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サンライズで行く島根旅行① 2020/11/23→24 ~サンライズ出雲編~

子供の頃から寝台列車というのは夢のまた夢のような存在で、いつか乗れる日が来るなんて思いもしなかった。時代が進むにつれてカシオペアや北斗星などの有名な列車が次々と引退していき、寝台列車そのものがレアになりつつあるが、しかしこの日ついに、日本で運行している数少ない現役の寝台特急・サンライズエクスプレスに乗車することが出来た。普通に乗れば2万は超えるので中々手を出せずにいたが、今回はgoto適用のプランでお得に抑えられたので、乗りたい人は今のうちに乗っておこう。

サンライズの行き先は高松市と出雲市に分かれているが、今回は出雲市方面の車両に乗り、今まで足を延ばしたことのない島根県へ行くことにした。最も人口の多い東京から最も人口の少ない鳥取と島根に電車一本で行けるなんて、なんだか不思議な気分である。

そんなこんなで迎えた23日の夜、神奈川で唯一サンライズが止まる横浜駅に来た。ホームにいる人のほとんどは連休最後の遊びで疲れたまま小田原行きの普通列車で帰り、明日からまたいつも通りの平日を迎えるのだろうが、自分は出雲市行きのプレミアムな特急に乗って島根を満喫する旅行にこれから出かけるだと思うと、何だかすごい優越感と罪悪感に見舞われる。このタイミングで堂々と遊びに行けるのも学生の特権だろう。

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そして22時23分にサンライズが到着。大きなスーツケースを持った乗客たちについていき中に入ると、木造でできた高級感溢れる車内が目に飛び込みテンションは爆上がり。これは本当に電車の中なのだろうか。右手に個室、左手に車窓がある狭い廊下を歩いてる時は、まるでハリー・ポッターのホグワーツ特急にいるような気分だった。

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今回とったのは一番安いノビノビ座席。床は少し硬く、毛布とコップと枕カバーが備え付けてある。既に寝静まってる人が何人か居たのでさっさと荷物を置き、事前に買っておいた酒を持ってラウンジへ向かった。

ラウンジには大きな窓があり、外を眺めながらそこで晩酌できる。通学するときに幾度となく見てきた景色も、この時は全く違ってみえた。サンライズは横浜を出ると熱海まで止まらないため、自分の地元も爽快に通過していく。飲み終わる頃には富士にまで来ていたため、特急ってこんなに早いんだと思わされた。

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酒が入って眠気がきたので歯を磨いてノビノビ座席に戻って就寝、といきたいところだがこの座席、下が結構硬くて眠りにくい。備え付けの布団を下に敷いてもまだ背筋が痛かったので、持ってきた服を折り畳んでクッション代わりにするなど、かなりの工夫が必要となった。自分は夜行バスなどの車中泊をあまりしたことがなかったので揺れや音などで何度か起こされたが、色々工夫した甲斐あって何とか眠れた。

目が覚めると列車は既に岡山県に突入。車窓を覗くと、空には黒味がかった雲が朝日の朧気な光を隠すように立ち込め、その中を規則正しく並んだオレンジ色の照明灯が流れていく。そんな異世界のような景色を眺めて数分後、車内にはかなりのボリュームで岡山駅到着のアナウンスが鳴り響き、周りの人たちが続々と起き出した。

岡山には6時半に到着。ここからはサンライズ瀬戸号と出雲号が別々のルートを走るため、駅で切り離し作業が行われる。どうやらそれはサンライズの名物でもあるらしく、撮影する人がたくさんいた。それが面白いものなのかどうかは人それぞれだと思うが、起きて暇になったら見てみるといいかもしれない。

作業を見届けて車内に戻ったら、シャワーを浴びることにした。シャワー室はちょうど空いていて、専用のカードをセットすると6分間使用可能となる。室内にはボディソープとシャンプーとドライヤーが完備され、それほど狭くもないので、時間の制約以外に気にするところは全くない。乗る前から楽しみにしてたが、列車の揺れに耐えながら丁度良い温度のシャワーを浴びるのは最高に気持ちが良かった。ちなみに専用のカードは東京から乗った同行者にお願いして先に買って頂いたので確保できたが、横浜駅を出た直後に売り切れになっていたので、浴びたい人はなるべく早めに買っておくべきである。

すっかり外は明るくなり、列車は紅葉の山々に囲まれた高梁川沿いを走行。もはやここはどこだと思うくらい辺鄙な場所も通り、つい半日前に東京の大都会を走ってたとは思えないほどである。しばらくして車内には鳥取の大山を紹介するアナウンスが流れ、山陰地方に突入。岡山から鳥取に抜けるまでかなり長かったが、米子を出ると列車は速度を上げ、安来、松江、宍道の駅に次々と停車。そして横浜を出ておよそ12時間、遂に終点の出雲市駅に到着した。これだけ長い時間同じ車両に乗るのは初めてだが、乗ってみるとあっという間に感じた。サンライズの旅はここで終わりだが、島根の旅はここからが始まりだ。

人生初の寝台列車サンライズエクスプレス。またいつか乗りたい。

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