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デッサンを引き立てる額の選び方完全ガイド!

 どうも。プロ鉛筆画家の中山眞治です。新緑が映える過ごしやすい季節となりました。元気でお過ごしですか?^^

 さて、デッサンや鉛筆画作品をより魅力的に見せるための額縁の選び方は、アーティストにとって重要なポイントです。
 
 この記事では、デッサンや鉛筆画の種類や作品のサイズに合わせた額縁の選び方、素材の特性、そして部屋の装飾との調和を考慮したスタイリング方法をご紹介します。

 尚、デッサンは、水彩によるデッサン等もありますが、ここではモノトーンで行うものが大半を占めますので、モノトーンのデッサンを前提として、初心者の人から上級者の人まで必見の内容となっています。
 
 それでは、早速見ていきましょう! 

1 デッサンの額縁選びの基本



  デッサンや鉛筆画の額縁を選ぶ際は、作品の雰囲気や展示環境に合わせて適切な素材とスタイルを選ぶことが重要です。ここでは、初心者でも失敗しない額縁選びのポイントを紹介します。

(1) 作品と調和する額縁の色と素材を選ぶ


  デッサンや鉛筆画には繊細な表現が反映されているため、額縁の色や素材が作品の印象を大きく左右します。
 
 一般的に、木製やメタル製のシンプルな黒または白の額縁が多くのデッサンや鉛筆画に適しています。これらの色は作品を引き立てることができ、また、どんな部屋の装飾にもなじみやすいのが特徴です。 

(2) 適切なサイズとマット(※)の使用

第1回個展出品作品 ブラザーウルフⅠ 1997 F10 鉛筆画 中山眞治


  額縁を選ぶ際は、デッサンや鉛筆画のサイズに合わせて適切なものを選びます。
 
 そして、マット(額縁と作品の間に挟む厚紙…上の作品を参照してください)を使用することで、作品に深みを加え、よりプロフェッショナルな見映えを実現できます。

 また、マットの色も、作品全体のトーンの濃度の状態にも合わせて選ぶことがポイントです。 上の作品では、額縁はアルミ製の細い黒の額縁で、マットは薄いベージュです。

 尚、以前開催した最初の個展では、40点の作品を同じ仕様で統一して展示しました。

※ マットは、作品の保護や、額と作品の寸法のズレを調整することもできます。また、額装に奥行を与えることもできます。

 額縁と作品のバランスは、 マットの幅を考えて決めましょう。 一般的なマット幅は40mm~70mm位です。

 大きめの額に対して、小さく窓抜きしたマットを使うと、よりグレード感が上がります!マット幅は20mm以上になるようにしてください。

出典:[画材の専門店]e-画材.com マット窓抜きのコツ画材・額縁のオンラインショップ (e-gazai.com)

(3) 展示環境を考慮した額縁選び


  作品を展示する場所の光の状態や、周囲の色も額縁選びには大切な要素です。自然光の多い場所ではUVカット機能のあるアクリル板を選ぶことで、作品を日焼けから守ることができます。
 
 また、部屋のスタイルに合わせた額縁を選ぶことで、作品だけでなく、部屋全体の雰囲気を高めることも可能になります。
 
 デッサンや鉛筆画の額縁を選ぶ際は、これらの基本を押さえつつ、自身の作品に最も合った額縁を選びましょう。

 適切な額縁は、デッサンや鉛筆画を一層引き立て、長期間にわたって作品を保護する役割も果たします。 

2 素材による額縁の選び方と特性


 デッサンや鉛筆画の額縁を選ぶ際に、最も重要な選択肢の一つが素材です。

 素材にはそれぞれ独特の特性があり、作品の印象や耐久性に大きく影響します。本章では、異なる素材の額縁が持つ特性と、どのような作品に適しているかを解説します。 

(1) 木製額縁の温かみと自然な美しさ


  木製額縁は、その温かみのある質感と自然な美しさで、特に古典的または伝統的なデッサンや鉛筆画によく合います。
 
 オーク、マホガニー、ウォルナットなど、さまざまな木材が使用され、それぞれ異なる色調と木目が特徴です。木製額縁は、暖かい色の壁紙や木の家具との調和も取りやすいため、居住空間へ自然に溶け込みます。 

(2) メタル額縁のモダンな印象と耐久性


  メタル額縁はそのスリムでスタイリッシュな外観から、現代的またはシンプルな作品に適しています。
 
 アルミニウム及びステンレスやスチールが一般的で、これらの素材は色あせや変形が少なく、非常に耐久性が高いです。また、メタル額縁はその光沢が特徴で、モダンなデザインの空間にもぴったり合います。 

(3) アクリル額縁の軽量性と現代的な透明感


  アクリル製の額縁は軽く、割れにくいという利点があります。その透明感と軽量性から、現代的なアートギャラリーや展示会場でよく利用されます。
 
 アクリル額縁も色によっては、モノトーン(鉛筆・木炭・ペン・ボールペン)の作品に適しているものもあります。
 
 このように、額縁を選ぶ際には素材の特性を理解し、それぞれのデッサン及び鉛筆画のスタイルや展示環境に合わせて最適な選択をすることが重要です。
 
 素材ごとに異なる美的魅力と機能性を活かすことで、作品本来の美しさを最大限に引き出すことができます。 

参考:ナカバヤシ アクリル製フレーム | フォトフレーム | フォトフレーム・額縁 | 製品紹介 | ナカバヤシ株式会社:アルバム・製本・シュレッダー・情報整理の総合サポーター (nakabayashi.co.jp)

3 デッサンサイズに合わせた額縁の選び方


 デッサンや鉛筆画のインパクトは、そのサイズに適した額縁を選ぶことで大きく変わります。適切な額縁を選ぶことで、作品の美しさを保護し、より引き立てることが可能になります。

 ここでは、小さなデッサンや鉛筆画から大きな作品まで、各サイズに最適な額縁の選び方を紹介します。 

(1) 小さなデッサン用の額縁選び


第1回個展出品作品 夜の屋根 1996 F10 鉛筆画 中山眞治


  小さなデッサンや鉛筆画には、細いフレームや繊細なデザインの額縁が最適です。
 
 小さい作品は、作品を囲むマットの幅を広めにとることで視覚的なバランスを整えることが大切です。また、色は中立的なものを選ぶと、デッサンや鉛筆画が引き立ちます。 

(2) 中サイズのデッサンに適した額縁


第1回個展出品作品 マリリン・モンロー 1996 F10 鉛筆画 中山眞治


  中サイズのデッサンや鉛筆画には、少し幅広の額縁を選ぶことが一般的です。これにより、作品に適切な重みと存在感を与えることができます。
 
 マットは作品の内容や色によって選び、通常は既述いていますが、作品の周りに40mm~70mmの余白を設けることが望ましいです。

 フレームの素材は木製やメタルが選ばれることが多く、部屋のデザインに合わせて選びます。 

(3) 大きなデッサンの額縁選びのポイント


第2回個展会場風景


 大きなデッサンや鉛筆画の場合、しっかりとした支持体が必要です。重い作品には、耐久性のある厚みのあるフレームを選び、適切な固定具で壁にしっかりと取り付けることが重要です。
 
 大きな作品には、シンプルなデザインの額縁が効果的です。また、UVカットアクリル板等を使用して、作品を保護することも考慮に入れるべきです。
 
 これらのポイントを押さえることで、デッサンや鉛筆画のサイズに合わせた最適な額縁を選び、作品を美しく長持ちさせることができます。

 尚、筆者の場合には、大作(※)には、黒い額縁の内側に、細い金色の枠縁(イレコ)を入れることで、シックながらも引き立つように、組み合わせを考えて展示しました。

 作品は鉛筆画ですが、黒い額縁の内側に金色のイレコですから、作品に近づいて観ると、黒と金の対比が慎ましくも良い状態を演出できました。

 上の画像は、第2回目の個展会場で撮影したものですが、見えている作品4点(F100号)には、この金色のイレコを組み込んでいます。

※ 大作(たいさく)とは、80号以上の大きさの作品を呼び、小さい作品は小品(しょうひん)と呼ばれています。

4 デザインとスタイルで選ぶ額縁


 デッサンや鉛筆画の額縁を選ぶ際、デザインとスタイルの選択は、作品の印象を大きく左右します。額縁は単なる装飾ではなく、作品の一部としてその価値を高める重要な要素になるからです。
 
 本章では、異なるデザインとスタイルの額縁がどのようにデッサンや鉛筆画の見え方に影響を与えるかを掘り下げます。 

(1) ヴィンテージ(※)スタイルの額縁でクラシックな雰囲気を


  ヴィンテージスタイルの額縁は、アンティークなデザインが特徴で、クラシックな作品や伝統的なデッサンや鉛筆画に最適です。
 
 装飾的な細工が施された金属や木製のフレームは、作品に格式高い印象を加えることができます。これらの額縁は、伝統的な装飾が施された部屋や、クラシックな家具と調和しやすくなります。 

※ ヴィンテージ(ビンテージ)とは、「古くて価値が高いもの」「年代もの」の意味です。

参考:「クラシック デッサン 額縁」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

(2) モダンな額縁で現代的なアプローチを


  モダンな額縁は、シンプルで洗練されたデザインが特徴です。直線的なフレームや幅の細いマットを使用することで、現代的なデッサン及び鉛筆画や抽象画にぴったり合います。
 
 素材にはしばしば金属や高品質のプラスチックが用いられ、ミニマリストのインテリアにも最適です。色は黒、白、または鮮やかな色で統一感を出すことが一般的です。 

参考:「モダン デッサン 額縁」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

(3) エキゾチックな額縁で個性を演出


  エキゾチックな額縁は、異国情緒あふれるデザインや珍しい素材を使用しています。
 
 竹や象牙、装飾的な彫刻が施されたフレームは、特に個性的なアートワーク(手工芸品)に適しています。これらの額縁は、部屋に独特のアクセントを加え、作品に新たな命を吹き込むことができます。
 
 デザインとスタイルで選ぶ額縁は、デッサンや鉛筆画のジャンルや展示する空間の雰囲気に合わせて慎重に選ぶことが求められます。

 適切な額縁は、作品の魅力を引き出し、観てくださる人の注目を集める重要な要素となります。 

参考:「エキゾチック デッサン 額縁」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

5 部屋のデコレーションと額縁の調和


 部屋のデコレーションと額縁の調和は、空間全体の美学を整える上で非常に重要です。額縁は単にアートを囲むものではなく、その空間の一部として機能します。
 
 本章では、部屋の装飾と額縁がどのように調和を保つか、そのための具体的な選び方を解説します。 

(1) 部屋の色彩と額縁のマッチング


  部屋の壁の色や、家具のスタイルに額縁を合わせることで、空間全体に一体感を生み出します。

 たとえば、暖色系の壁の色には木製の暖色系フレームがよく合い、クールトーンのモダンな部屋にはメタルフレームや白、黒の額縁が適しています。
 
 額縁を選ぶ際には、部屋の基調となる色を考慮し、それに溶け込むような色を選ぶことが重要です。 

(2) テーマとスタイルの統一感


  部屋のデザインテーマや、スタイルに合わせた額縁を選ぶことで、芸術作品とインテリアが互いに引き立て合います。
 
 例えば、海辺の家では、ナチュラルな素材やライトブルーの額縁が海のテーマに合いますし、アーバン(都会的)スタイルの部屋では、シンプルで洗練された金属フレームが適しています。

 テーマに沿った額縁を選ぶことで、部屋全体の調和を保ちましょう。 

(3) アートの配置とバランス


  デッサンや鉛筆画を含むアートワーク(手工芸品)の配置は、部屋のバランスを考慮して行う必要があります。

 大きな壁には大きめのアートワークを、小さな壁や狭いスペースには小さめの作品を配置することが一般的です。
 
 額縁のサイズとスタイルを選ぶ際にも、作品がどの位置に来るかを考慮して、空間に溶け込むように調整することが大切です。
 
 これらのポイントを押さえることで、部屋のデコレーション(装飾)と額縁の調和を図り、美しく洗練された空間を創出することができます。

 額縁はデッサンや鉛筆画を際立たせるだけでなく、部屋全体の印象を左右する重要な要素です。 

6 アーティストが実践する額縁選びのコツ


 アーティストたちは、自身の作品が最大限に評価されるよう。額縁選びにも細心の注意を払います。
 
 額縁は単なる装飾品ではなく、作品の一部として観てくださる人に与える印象を形成するからです。本章では、プロのアーティストが実践している額縁選びのコツを紹介します。 

(1) 作品の主題を考慮した額縁選び


  アーティストは、作品の主題やメッセージに合わせて額縁を選びます。例えば、自然を描いた作品には木製の額縁がよく合い、モダンアートにはシンプルなメタルフレームが適しています。
 
 額縁選びにおいては、作品の色調、テクスチャ(感触)、そして主題が額縁とどう調和するかを考慮することは重要です。 

(2) 視覚的な重心を意識する


  額縁を選ぶ際には、作品の視覚的な重心を考慮することがカギとなります。アーティストは、額縁が作品の重要な部分を隠さないように注意しつつ、視線を強調したい部分に引き寄せられるように配置します。
 
 額縁やマットの幅及びデザインが、作品の重心を強調できるかどうかも検討することで、より効果的な展示に結びつきます。 

(3) 長期的な保存を考慮した選択


  多くのアーティストは作品の保存性を高めるために、UVカットのアクリル板や酸化防止材料を使用した額縁を選びます。
 
 作品の材質と展示予定の環境を考慮して、最適な保護機能を備えた額縁を選ぶことが大切です。
 
 これらのコツを踏まえることで、アーティストは作品が持つ本来の美しさを失うことなく、最高の状態で展示できるように額縁を選ぶことが必要です。

 額縁選びは、作品を引き立て、その魅力を最大限に発揮するための重要なステップなのです。 

7 デッサン用額縁のメンテナンスと保護方法


 デッサンや鉛筆画用額縁の、適切なメンテナンスと保護は、作品を長期間美しい状態で保つために不可欠です。
 
 額縁の材質やデザインに応じた保護策を講じることで、作品を劣化や損傷から守ることができます。本章では、デッサンや鉛筆画用額縁を保護し、維持するための効果的な方法を探ります。 

(1) 定期的な清掃と環境管理


  デッサンや鉛筆画用額縁を清潔に保つことは、作品の寿命を延ばす上で重要です。

 埃や汚れは、時間と共に額縁やアクリル板を傷つける可能性があるため、柔らかい布や専用のクリーナーを使用して、定期的に拭き取ることが推奨されます。
 
 また、直射日光や湿度の高い場所を避けることで、色褪せや材質の劣化を防げます。 

 尚、あなたが喫煙家の場合には、注意が必要です。筆者もその昔喫煙していましたが、長い年月の間に作品に「ヤニ」が付着してしまうのです。

 アクリルのカバーがしてあっても、タバコの煙は、徐々に作品の隙間から中まで入り込んでしまいます。また、額の裏側にもヤニは「万遍なく」付着してしまいますので、手遅れにならないうちに対策すべきです。

 その具体的な対応策は、禁煙の部屋に飾るか、あなたが禁煙しないと解決できません。

 あるいは、飾らずに保管する場合には、ホームセンターで販売されている「工業用の梱包などで使う幅広なラップ」を使う手段があります。

 仮に、作品を制作して、公募展への出品は用が済んだとしても、キチンと対策しておけなければ、年月とともに作品を「ヤニ」で台無しにしないように注意しましょう。

(2) UV保護アクリル板(※)の利用


  特にデッサンや鉛筆画などの紙に描かれたアートワークは、UV保護アクリル板を額縁の前面に使用することで、有害な紫外線から作品を守ります。
 
 これは特に窓の近くや、明るい場所に作品を展示する際に有効な方法です。尚、以前は額に「ガラス板」を使っているものが大半でしたが、「東日本大震災 」以降は、アクリル板を使った額が主流になっています。

※ アクリルは素材自体にUVをカットする性質があり、室内紫外線の9割程度をカットできます。紫外線は日焼けなどの劣化を引き起こす美術品の天敵です。表面カバーを通常のアクリルにするだけでも、品物の保存性は格段にアップします。

出典:額縁の表面カバー、アクリルとガラスの違いについて | 額縁のタカハシ (gakubuti.net)

(3) 適切な吊り具と設置の重要性


  額縁の安全な取り付けは、作品を守る上で非常に重要です。壁に取り付ける際には、額縁の重さに適した吊り具を使用し、額縁がしっかりと支えられるようにする必要があります。
 
 不安定な取り付けは、額縁の転倒や滑り落ちを引き起こし、作品にダメージを与える原因となるため、特に重い額縁では強固な取り付けが求められます。
 
 これらのメンテナンスと保護方法を適切に実行することで、デッサンや鉛筆画用額縁を通じて、作品を長期にわたり最良の状態で保つことができます。

 作品の保護とメンテナンスは、美しい状態を未来に渡って楽しむための重要なステップと言えます。

8 まとめ


 デッサンや鉛筆画の額縁とマット選びは、作品の美しさと保護を最大限に引き出すための重要な要素です。以下に、額縁を選ぶ際のポイントと、各デザインやスタイルに応じた選び方をまとめます。
 
・基本的な選び方: 作品の雰囲気に合わせて、素材や色を選びます。シンプルな黒や白の額縁は、多くのデッサンや鉛筆画に適しており、部屋の装飾とも調和しやすいです。

・素材の特性: 木製額縁はクラシックな作品に、メタル額縁はモダンなアートに適しています。アクリル額縁は軽量で割れにくく、色合いによってはデッサンや鉛筆画にも適合します。

・サイズに合わせた選び方: 小さな作品には細いフレーム、大きな作品にはしっかりとしたフレームが必要です。作品のサイズに合わせてマットの幅を調整することが重要です。

・デザインとスタイル: 部屋のテーマやスタイルに合わせて額縁を選ぶことで、作品と部屋の調和が取れます。ヴィンテージスタイルからモダンまで、額縁は多種多様です。

・メンテナンスと保護: 額縁は定期的に清掃し、直射日光や湿気を避けることで作品を長期間保護します。UVカット性能のあるアクリル板の使用は画面を守ります。尚、タバコの煙によるヤニの付着に注意しましょう。
 
 これらのポイントを押さえることで、デッサンや鉛筆画の額縁選びにおいて最適な選択が可能となり、作品本来の魅力を引き立てることができます。

 額縁選びは、単なる枠選びではなく、アート作品を完成させるための重要なプロセスです。
 
 ではまた!あなたの未来を応援しています。


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