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花咲舞が黙ったのにはワケがある

 俳優の今田美桜さん主演の連続ドラマ「花咲舞が黙ってない」(日テレ系・土曜夜)が苦戦しています。6月8日に放送された第9話は、ビデオリサーチの調査によれば、関東地区の平均視聴率は世帯6・4%にとどまりました。
 「花咲舞が黙ってない」は作家・池井戸潤さんの原作。テレビドラマは平均視聴率が16・0%を記録した2014年のシリーズ1、14・5%の15年のシリーズ2に続き、今回がシリーズ3。

 2014年~15年は安倍晋三氏が首相を務めた時期です。安倍政権は「一億総活躍社会」の実現に向けて新・三本の矢を放ち、社会保障の充実を図ると誰もが聞かされていました。希望があちこちにあったように見えました。そして花咲舞が信じたように「正義は勝つ」はずでした。

 ところが、見えないところでほころびが生じていました。

 大きなほころびは森友学園の問題でした。学校法人の森友学園が小学校用地として2016年に購入した大阪府豊中市の国有地をめぐり、不自然で不透明な売買価格が明らかになりました。18年に国有地の売却を管轄した近畿財務局職員が自死したこともあり、その前から安倍氏夫人の森友学園名誉校長就任を含めて国会で連日取り上げられました。

 自死した職員は疑惑に蓋をするために公文書改ざんを命じられていました。
 何が正義で、何が不義かが分からなくなりました。

 日本国憲法第15 条第2項は「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者で はない」とうたいます。国家公務員法第 96 条も「すべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務しなければならない」と定めています。
 安倍政権にとって、公文書を改ざんしてまで「守りたい」ものは何だったのか。
 善人と悪党の線引きができない時代が、「花咲舞が黙ってない」のシーズン2終了後から続いているのです。絶望の時代に花咲舞は似合いません。黙るしかありません。ですから、シーズン3の視聴率が低迷しているのだと考えられます。(了)
 

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