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目に快楽を与える残酷な幻想【ラストナイトインソーホー】映画♯070

じゃがりこをボリボリ食べながら観てたらば、面白くって前のめり。ハロウィンの季節にぴったりのホラーサスペンス。いや、ジャッロ映画というのかもしれない。



ラストナイトインソーホー    2021年/イギリス



【ストーリー】

デザイナーになる夢を持ったエリーは、
ファッションカレッジへ通うために
ロンドンのソーホー地区に引っ越してきた。
もとから奇妙な第六感を持つエリーは、
ある夜60年代へタイムスリップする。
そこに現れたブロンドヘアのサンディ。
彼女は歌手になる夢を持っていた。



【解説というか、レビューというか、】

エリーは60年代のファッションやカルチャーに
大きな憧れを持っている。
クラシカルなムード漂う60年代に
タイムスリップしたエリーは、
まるで取り憑かれたかの様に自分をサンディに投影する。
そして古き良き時代を華やかに駆け巡っていく。

この夢に没入してる演出がとても魅力的。
未来に期待する女性を煌びやかに描いている。


期待と不安を胸に上京するエリー


だが、やがて物語は不穏な影を追っていく。
この時代に生きたサンディは、男性優位の社会で
無惨にも夢を打ち砕かれ始める。

現代に戻ったエリーはファッションの勉強に打ち込むが、
第六感の力によって、60年代の怨念に蝕まれていく。
エリーが借りたアパートは、よこしまな空気が漂っていたのだ。


暗くて湿っぽい部屋で怪奇現象が起こるなんて
よくあるストーリーのようだけど、
驚かす系のゴシックホラーとはだいぶ違う。
血みどろの映像で恐怖を煽ったりする、
そういうホラー映画じゃない。
むしろ、残酷なシーンを目に快楽を与えるように幻想的に魅せ、
観る者を狂気の美しさに引っ張っていく。

怪しい恐怖に襲われるエリーの心理は、
夢を持って上京した人間が持つ、不安や疎外感の現れ。
ぴたりと重なる実体のない脅威。

それらの不安や恐怖を乗り越えて、
夢を叶えようとする主人公の物語である。


ブロンドの女のこってホラーに映えるんよ

こういうジャッロ映画には謎解き要素もあって
先が読めない展開にもたいへん満足。

怖いの好きな人も苦手な人も楽しめる、
ハロウィンにぴったりの映画。
お勧めです。



【シネマジェンヌmemo】

20世紀のソーホー地区は歓楽街として栄えた歴史がある街。
今ではファッション街としておしゃれな店が立ち並ぶ
賑やかなエリア。

ジャッロ映画は、強烈な色彩と特異な音楽、
危険な匂いがする妄想などが特徴の、
洗練されたホラーサスペンスというジャンル。
ダリオ・アルジェントの『サスペリアPART2』が
その代表です。


✴︎合わせて観たい映画
『サスペリアPART2』

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