第一章 動乱前夜 第六服 二虎競食
二虎を食み競う
今日はまた咲き残りけり古里の
あすか盛りの秋萩の花
義晴公の典厩邸御成から半年ほどが過ぎた同年秋・八月末ころより、畠山義宣挙兵の噂が立っていた。義宣は先年亡くなった畠山総州家前当主・畠山義英の子で、昨年家督を継いで、上総介を名乗っている。
畠山家は、総州家と尾州家で当主の座を争い、この家督争いに将軍が介入することによって将軍家さえ二つに割れ、細川氏と山名氏の全面対決となり応仁の乱が起こった。その戦乱の波は瞬く間に畿内から全国へと飛び火する。その後、敵