いつかどこかの喫煙所で
いつかどこかの喫煙所で
あなたに会うかもしれないね
互いに気づきもしないで
だって声しか知らないから
声だけって言うと嘘になるね
あなたのことならなんでも知ってる
あなたも同じ
私のことならなんでも知ってる
私を知ってほしくて
あなたを知り尽くしたくて
気づいたら朝まで通話してたよね
遠く遠くにいるはずのあなたが
まるで隣にいるみたいだった
SNSで出会ってから驚くほど仲良くなって
好きな食べ物も趣味も性別も違ったけど
どれだけあなたに支えられてることか
私の病気のことも手に取るように理解してくれて
声だけでその日の具合がわかるようになったって
笑ってた
東京に行くかもしれないとあなたが言った時
会いたいってたまらなくなった
あなたと顔を合わせて話がしてみたい
あなたのことをより一層深く知りたい
何よりあなたに触れたい
これが恋なのか恋じゃないのかなんて知ったこっちゃない
途方もない時間をかけて互いをほぐし合ってきた
ほぐれた糸を一本選んで結び目を作りたい
慣れ離れになってももう二度と切れることがないように
でも私は言わなかった
じゃあ会おうよとは
私たちは魂の親友だから
目を瞑ってても会えるはずだから
彼も同じだった
会おうよとは言ってこなかった
心は等しく大切に築き上げてきたものを守ろうとしたのだと思う
いつかどこかの喫煙所で
火を貸した相手があなただったら
どんなに素敵なことでしょう
そういう偶然が嫌いじゃない
きっとあなたも同じでしょ
あり得ない確率を待つ日々を
運命と名づけて
ひとり煙草をくゆらせながら
背中合わせに煙を吐き出したお兄さんが
あなただったらいいのに
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