アウトプット失恋読書日記23
トカトントン / 太宰治
私は高校時代から太宰を偏愛していて、全作品を読んだし、一人で五所川原の斜陽館まで旅したこともある。
何がそんな魅力なのかと言われたら、まああの高い自意識と、それを恥じる羞恥心と、それらがゴッチャになって行ったり来たりしているところ。
ニヒリズムの人でもあるが、ものすごく俗っぽいところもある。
いくつかある好きな作品のうちの一つ。
誰しも聞こえませんか、あのトカトントンという音。
ようし、やるぞ!と熱意に燃えている時に、いきなり聞こえて来るあの音。
熱狂し、盲目的に、純粋に心を注いでいる最中に、聞こえてくるあの音。
とたんに、ケッ、という気分になる。
彼は女性にも良くモテた。作家としての魅力も勿論のこと、顔立ちがいい男の部類に入っていた(ただし美醜に敏感な人のあるあるだが、彼は自分の鼻の大きさを気にしていた)。そしてやはり何か女性がほっとけない、母性本能をくすぐるところがあった。
きっと身近に自分もいたら、恋していただろう。
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