ラーメン屋での出来事
先日、家族で近所のラーメン屋に食べに行った時の話。
繁盛しているその店は、休日の夕方となると満席が当然。
でも、この日はすんなりと座敷に通された。
見回すと、この座敷のこの場所のみが偶然空いていて、カウンターやテーブル、全ての席が埋まっていた。
『なんていいタイミング♪♪』
唯一空いていたその席に、奇跡さえ感じた。
いつものごとく、ラーメンを注文。
店員が去るその姿を見送った時、息子が言った。
『うぇ、なんか水が落ちてきた』
上を見上げると、天井にあるエアコンが結露し、たくさんの水滴が付いていた。
『エアコンの結露が落ちてきたんだね。』
と、答えるや否や、
『うわっ、また落ちてきた。』
嫌がる息子。
私もこの間隔で落ちる結露が気になった。
主人が長男と場所を入れ替わった。
が、主人にも結露が落ち続ける。
エアコンはだいぶ古いようで、埃もちらついていた。
『これって、ラーメンの中に入ったら最悪だよね…』
なんて、冗談交じりに言ってみたが、その後も肩や膝に落ち続ける結露に、
笑えなくなった。
店員さんに言おう!
家族で意を決め、近くにいた店員に声を掛けた。
『すみません。エアコンからずっと水滴が落ちてくるんですけど…。』
すると店員は言った。
『これは、エアコンが結露しているものなので大丈夫です。』
ん!?
この店員は、結露が落ちてくるのを知っていたようだ。
もしやこの席が空いていたのは、結露で誰か移動したからとか?
だとしても、何故ここに私ら家族は座っているのだ…
そう過ぎり、私は続けた。
『大丈夫って、ずっと服が濡れるので気になるんですけど。』
店員は強くこう返してきた。
『でも、エアコン消したら暑くなりますけど…』
・・・そうじゃなくてさぁ…
私 『席は移れないんでしょうか?』
店員 『只今、店内は満席で移動はできません。』
店員のその訳の分からない返しと態度に、私も少し強い口調になった。
『もし、結露がラーメンに入ったらどうするんですか!?』
その言葉に返す言葉が見つからなかったのか、私が威圧的に感じたのか、先輩に助けを求めるように駆け寄った。
先輩は、急いで私たちのもとに来ると、
『本当にすみません。現在、カウンターが二席のみ空きましたので、宜しければ、(結露が落ちてくる側の)お二人だけ座席の移動をお願いできないでしょうか?』
家族揃っての外食で一緒に食べたい気持ちはあったが、結露入りラーメンになる恐怖より、ずっとありがたいと思い主人と息子はカウンターに移った。
ラーメンは間違いなく、いつも通り美味しかった。
だが、いつもと違う後味の悪さを感じた。
《接客とは》
帰宅して主人とそのテーマについて語り合ったのは言うまでもない。
・結露が落ちてくると分かりつつも、何故にあの席に通したのだ…。
・客が店のことで困っているにも関わらず、「仕方ないんです」の対応はいかがなものか。
・何にせよ、まずは「すみません」の一言が大事だ。
店員一人の対応が、その店の繁栄の鍵の一つを握っていると思うと、店主が守べきものは味だけではないのだと心底感じた出来事だった。
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