せせらぎの人魚姫

好きな人ができた
会いたい
触れたい
でも許されない
薬指のプラチナが
心を押しとどめてる
人を好きになるのは素晴らしいことだ
愛情という澄み切った水が溢れ出して
せせらぎを作りやがて川となり
大海へ注ぎ込む壮大な物語
海になれるんだよ
このちっぽけな私が
だけど所詮は人魚姫
闇に紛れて王子様を見上げるだけ
あなたが他の女の子と仲良くしゃべってるのを
見ているのが耐えられなくて
傍にいたいのにそっとその場を離れるの
しょうがないよね
あの子のほうが若いし可愛いし
どうせ卑屈な臆病者
だけどねあなたが笑ってくれただけで
世界が光に満ち溢れるの
口下手な私に気の利いた話なんてできないけど
ほんのたまに二人きりになって話が盛り上がった時には
天にも昇る気持ちなのよ
好きで好きでたまらない
どこにも仕舞っておけないこの気持ち
会えるだけじゃもういやなの
もっと深くあなたを知りたい
そしてその華奢で大きな手で
私に触れてほしいの
あなたに気づかせてはいけない
だけど今すぐにでも気づいて欲しい
矛盾が涙になって私の目が潤んでるのが
見えてないかしら
好きな人ができた
毎日会いたい
毎日触れたい
でも許されない
神様に誓った約束を
反故する勇気はあまりにも穢れていて
私はせせらぎの人魚姫

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