無限皿洗い

シンクからお皿が湧き出してきてるんじゃないかと思うくらい
洗っても洗っても終わりゃしない
料理をしてくれるのは有難いけど
あなた凝り始めると止まらないから
その大量の遺産を片付けるのは私なのよ
どうしようそのうち寸胴でも買って
ラーメン作りに目覚めたりしたら
あのね物には加減というものがあるの
膨大な量の食器をシンクに山盛りにしておきながら
満足げに煙草なんて吸っている
そしてもう一つの私のミッション
あなたが作った料理に
感動するふりをしながら
美味しいねすごいねと褒めちぎることよ
たまに不味い時があっても
残したりなんかしたら大変
ものすごく機嫌を損ねるから
それをケアするよりは我慢してたいらげたほうがマシ
大きなお鍋をかきまぜながら
ぽいぽいと次々にシンクに食器を溜めていく
あああれ洗うのまた私なんだなと思うだけで
料理の味なんてわかんなくなるわよ
男の人ってみんなそうなのかなあ
私は料理をするとき
調理と洗い物を平行して行うから
シンクがいっぱいになることなんてありえない
普通そうだと思ってた
あなたと結婚するまでは
ベトベトの油汚れのついた食器がまた山盛りになってる
あなたは優雅に煙草を吸ってる
心の中でよし！と掛け声をかけたら
キッチンへ突撃
しかしまあシンクの底から湧いて出てるんじゃないかと思うくらい
永遠をこんなときに感じたくないんですけど
食器用洗剤をつぎ足しつぎ足ししながら
皿洗いに挑む私は今まさに格闘中
やっとのことで洗い終えた
はあとため息が出る
でもはっと気づいた
次はこれ全部拭かなきゃいけないんじゃないの