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東京都連続昏睡強姦事件公判傍聴記・2022年7月12日(被告人・丸田憲司朗)

2022年7月12日
東京地裁18刑事部
426号法廷
事件番号・令和2年合(わ)第314号等
罪名・準強制性交等、住居侵入、準強姦、準強制性交等未遂、準強制わいせつ
被告人・丸田憲司朗
裁判長・野島賢
書記官・村田寿一

14時40分に、法廷前に5人ほど並んでおり、14時58分に入廷が許された際には、13人ほどになった。
弁護人は、眼鏡をかけた七三分けの初老の男性一名。
検察官は、眼鏡をかけた中年男性、髪の長い若い女性、眼鏡をかけたショートカットの女性の3名。いずれかは、被害者参加代理人かもしれない。
裁判長は、眼鏡をかけた短髪の中年男性。検察官は、髪を後ろで束ねた中年女性と、短髪の青年。
被告人は、髪が少し伸びて、前髪のある短髪。スーツ姿に、青いサンダルという格好。白いマスクをつけている。相変わらず、顔は膨れている。証言台の椅子に座り、書類にサインを行う。職員に「はい」と答える。そして、促され、被告席へと座る。書類をたたみ、スーツのポケットに入れていた。
15時に、公判は開始した。

裁判長『前回に引き続き、審理。弁護人、甲87号証、103号証について、従前の意見を変更し、同意するという意見をもらった。採用決定する。後ほど、取り調べを行います。こう87号証はGさんの事件。7件目の事件。甲103号証は、Iさんの事件、9件目。陳述、認めるという趣旨ですか?』
弁護人『えーと、公訴事実に対しての意見は、従前どおりです』
裁判長『弁護人、意見頂いた時の公判調書、被告人に、被告事件についての陳述を求め、「私は一連の事件当時、多種多様なアルコールを服用しておりましたので、記憶にない。しかし、結果的に、大変申し訳ないと思っています。申し訳ありません」と。被告人は、「記憶が一部なくなっている部分があります。認識が違っている部分もあります」と。私から、「認識が違うとは」と。被告人、「内容です」と。被告人、「詳しくは今お答えすることができないです」と。それは記憶がないという事なのか、と尋ね、被告人最終的に、「黙秘します」と。これら、従前の認否と。被告人は認否が不明なため、それで進行してくださいと弁護人は言っている。被告人の認否、不明ということで変わらないと?』
弁護人『ええ』
裁判長『不明なんですか?打ち合わせはされていないんですか?』
弁護人『まあ、不明というのは、要するに、前回冒頭で言ったように、あの、薬の影響などで、認否できないということで』
裁判長『もちろん、接見交通の中身は聞きませんが、理由、犯罪の成否について争いますということ、理由は不明ということでよいか』
弁護人『結構です』
裁判長『訴訟行為として良いのか』
弁護人『打ち合わせしました(笑)』
裁判長『これ以上きくの、やめます。調書に、第7、第9、従前どおりと。それ以上とらない。それでは、検察官、87号証、103号証、採用済みですので、取り調べる』

*甲87号証
被害者Gさんの検察官への供述調書。
被害当時の年齢は20歳。被告人とは、当時利用していたマッチングアプリを通じて知り合い、その後、LINEで連絡を取り合うようになり、被告人から、「ご飯でもいこっか」と誘われて、平成29年4月21日夜に、銀座のバーで会うことになった。Gさんは体質的にアルコールに弱く、いつもアルコール度数の低い甘いお酒を一、二杯程度しか飲まない。被告人と合流してから、3%前後のアルコール度数を選んだ。その理由は、友人がアルバイトしているバーに一人で行くことがよくあったが、そのバーでも3%前後ならば二杯飲んでも全く酔いつぶれることはなく、銀座のバーで被告人と会った時も3%前後の甘い酒なら、酔いつぶれることはないと思った。被告人が受け渡し場所まで行き、被告人が注文したお酒と、被害者Gさんが注文したお酒、おつまみを、席まで持ってきてくれた。お酒を飲みながら会話していると、飲み始めて10分ぐらい経過したころから、これまで経験したことのない強烈な眠気に襲われた。眠気を覚まそうとトイレに行ったが、気付いたらそのままトイレで眠ってしまった。目を覚ました者の、強烈な眠気が残るままで、何とかトイレから出て、フラフラで被告人のいる席に戻ったと思うが、その頃から記憶が断片的。どこか知らない部屋にいた時に、被告人から、錠剤のようなものを口の中に入れられ、飲まされた印象は強く残っている。その後、性的被害にあっている状況も、断片的に記憶にある場面があり、その際は、絶対に嫌だと思ったが、体に力が入らずに、抵抗することもできず、その後また記憶が途切れた。被告人から解放されて、タクシーの後部座席にのせられた後、やっと解放される、生きててよかったと思い、運転手に住所を告げた後、安堵して寝てしまった。被告人は、反省しているとは全く思えず、被告人が当時の事をはっきり覚えていないと言っていると聞き、涙が止まらなかった。本当に悔しく、被告人には一生刑務所に入ってもらいたい。

*甲103号証
被害者Iさんの検察官への供述調書。
被害当時の年齢は19歳。マッチングアプリで彼氏を作ろうとは思っておらず、見分を広げるためマッチングアプリの利用をはじめ、平成29年春ごろ、同アプリを通じて被告人からコンタクトがあり、その後、LINEを通じて連絡を取り合うようになった。平成29年5月3日夜に、被告人と二人で焼き肉を食べたり、海鮮居酒屋で飲食をしたことがあった。7月中旬から、被告人から、「またご飯行きますか」と誘いが入るようになり、平成29年10月1日夜に、銀座で被告人と会うことになった。被告人の決めたバーに行き、メニュー表の中から被告人が薦めてきたカクテルを飲むことにし、運ばれてきたカクテル飲むなどし、「ちょっとトイレに行ってきますね」と言って、トイレに行くために席を外した。トイレから席に戻り、ふとテーブルの上にあった自分の飲みかけのカクテルを見ると、グラスには、角砂糖が砕かれたような、細かいざらざらとしたものがたまっていたことに気付いた。それを見て違和感を感じたのに気付いたのか、被告人は、いきなり、「早次に行こうよ、開けちゃいなよ」などとせかしてきた。被告人は既に自身の酒を飲み終えており、Iさんが飲み干さないと次の注文ができないのかと思い、薦められるがまま残っているカクテルを飲み干した。一瞬、グラスの底にあったものが、睡眠薬かもしれないという思いがよぎったが、まさかなと思った。カクテルを飲み干した直後から、いきなり記憶を失った。酔っぱらった認識がないまま、いきなり記憶を失うのは初めてで、この時以降も同じ経験をしたことはない。記憶がなくなってから、タクシーの後部座席で横になっていたという記憶が断片的にある。次に記憶が戻ったのは、どこかの駅のホームにいたことであり、またすぐに記憶がなくなり、次に記憶が戻ったのは、小田急線新宿駅の改札の前。令和2年12月、被告人が逮捕されたという報道を目にし、心臓の音がとても大きくなり、冷や汗が出て手が震えた。自分の行った罪を認めてほしい。被害にあったと知ってから、メンタルをやられ、心療内科に行き、PTSDと診断された。被告人が反省しているとは思えず、社会に出てきたら絶対また同じことをすると思う。できることなら一生刑務所で服役するか、死刑にしてほしい。

裁判長『Gさん、Iさんの証人尋問請求、撤回ということで』
検察官『撤回します』
裁判長『弁護人、異議ないね。Gさんは撤回とします。Iさん、既に採用決定していたので、今の意見を聞き、採用取り消し。本日の審理、以上となる。さらにあるか。今後の進行について』
検察官『残る被害者1名と日程調整をしている。おいおいご説明をしたい』
裁判長『期日指定は困難な状態だという事ですか』
検察官『はい。7月25日に実施するのは困難と考えております。いつなのかという事と、現時点で、確かなことは申し上げられないですので。期日指定については、若干先の方にしていただきたい』
裁判長『弁護人は、期日の進行について何かありますか』
弁護人『今回の件について、進行について、特にございません』
裁判長『本日以上、次回期日は追って指定。この後、打ち合わせを。被害者参加人も残って』
検察官や被害者参加代理人は、頷く。
裁判長『被告人も聞いてください』
被告人は、裁判長の方を見る。
裁判長『追って指定します、次回、追って指定。出頭して』
被告人『はい』
裁判長『本日は以上とします』
15時15分に閉廷となる。17時まで予定されていた。
閉廷後、被告人は、弁護人と少し話をし、傍聴席の方を見ることなく退廷した。どのような理由から、認めることにしたのであろうか。また、弁護人との意思の疎通はできているのだろうか。疑問は尽きなかった。
この公判は、開廷後に次々と傍聴人が入廷し、最終的に傍聴席は満席になった。また、足音やドアの開閉音が非常にうるさかった。


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