短編小説【タイトル:白姫】

【タイトル:白姫】

雪がしんしんと降る中、
僕は外を歩いていた。
白い息が僕を包みながら
雪は降り続いた。

やっとアパートにつくと
外は雪化粧になっていた。
どんだけ積もるのかな・・・
と僕は明日のことを考えると嫌になり
鍵を開けて部屋に入った。

僕は雪のことを考えて少し早く起きた。
外を見ると昨日とは打って変わり、冬晴れで太陽が暖かかった。
雪かきしてる人、車がスリップして何人かの人が押してる光景が広がっていた。
僕は冬ごもりしたいと心の中で思いながら仕事の準備をした。
スマホを見ても会社から連絡なし。
「はぁー・・・」
僕はため息をついた。

テレビのニュースを目をやると
電車は動いてるみたい。
「動かなかったら遅刻する理由になるんだろうけどな・・・」
朝からテンションが低くマイナスの言葉しかでてこなかった。

「いってきます・・・・」
誰もいない部屋に向かって僕は呟いた。

あの部屋には石鹸の匂いがまだ残っている。
まだ君の歯ブラシやコップ、鏡などが置いてある。
僕はどうすることもできずに捨てられずにいた。
思い出を消すことはできない。
きっとまだ君が帰ってくることをどこかで思っている。
何気ない顔で僕の前に現れることを心のどこかで望んでいる。

「ただいま・・・・」
仕事が終わり帰宅する。
クタクタになりながら今日を乗り切った。
最近はお酒を飲まないと気が済まない・・・。
色々忘れたいんだろうと僕は自己完結しながら
ビールを口に含んだ。

酔いが回り、ベッドに横になると枕から君の匂いが香ってきて、
僕は涙が溢れ出した。
思い出したくなくて忘れたいと思った感情や思い出が溢れ出す。
君は肌が白く僕の手を引っ張ってよくどこかに遊びに行った。
君が
「寒いね・・・」
と言い、君を抱きしめて温めあった。
雪降る街を歩いてるとショーウインドーが僕たちを映した。
ふと君を見るとどこか女神のように感じた。

どこかの本に書いてあった白姫という言葉を思い出した。
僕にとっての冬をつかさどる女神だったのかもしれない。
そんなことを思いながら僕は泣きながら深い夢の中に落ちてった。

僕は寒すぎて目が覚めた。
今日は休日でゆっくり寝れるはずなのに・・・。
僕はカーテンを開けると、雪がひしひしと降っていた。
「またか・・・」
僕は憂鬱になりながら布団に入り寝ることにした。

もしかしたら夢の中で君に逢える気がしたから。
また僕は深い夢の中に落ちていった。

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