透明人間

私はどこへ行ったの
多趣味なあなたの休日は
私抜きで終わっていく
鼻歌を歌いながらプラモデルを組み立てるあなたを
立ち尽くしたまま見つめていても
こちらに目線ひとつくれはしない
透明人間になっちゃった
透明人間になっちゃった
昼食をかきこむようにたいらげた後
ごちそうさまも言わずに自室に籠る
あなたの好物を作ってみたのにな
昔は歓声を上げながら食べてくれたのにな
あなたの部屋からまた鼻歌が聞こえる
今はそっちのほうが美味しいってことね
休日が終わっていく
紅茶の街
カモミールの太陽が沈む
いっそこのベランダの柵を乗り越えたら
あなたは昔に戻るかしら
いいえ貴重な休日の一日を潰されたと
歯がゆい思いをするだけでしょう
透明人間は生きても死んでも透明人間
私の冗談に声を上げて笑ってくれた
あなたは世界中探しても
もうどこにもいない

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