色の風に吹かれて
トラムの始発が走る音がかすかに聞こえて
また新しい一日が始まろうとしてる
ベッドから起き上がると窓の外には
煉瓦色の屋根を薄っすら雪が覆っていて
その白が朝焼けの中で少し朱に染まっているようにも見える
ふと
いつか出会っていつか別れた、あの子のほっぺの色を思い出す
ある冬の日の朝のこと
抱きしめたあの子のほっぺを僕が見ていた時、彼女はどこを見ていたのだろう
その答えを実は僕は知っていた
その日からもう何も話せなくなった
愛されたいから傷つけたくないだけ
それを優しさなどと、皆んなから言われるけれど
今も
冷たいカラダ
冷たいココロ
春を待つ季節の悲しみや涙や苦しみ
君を受けとめることすら出来ないでいるのに
せめて、あの雪が解けていく時の
君の言葉を聞いていたい
せめて、灰色の世界に光が差す時の
君の声に触れていたい
今日、君の世界はオレンジ色に輝くの?
その日、その時、ココロのままに、
幾多幾千の色が踊るカンバスから届く、風に吹かれて
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