weak

あなたは私に何をしたの
あれだけズル賢かった私はどこへ消え失せたの
あなたは私を弱くする
あなたを見るとその腕の中へしな垂れかからずにいられない
核ミサイルでさえ片手でキャッチしながら
数々の男を騙してケツの毛までむしった私は
世界中探してももうどこにもいない
自分の身は自分で守りなさい
女の子は産まれた瞬間みんなそう教え込まれるのよ
だってこの世は魑魅魍魎
誰も信じてはいけないの
体も心も鍛え上げて
社会へ放り出されて
生き抜くために負った傷は自分で舐めて
そこを更に鍛えてもう二度と傷つかないように
良い悪と悪い悪しか存在しないの
正義は紀元前に化石になった
騙される方が悪いのよと笑いながら
私はずっと悪い悪だった
でもあなたに出会って心がなんだかむずむずするようになって
その正体が罪悪感と呼ばれるものだと気が付いた
だから良い悪になって悪い悪をやっつける女に変貌を遂げたの
女の子を大切にしない男をかたっぱしからこらしめたわ
気分が良かった
その時私はまだ強かったはずなのに
あなたがいけないの
あなたがいけないのよ
優しく頭を撫でたりするから
もう戦わなくていいんだって勘違いしちゃうじゃない
誰かに守ってもらおうなんて一度だって考えたことなかった
そんな甘い考えは自分を滅ぼすだけだって
なのにどうして抱き締めるの
もう大丈夫なんだよだなんて囁くの
私の剣を奪わないで
血にまみれた歴史は消せはしないはずなのに
あなたの腕枕は温かくて
うっかりうたた寝をしてしまって
敵が傍にいる夢を見てたから
飛び起きて辺りを入念に窺う私を
あなたは笑ったわ
ここに怖いものなんか入ってこれないんだよ
なんでだと思う
答えなんか知るわけなかった
それはね
僕が君を愛しているからだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?