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バッキー事件公判傍聴記・2008年4月24日(被告人・栗山龍)

2008年4月24日
東京高裁第四刑事部
803号法廷
事件番号・平成20年(う)第322号
罪名・強姦致傷、傷害
被告人・栗山龍
裁判長・門野博
裁判官・鬼澤友直
裁判官・奥山豪
検察官・小暮輝信

 栗山龍は、バッキ―事件の主犯格である。バッキ―事件とは、AV女優をだまして鬼畜AVに出演させ、危険・暴力的な撮影を強要し、重傷を負わせた事件である。女優の中には、傷害により、車椅子での生活となった人もいるとのことだ。事件名は、栗山龍が主宰していたAVメーカー、バッキ―ビジュアルプランニングからとられている。
栗山は無罪を主張したが、懲役20年を求刑され、一審の東京地裁判決では懲役18年が言い渡された。

傍聴人は12,3人しかいなかった。裁判傍聴では注目されがちな性犯罪であり、大きく喧伝されているバッキ―事件の主犯格の公判である。それにしては、傍聴人はずいぶんと少ないと感じられた。控訴審になると、あまり注目されないものなのか。
検察官は、眼鏡をかけた短髪の中年男性。
弁護人は、眼鏡をかけた痩せ気味の中年男性だった。
被告人は、短い髪を七三分けにした、ややがっしりとした、浅黒い中年男性だった。アクの強い印象を与える顔立ち。ノーネクタイの黒いスーツ姿だった。入廷時、傍聴席をじろりと一瞥して入廷した。ネット上に情報を流している人間が、傍聴に来ていると思ったのかもしれない。
門野裁判長は、眼鏡をかけた、白髪を七三分けにした男性だった。
栗山龍の控訴審初公判は、803号法廷で、11時より開廷した。

裁判長『被告人、前に立ってください』
被告人『はい』
被告人は促され、証言台の前に立つ。
裁判長『名前を言ってください』
被告人『栗山龍です』
裁判長『生年月日は』
被告人『えー、昭和39年4月1日です』
裁判長『本籍地は』
被告人『えー、愛知県名古屋市名東区(略)』
裁判長『一審判決だと、住居は不定、職業は元会社役員で、現在は無職』
被告人『はい』
裁判長『それでよろしいですか』
被告人『はい』
栗山は、頷いた。
裁判長『一審判決がありましたけども』
被告人『はい』
裁判長『控訴の申し立てがあり』
被告人『はい』
裁判長『これから、控訴審の審理を行います』
被告人『はい、はい』
裁判長『いったん、席に戻ってください』
被告人『はい』
栗山は、被告席に戻った。


裁判長『弁護人の控訴趣意は、控訴趣意書記載の通りですか』
弁護人『はい』
裁判長『検察官、意見は』
検察官『論旨には理由はなく、控訴棄却が相当と思料します』
裁判長『ありませんよってものもある』
弁護人『存否で』
裁判長『弁1,5、このあたり中心に検討してほしいという話がある。それから、取り調べ請求のなされてる証拠は』
検察官『書証、いずれも不同意。人証、必要性がない。被告人質問、必要ないと思料します』
裁判長『H、事実関係で書かれたのではないと』
弁護人『一種の証言の信用性についての問題』
裁判長『検察官は』
検察官『信用性争いますが、取り調べるなら反対はしません』
裁判長『存在しないか否か、被告から聞いても・・・』
弁護人『存在しているか否か、被告人質問で聞きたい』
裁判長『30分となっているが、本日実施するのか、それとも、開示の内容を見てか』
弁護人『開示の内容を見て、被告人質問をしたいんですけど』
裁判長『検察官に検討してもらい、出そろってから聞いた方がまとまりあると思う』
弁護人『はい』
裁判長『採否、法廷ではしないが、証人、採用する予定ないので。次回決めたい。よろしいですか?』
弁護人『はい』
裁判長『っと、失礼しました。書面留保、書証、不同意』
検察官『はい』
裁判長『書面、採用して取り調べます。写しを提出するんですね』
弁護人『はい』
裁判長『原本は』
弁護人『今日はございません』
裁判長『とりあえず、見せてください』
弁護人は、書記官を介し、書面を裁判長に渡す。
裁判長『これ、あの、出してもいいという趣旨』
弁護人『はい』
書面は、検察官にも手渡される。
裁判長『ボールペンで消されているのは?』
弁護人『Hの手紙でして、Hについて、量刑不満と』
検察官『すべて出してほしい!都合いいところだけ出すの、アンフェアです!』
裁判長『もっともだと思います』
弁護人『全文出しても、問題ないですか?(栗山は、頷いた)では、提出します』
次回期日は、5月15日14時に指定される。
こうして、控訴審初公判は、11時10分に終了した。
栗山は、裁判長の方を見ていることが多かった。弁護人と話し、傍聴席の方を見て、退廷した。

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