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日銀の含み損?

高橋ダンのダイアリー
令和2年3月24日

今週の財務金融委員会

令和2年3月24日に財務金融委員会が衆議院で開会され、インターネット審議中継で視聴しました。最も印象に残った部分が日本中央銀行(日銀)に対しての質疑で、自らの所見を述べたいと思います。

第一に、日銀の含み損に対して質疑が行われました。リーマンショックから10年以上経ち、何かのきっかけで経済バブルが弾けるという懸念については過去の財務金融委員会で何回も質疑が行われた、と発言がありました。日銀の金融緩和で上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(JREIT)の購入に対して、先週の終値時点では含み損はいくらか、という質問がありました。先週末の日経平均価格は約16500円であり、含み損はおそらく3兆円を遥かに超えてるのではないかもしれない、という警告がありました。

日銀の含み損に対して黒田日銀総裁が答弁をしました。含み損は市場動向に左右され、先週末時点のあらゆる程度で計算するとETFは2兆円から3兆円、JREITは0.1兆円。しかし、市場は毎日動いていて、今は株式市場は先週末より上がってるため、現時点の含み損はこの数字より低いかもしれない、と言われました。日銀の損益はETFの時価総額動向だけに頼っているのでなく、国債利息収入やETF分配金からも収益を得るので、現時点のETF含み損は日銀の損益を全部を示すのではない。市場の毎日変動のため、含み損を確定的に計算するのは難しい、と発言されました。

第二に、日銀の債務超過に対して質疑が行われました。2週間前の前田日銀理事の答弁によると、その時点ではETF損益分岐点は日経平均で図ると約19500円で、日経平均が2000円から3000円下がると約4兆円の含み損が出る、という説明でした。大規模な含み損が出てるのでは間違いなく、日銀の純資産が4兆円程度のため、債務超過に落ちるのではないかという恐れがある。株価の変動によって一時的な事件かもしれないけど、債務超過は緊急事態な状況なので、それに対しての手当は考えておくべきで警戒を求める、と発言がありました。債務超過の問題に対して増資で日銀の資本を膨らませる方法も提案されました。

日銀の債務超過に対して黒田日銀総裁が答弁をしました。日銀の決算はETF時価総額だけに基づくものでなく、国債利息収入やETF分配金も入れているが、確かに通貨発行を継続するためには収益を確保できる仕組みが必要、と答えられました。

この財務金融委員会で質疑された話題を聞いて、恐怖を感じました。私の投資経験では、それぞれ国の中央銀行の財政健全化が最も重要だと何回も経済学者や投資家から聞いています。中央銀行は金融政策の道具を使い、経済や市場が悪化するときに支援できる、時によっては最後の手段を出せる機関だと認識しています。信用に基づいて対応してる機関で、政府と国民が依存する金融システムの主要な柱の1つだと思います。含み損に対して黒田日銀総裁の答弁が曖昧で、指定された日時を与えられたのに、具体的な数字が出せないのは少し疑問を持ちます。もしかして、一時的に含み損が純資産を上回ったことがあるのなら、これはまさしく債務超過という事かもしれません。日銀が債務超過した場合はおそらく通貨危機の可能性があり、国全体に対して甚大な影響があると思います。世界中のほとんどの投資機関はリスク管理部門があると思うので、日銀もおそらくこういう部門があるかもしれません。日銀リスク管理部門のリスク計算の仕方に対して、もっと深い質疑が必要かと思います。

高橋ダン

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