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酔っ払いの話

関係ありません。全ては無意味です。


うろ覚えだけど、進撃の巨人でケニーの部下の女性がこんなセリフ言ってたな。
確か、これからは血で手を汚す仕事が始まるが覚悟しておけ、とケニーが部下たちに表明した時の返しだったと思う。

その後ケニーは死に際に、「みんな何かに酔っぱらわねえとやってられなかったんだな」って気付くんだけど、その「何かに酔っ払う」の一つにこの「全ては無意味です」も入ってたんじゃないかな。


こんなことをふと思い出すのは、最近仕事で上司によく「仕事に対しての責任感がない」「なんのために仕事をしているんだ」と詰められるからである。

僕も大いに思うのだ。全ては無意味だと。


僕には仕事をする必要性がない。どうしてもやりたいことを職業にしているわけでもないし、無職になったって死ぬ環境にいるわけじゃない。
お金はそりゃほしいけど、週末にちょいと音楽をやったり本を読んだり、銭湯で熱ーい湯と冷水に浸かるのを繰り返すことができればそれでいいや、と思っている。
どれだけ勤め先から大層なミッションを掲げられ、その達成を任されたとしても、心の奥底には「そんな茶番を演じて何になる」と思っている自分がいる。


思えば在学中に就活をしていた時は、完全に酔っ払っていた。
運よく周りの人間に恵まれ、やりたいことをやって褒められる状況にいて、超絶幸せな人生を謳歌していたのだ。

そんな中で就活ポータルの煽りを受け、立派な先輩方からの教えを乞ううちに、「自分はこの幸せを他社にも分け与え、世の中を良くしていくことができる!」と意気込んでしまった。

そうして自分の中で作り上げた架空の理想に酔っ払い、それはそれは立派な職業に就くことばかり目指して猪突猛進してしまった。曲がりなりにも世間的には立派と言われる職業につき、それなりに頑張ってきたつもりだった。
結果がこれである。


ベンチャー企業の社長、成績トップの営業マン、昼夜問わず働くコンサルタントなどは皆、酔っ払っているんだと思う。

何かに酔っ払って、狂気とも取れるものに囚われているんだと思う。僕はそんな生き方ができるのだろうか。
現状僕は酔っ払うでもなく、冷め切った態度で仕事を切り捨てることもできず、いわばほろ酔い状態のまま飲み会で上司が語る冗談についていけないまま「はは…」と笑っているだけなのだ。


でも自分で気づいていることがある。今はただちょっと酒が切れてきて、酔いが覚めてしまっているだけなのかもしれない。
また少し経って環境が変われば、何かに酔ってきて「この世界を変えるのは自分だ!!」と意気込んでしまうのかもしれない。
その方が楽だし、こんな根暗な文章を描かなくても済むのだから。

なんであれ僕には関係ありません。全ては無意味です。
こんなことを書いている今でさえ、ちょっと落ち込んでしまった自分に酔っ払っているだけなんだから。


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