次世代NEMブロックチェーン、Symbolに迫る(9) ~テストネット設定編~
このシリーズでは、NEMを簡単に振り返ると共に、NEMの次期バージョンのSymbolの特徴、Symbolのローンチまでの流れ、そしてSymbolがどのように活用されていくのかをなるべく分かりやすく紹介していきます。
今回は先日リリースされた最新のテストネットのネットワーク設定を見ていこうと思います。
ネットワーク設定とは
ネットワーク設定にはブロック生成間隔やハーベスティングの設定などSymbolブロックチェーンにおける様々な設定が記載されています。
これらはSymbolのノードの `config-network.properties` というファイルに記載されており、このファイルの中身は同じネットワーク内では共通の内容になっています。
これらを知ると、Symbolの仕様を理解することができます。
また、これらの値はプライベートチェーンではカスタマイズ可能であり、用途に合った設定にすることが可能です。
なお、これらの値はテストネットの設定であり、メインネットでは変更になる可能性があります。
チェーンに関する設定
blockGenerationTargetTime = 30s
ブロック生成間隔は30秒がターゲットです。但し、かならず30秒間隔で生成されるわけではありません。NIS1では60秒でした。
maxTransactionLifetime = 6h
トランザクションの有効期限は最大6時間です。NIS1では24時間でした。
initialCurrencyAtomicUnits = 7'831'975'436'000'000
xymの初期発行量は7,831,975,436xymです。
maxMosaicAtomicUnits = 9'000'000'000'000'000
モザイクの最大発行量は9,000,000,000,000,000です (但し、総発行量*可分性)
minHarvesterBalance = 10'000'000'000
maxHarvesterBalance = 50'000'000'000'000
ハーベストに参加できるxymの残高は10,000xymから50,000,000xymです。
minVoterBalance = 3'000'000'000'000
ファイナリティのための投票に参加するために必要なxymの残高は3,000,000xymです。
harvestBeneficiaryPercentage = 25
harvestNetworkPercentage = 5
いずれもハーベストに関する設定で、harvestBeneficiaryPercentageは委任ハーベスターがハーベストしたときににノードが受け取るハーベスト報酬の割合で、harvestNetworkPercentageはネットワークが指定したアドレスが受け取る割合です。ここについては、PoS+の解説時に詳細を解説します。
maxTransactionsPerBlock = 6'000
1ブロックあたりに入るドランザクション数は6,000です。先で解説したようにブロック生成間隔は30秒なので、秒間あたりの処理能力は200tpsとなります。なお、NIS1は1ブロックあたり120txで、2tpsです。
アグリゲートトランザクションに関する設定
maxTransactionsPerAggregate = 100
maxCosignaturesPerAggregate = 25
(中略)
maxBondedTransactionLifetime = 48h
(中略)
lockedFundsPerAggregate = 10'000'000
maxHashLockDuration = 2d
上記はアグリゲートトランザクションに関する設定です。
1つのアグリゲートトランザクションで100個のトランザクションを内包することができ、25アカウント分の連署人を設定することができます。
またアグリゲートトランザクションの有効期限は48時間となっています。
複数アカウントの署名が必要となる場合、HashLockTransactionによって担保を設定する必要がありますが、1つのアグリゲートトランザクションで10xymを設定する必要があります。
クロスチェーンに関する設定
maxSecretLockDuration = 365d
シークレットロックが存在できる期間を設定しています。現在のテストネットでは約1年相当のブロック数が設定されています。
メタデータに関する設定
maxValueSize = 1024
メタデータの値は1024バイトまでです。
モザイクに関する設定
maxMosaicsPerAccount = 1'000
1つアカウントで保有できるモザイクは1000個までです。
maxMosaicDuration = 3650d
モザイクの有効期限を設定した場合、最長期間は約10年です。ただし、モザイクは無期限のモザイクを設定可能です。
maxMosaicDivisibility = 6
モザイクの小数点の桁数は最大6桁までです。
マルチシグアカウントに関する設定
maxMultisigDepth = 3
マルチシグアカウントは最大3階層まで設定可能です。
maxCosignatoriesPerAccount = 25
maxCosignedAccountsPerAccount = 25
1つのマルチシグアカウントには連署人を最大25アカウント設定できます。
また、1つのアカウントで25個のマルチシグアカウントの連署人になることが可能です。
ネームスペースに関する設定
maxNameSize = 64
ネームスペースは64文字まで設定可能です。
maxChildNamespaces = 256
1つのルートネームスペースから256個の子ネームスペースを作成可能です。
maxNamespaceDepth = 3
ネームスペースは3階層まで設定可能です。
minNamespaceDuration = 30d
maxNamespaceDuration = 1825d
ルートネームスペースの有効期限は30日〜5年のまで設定可能です。なお、ルートネームスペース期限は更新可能です。
転送トランザクションに関する設定
maxMessageSize = 1024
転送トランザクションのメッセージサイズは最大1024バイトまでです。なおそのうちの1バイトはメッセージの種別の識別に使われます。
もっと知りたくなったら
以下のSymbolドキュメンテーションにここで触れていない設定の内容も見ることができます。
https://docs.symbolplatform.com/guides/network/configuring-network-properties.html
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