆逐できるはずです。
 数日かかってもいいので 写真で「Happy」はどう表現するのでしょうか?これを機に考えてみられるのもよろしいかと思います。 筆者は、「写真」の力量をStepUpするには絶対に必要な段階だと考えています。

作品「Happy」 作者DARU 今世紀最高傑作

 「写真」は平面表現として表現力が弱く、スキルをステップアップするには、写真を用いて第三者へ主題を伝えることが必要です。主題を伝える際に撮影データ自体は変えられませんので、「雰囲気」を変更するポストプロセス(レタッチ)が必須であるということになります。 以下にいくらか「雰囲気」を出すにはどうポストプロセス(レタッチ)を進めるべきか記載しておきます。 必要に応じ、「雰囲気」の変更+写真表現力の向上に利用ください。

例)
・「あかるい」 「優しい感じ」 
  写真全体 被写体の明度を上げる
  コントラストを下げる
 (場合によっては ソフトフィルタ系処理)
・「くらい」 「重厚感」
  写真全体 被写体の明度を下げる
  コントラストを上げる
・「かたい」
  侵入光を利用(明暗をはっきりさせる)
  コントラストを上げる
  シャープに仕上げる
・「やわらかい」
  全体に均質な光 影を消す
  コントラストを下げる
  暗部も明るく仕上げる
・「あたたかい」
  明るさは少し下げる
  コントラスト 標準
  ホワイトバランスを暖色にする
・「つめたい」
  明るさは少し上げる
  コントラスト 標準
  ホワイトバランスを寒色にする 

5.(練習)作ってみよう

 ご自身の写真データがお手元にあるかと思われます。 それらの写真データをサイズ加工し、身近なものに入れていきましょう。 スマートフォンの背景、パソコンの壁紙などにするといつでも推しを見ることができます。 オフィシャルフォトさんたちは、PCを現場に持ち込みますが、大体、推しの背景にされている方が多いですね。
 
パソコンのディスプレイは 横16:縦9 2560px X 1441px等
スマートフォンは縦16:横9 1920px X 1080px等

 下記に作例を示します(読者の方の通信量削減の為、画像pxは小さくしてます)。全く雰囲気が異なることがお分かりになるかと思います。

(作例) 
・2022.6.11 名古屋 3x3 夕方暗くなってきたときの写真 原版

・ポストプロセス(レタッチ)を行いPC壁紙にした写真

6.改定履歴

v20230823 初版 リリース
v20230903 5章(練習)追加