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「DANROは “期間限定”で終わらない場所」DANRO卒業生インタビュー

人と人とのつながりの中には、”目には見えない温かさ”がある。その温かさが増し、循環する時、きっと、世界は今よりもっと明るくなる。そんな創業者の想いから生まれた『深いつながりを紡ぐ、実践型対話スクールDANRO Autumn』が2023年12月に最終回を迎えました。卒業生へのインタビュー記事を、数回に渡りお届けします。

今回は言葉と音の創作家moeca*さんに、参加したきっかけや変化について伺いました。

もっと対話を深めたい


ーーDANROとの出会いや参加のきっかけについて教えてください。

moecaさん:DANROとの出会いは、今年の4月。インスタグラムの広告で偶然見かけたのがきっかけでした。もともと「音楽×対話」を深めたいと思っていたのですが、DANROも「○○×対話」ということをたくさんやっているなという印象ですごく興味を持ったんです。きっとこの人たちとは仲良くなれそうだし、世界観が好きだなと感じたのがはじまりですね。ちょうどDANRO HOME(ダイアログコミュニティ)ができたタイミングだったのでまずはそこに参加しました。

ーーはじめはスクールではなくDANRO HOMEヘ参加されていたのですね!

moecaさん:HOMEの中でDANROのメンバーたちと接する中、DANRO Radioの音楽をつくらせてもらうことになって。そこで和花さんと話す機会があったのですが、その時にすごく音楽と対話の可能性が広がったように感じたんです。

その中で「DANRO Autumnが日曜日から始まるから今なら間に合うよ!」と言ってもらえて、すぐに飛び込むことを決めました。それが4日前、木曜日の話だったんです(笑)

ーー説明会を受けて、参加して、というわけではなく!直感で良いなと感じたのですか?

moecaさん:DANROスクール自体はすごくいいなと元々思っていたんです。HOMEにも卒業生が多くてお話を聞くうちにずっと気にはなっていて。和花さんとの対話が最後のひと押しになったという感じです。


“できあがった答え”ではないものがぽろっと出た瞬間

ーーDANROに参加する以前から「音楽×対話」というところに興味があったのですね。元々対話を学んだり深めたりしていたのですか?

moecaさん:そうですね、別のところで対話のコミュニティに参加するなどこれまで2年間ほど対話を深めてきましたが、DANRO Autumnに参加したことで、改めて「対話ってなんだろう」と考えるようになりました。
「聴く」ってまだまだ奥が深いな、という気づきもありましたね。

2020年くらいに対話という文化を知り、対話をする場というだけで温かいし安心できるというイメージは以前から持っていたのですが、Autumnを終えてみて「対話はまだまだそんなもんじゃない」というような、ただ温かいだけじゃない魅力も感じていますね。

――DANROの中で一番印象に残っているエピソードを教えてください。

moecaさん:一番はやはり3回目の全体講義ですね。今までの人生の中でやり残していることや後悔していることはなにか、という問いに対して対話をしたときです。これまではじめにお話したようにどちらかといえば対話に慣れているというか、繰り返してきた内省の結晶のような……。「もうこれ以上の答えはない」というくらいできあがった答えが私の中にはもうすでにある状態だったんです。だから2回目まではちょっともどかしさもありました。それが覆ったのが、3回目でした。

――なるほど!これまで対話に向き合ってきたからこそ感じるもどかしさだったのですね。moecaさんのやり残していることとはなんだったのでしょうか?

moecaさん:すぐに頭に浮かんだのは、中3の頃に亡くなった母との関係性でした。
3回目の講義はペアに分かれて、対話の相手を伝えたい人に見立てて話してみるという内容で。私の中では結構荒療治だったんですよ。

対話中、母へ言い残した想いはほとんど言葉にできなくて、ただただ涙が溢れてきました。本当はペアの子に交代しないといけなかったのですが、その子はずっと「大丈夫だよ」と聴いてくれて、本当にありがたかったですね。

ーーそうだったのですね。

moecaさん:それこそ1、2回目の講義で言葉にしていた”できあがった答え”とはもう全然違う、そのときそのままの感情というのがやっと出せたという感覚もありました。相手のことも聴きたかったし申し訳ない感情もあったのですが、しっかり受け止めてもらう時間があったということが本当にありがたくて。この経験が私の中で殻を破ってくれたような、そんな瞬間になりました。


「対話なんて意味がない」思わず発した言葉に感じた絶望

――聴いて受け止めてくれた、ということがすごく安心できますね。お母様への想いを口にするのはすごくつらかったと思います。

moecaさん:これまでも母の死についてはさんざん向き合ってきたのですが、それでもやはり本人に見立てて、となった瞬間にうまく言葉にできない自分に気づけたのは大きかったです。その日の講義では、未完の行為がいつ完了するかは人それぞれだし、それと共にある人生かもしれない、それはそれでいいということを伝えてもらいました。

これまでは早く向き合って解決しなきゃ、という想いがどこかにあって結構長い時間を割いてきたのですが、今はまだ乗り越えられなくてもいい、いつかきっとその日は来ると思えたんです。

――その時には前向きな気持ちを感じていたのでしょうか?

moecaさん:正直、講義の直後は「もう無理だ、つらい」という感情になりました。ペアでの対話後に「もう意味がない」という言葉が出てきたんですよね。さんざんこれまで対話に向き合ってきたけれど、一番向き合いたい人はもういないから意味がない、って。

すごく絶望的でしたが、なんだかモヤモヤが晴れたような、謎が解けたような感覚も同時に湧き上がっていました。

それから内省を深めていく中で「意味がない」というのは「このままでは意味がない」ということなのかな、と自分の中に落とし込めて。対話が好きな人の中で対話を深められるのは当然だと思うんですよ。でもそうじゃない人とも対話できる自分になっていくことが、これからやっていくべきことなのかなと感じられました。

――「意味がない」というのはmoecaさん自身が発した言葉だったのですね。

moecaさん:そうなんです。本当に考えずに出てきた言葉でした。自分の口から発した言葉を耳で聴いて「あ、そういうふうに私は思ったんだ」と意味を理解したようなイメージです。そのあともDANRO Autumnでは「言ってみて理解する」という感覚を感じたことが何回もあって、なんだか新鮮でしたね。

――それで「殻を破れた」と感じたのですね。では前半と後半ではDANROの時間の中での向き合い方や感じ方も変わりましたか?

moecaさん:そうですね!前半はまだやっぱり「こうしたほうが、こう言ったほうがいいかな」ということに少しとらわれていたような気がします。その場で求められているものを勝手に感じ取っているような。それが自分らしさでもあるし、最後まで完全になくなったわけではありませんが、そこから少し、自由になったような気がします。

――自由に、というとどんな感覚ですか?

moecaさん:肩の力が抜けた感じです!1回目の自分と最終回の自分を単純に比較したときに、その点が大きく違っていると思います。それは3回目の出来事が一番のインパクトになりましたが、並行してメンターさんとの1on1があったこともあり徐々に変わっていけたように思います。

いろんな自分を許せたことが救いに

ーーメンターさんとはどんなお話をされましたか?

moecaさん:「こういう場ではこうあらねば」という想いと「でもこうありたい」という矛盾した想いが出てきたときに、どうしたらいいか分からないというお話をしました。そうしたらメンターさんは、「1つにしなくてもいいんじゃないかな」と言ってくれたんです。さらに、「矛盾している」ということさえもシェアしてみるのはどうだろう、とアイディアをくれました。。

――なるほど。そのときはどんなふうに感じましたか?

moecaさん:とても新鮮でした。その言葉は、DANRO Autumnの期間を通してじわじわと自分の中に入ってきて、「あ、そっか、全部あっていいんだ」と思えるようになったんです。混沌としていてもいいんだなって。考えが全部ある状態って本当に混沌としているんです(笑)

――その混沌とした状態は、普通に考えたらつらい状態じゃないかなと思うんです。答えが出ないモヤモヤを抱えるより、白黒つけてはっきりしたい、というような。それが「つらい状態」というのとは違う感覚で捉えられているのでしょうか。

moecaさん:私も同じくつらいのではないかって思っていました。でも実際、今こうして気持ちを共存させてみると「悪くないな」という感じです。そもそも私の人生って、はっきりしない状態の方が通常運転なのかもしれない(笑)
だから白黒つかない感情も、今は全部大事にしてあげたいなと思っています。

――今のお話を聞いたら、モヤモヤは悪ではなく、むしろ自分に優しくなれている状態なのかなと感じました。

moecaさん:そうですね、私もモヤモヤは自分を苦しめるものだと思っていました。どっちでもいいよと認めてあげられることは簡単なようですごく難しいですよね。

私の中にはいつも色々な人がいて、いつもそれぞれ色々なことを言っていて「うわー」ってなりがちだったのですが、なんだか「そっか、私はもうそういうタイプだもんね」というのを認めてあげられたような気がします。混沌を許すということは、私の中で救いになりました

――自分の意見はこれです!と自信を持って言い切れる人はかっこいいなと思いますが、やはり矛盾を抱えて生きている人も多いですよね。それでもいいんだと思えたら、かっこいい人に無理してならなくてもいいと思えて逆に楽になりそうだな、と感じました。


対話は必ず、前へ進めてくれる

――では、moecaさんにとってDANROとはどんな場所ですか?

moecaさん:「人との関わりを楽しむ希望のような場所」です。DANROといえば温かい場所という印象がある人が多いと思いますし、私もそう思っています。でも私の中ではまだ遠くから眺めているような、そんな感覚もあるんです。

もっともっと温まれる場所がDANROにはある。私自身はまだ誰かを温められるほどポカポカしていないのですが、ここにいれば何か変わるかもしれない。なんだかまだこれで終わりという感じではないから「希望」ですね。

――素敵です。まだまだここから、始まるのですね。

moecaさん:私はDANRO HOMEやDANRO CHILDRENにも参加しているので、来年もDANROとの関係性は続いていきます。だから「期間限定の場所ではない」という感覚です。

――「期間限定の場所じゃない」すごく響く言葉です。最後にmoecaさんにとって対話とは?

moecaさん:「気づきをくれるもの」ですね。私、何かに気づくという瞬間がすごく好きなんです。自分との対話や人との対話は癒しもあるけれど、それ以上に気づきがたくさんあります。だからたぶん、ずっと対話をし続けるんだろうなと思います。

対話で温まるというのはDANROに参加する前から感じていて、安心して話せる、聴けるというイメージでした。もちろんそれもあるけれど、それだけじゃないということをDANRO Autumnを終えた今は感じられています。すごく絶望的な時間もあったけれど、それは何にも変え難い大切な気づきをくれた。対話は絶対に前に進むきっかけをくれるんです。

――DANROを通してmoecaさんは大きな気づきを得たのですね。今日はたくさんのエピソードを話してくださり、ありがとうございました!この記事が“誰かの気づき”になりますように……。


◎こちらも合わせてぜひお読みください。DANRO Autumnに参加して(moeca*さん)



moeca*さんについて

言葉と音の創作家
ピアノの弾き語りをするアーティストであり、インタビューライター。「わたしらしい生き方」を探しながら、感じたことを音や言葉で表現している。
note / Instagram / HP

DANROについて

「日常に対話を、対話を文化に。」をスローガンに掲げるダイアログカンパニー。私たちがともにこの世界に生きていくために、人、自然、社会など全体性を探求しながら、循環し合える空間を創造しています。
実践型対話スクール、DANRO CHILDREN、自己を探究するダイアログコミュニティの運営などを行う。その他対話を軸とした事業を展開。
HPInstagram


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▼実践型対話スクールDANROの詳細は、下記からご覧ください

インタビュアー・記事/山中麻衣
「想いをつなぐ」取材・インタビューライター。その他企業と読者をつなぐwebライティングも。公式noteは<こちら>


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