WHO’S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT👑FIGHT WEEK ー宇津木秀選手

2024年7月17日 17:02

「二度と戦いたくないと思わせたい」前回勝った選手を相手に再戦に挑む今回の試合

ー今回、2年前の試合の再戦ということで、今回の試合の位置づけは？

今回の試合は大事なポイントだと思っています。前回は王座決定戦で日本チャンピオンになりました。今回は王者に挑戦者する側で、一度勝ったからといっていいとも、驕ってもないですし、（前と同様に）また勝てるとも思ってないです。今年は勝負の年になると考えているので、落とせない試合です。東洋太平洋のベルトを獲れば、保田選手（大橋ジム）がWBOアジアパシフィックのベルトを持っていて、三代選手（横浜光ジム）が日本のベルトをそれぞれ持っていて、今回鈴木選手に勝てば統一戦は確定なんじゃいないかと感じています。今回勝って世界に行く弾みをつけるという意味でも大事な試合だと思います。

ー今回の試合に向けて、もしくは試合までに何か特別なトレーニングを実施しましたか？

変わったトレーニングは特にしていなくて、今まで通りメンタルトレーニングでメンタルの強化をしています。（詳細はプライベートの話で後述）ボクシングの技術では、自分の持ち味であるディフェンス力を強化して、相手を崩していく能力が強みだと思っているので、小林トレーナーと話し合いながら強化しました。
スパーリングは、同門で1階級上の関根幸太郎選手や山本ライアン選手と思に。

ーボクシングモバイルさんの鈴木選手の記事では、弟の稔弘選手とスパーリングをされたような記載を見たのですが、稔弘選手とはスパーリングをされましたか？

とし（稔弘選手）とは、試合が決まってからはやってないです。再起戦の前にスパーリングを何回か。今回も1回依頼したんですけど、やりにくいと言われて断られました。

ー今回の試合は何を活かしてどう勝つ予定ですか？

今回は2年前とはちがうボクシングの戦い方で勝負して、圧倒的に勝ちたいと思ってます。二度とやりたくないと思わせたいですね。

ダイヤモンドグローブ 2022年2月8日(火)
VS 鈴木雅弘選手（角海老宝石ジム）
出典：ボクシングモバイル

再起戦勝利後は「ほっとした」前回の試合の話

ー前回の試合、試合直前また試合直後はどんなお気持ちでしたか？

直前はいつもどおり緊張していましたが、いつもどおりという感じでした。再起戦だから、という何か特別なのもなく。とにかく目の前の一戦を勝たなきゃというのもありましたし。終わった後は再起ができたことに勝って、ほっとしましたね

ー周りからはどんな反応がありましたか？

前回の試合よりも、負けた試合の時の方が印象が強いので、周りにはその方が色々言われますね。再起戦をクリアしても、勝って当たり前だと思われていたようですね。再起はできたので、とにかく安心してました。

人生の転機①ボクシングを始めたこと。中学生の時に大学生にボコボコに？進学を決意した話

ーここからは人生の転機を教えてください。

1つ目の転機はボクシングをはじめたことですね。双子の兄たちが高校から始めて家でスパーリングが始まって、「兄貴たちに負けたくない。」という気持ちで、清瀬の沼田ジムで自分もボクシングを始めました。実は高校は行く気もなかったんですけど、ジムに花咲徳栄高校の木庭監督が見に来てくれて、高校の練習に誘われました。木庭監督は滅多にジムにいらっしゃらないですし、それっきりでしたが、自分が高校の練習に行くようになって。高校の練習では、平成国際大学の大学生とスパーリングをさせられたんです。それでボクシングの実力がないのに気持ちで行ってボコボコにされて…。中学卒業したらプロに行こうと思ってたんですが、これではプロに行っても通じないと思いました。木庭先生が高校入学も誘ってくださって、高校に行けるなら行っといたほうがいいなと、と思い、進学を決意しました。

正直、中学校で真面目な方ではなかったですし、家から徒歩5分の距離なのに、100回くらいは遅刻してました（笑）でも、家から2時間かかる高校・大学はほぼ遅刻で、よく続けられたなと思ってます。

ー2時間…！朝練とかあったんですよね？どうしてそんなに変われたんですか？

朝練ももちろんありました。朝4時に起きて、5時の電車に乗って。いざ振り返ると人間って変わるんだなと思えますね。
どうして…そうですね、親とおばあちゃんのおかげで高校に通えているという感謝の気持ちですね。両親は僕が3-4歳の時離婚したんです。それでおばあちゃんがお母さんの代わりで。高校に上がってから、少しでもいいから恩返しをしたいなと思ってました。中学時代は反抗期があったので、高校大学は真面目に過ごしています。全国一位になって恩返しができたら、と思っていましたが、なれなかったですね。

プロデビューしてから、父は毎回きてくれます。おばあちゃんはプロデビュー戦だけ来てくれました。家から後楽園ホールは遠いですし、身体を崩しちゃうので、後日映像でみてくれたり、勝ったら報告しています。怪我をしないようにだけ気を付けなさいと言ってくれます。

人生の転機②コロナの後遺症をきっかけにボクシングへの向き合い方が変化

2020年の初めに、みんながコロナで騒いでる中、僕がプロボクサーとして一番最初に感染しました。記事にもなったんですよ、某ボクシングジムの1人が罹患しました、って。
感染から復帰して、コロナ禍の期間で試合を1回したんです。コロナの後遺症もあって、その計量3日前に膝に水が溜まってしまって。

ーえ、そうだったんですか。急にですか？

体重落とすために走ってたら突然…。無理矢理押し込んで試合に出ました。
その試合を乗り越えられたので、日本王座に挑戦できました。キーポイントでしたね。それに出場せずにいたら、もっと遠回りになっていたと思います。判定だったんですけど、強い気持ちを持てました。

これは運命だと思っていて、1ラウンド目に膝をついた瞬間に痛すぎて目が覚めたんです。そこから戦い方が変わって。膝が痛い分膝に来ない、上手く足を使うスタイルに。

ボクシングへの向き合い方が変わって、よりボクシングを研究するようになりました。人を真似するのは得意だったんですけど、自分の怪我や身体の状態に着目して、一番良い戦い方をよく考えるようになって模索しています。
井岡さんの試合を観て研究するようになりました。すり足や姿勢のポジション、打ち方。サラストレーナーの動画とか見てるんですけど、（井岡さんが）丁寧に自分のボクシングをしていて、ディフェンス面や攻撃の仕方を似せにいってるので参考になります。今も走ると痛いんですよね。走りたいです（笑）

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2021年7月14日(水)　VS中井龍選手（角海老宝石ジム）
出典：ボクシングモバイル

人生の転機③教え子たちの闘う姿、そして世界で闘うプロボクサーたちに感化され、再びボクシングの世界へ

大学を卒業してから、お父さんの繋がりで水道設備屋の鈴木建設さんで働いていました。働きながら高校大学のコーチをやらせてもらってたんです。教え子の試合のセコンドに入ってる中でもそうですし、2017年の有明コロシアムでやった、村田諒太さんとエンダムの世界戦や比嘉大吾選手（志成ジム）の世界戦などを見て奮い立たされ、何かが動かされました。物足りなさを感じたんですよね。やらないで後悔したくない。もやもやするんだったら挑戦して後悔する方が良いなと思いました。

それで全日本社会人選手権で優勝したらプロに転向しようと思っていて、優勝したのでワタナベジムでプロデビューしました。

ーそうだったんですね。母校のコーチはどういう経緯で始めたんですか？

なんでかは忘れました…。社会人になって時間があったので、手伝っていました。あ、たしか「手伝ってくれ」とは言われていましたね。セコンドに入るのもライセンスとって。アマチュアのライセンスも結構取るの大変なんですよね。

ー講習会とか結構ありますもんね。村田諒太さんは元々好きな選手だったんですか？

正直に言うと元々別に好きではなく、ファンでもなく。ボクシングをやっていてすごく強い選手というのは知っていました。きっかけになった試合を観に行ったのは、「世界戦だし観に行きたいな」と思っていました。比嘉大吾選手、拳四朗選手も世界戦をやってましたけど、村田選手が一番凄いなと思ったのは、負けてもお客さんが応援してるシーンを観たことですね。

ーエンダム選手との初戦は疑惑の判定でしたよね。中学生の頃にプロボクサーを目指していたかと思うのですが、大学を卒業して離れてしまったのはなぜか伺ってもいいですか？

大学3年4年で2年連続で大学ボクシング部の主将をやっていたんですよ。切羽詰まって、段々苦しくなっていきました。大学4年生の全日本選手権が終わった瞬間に、大学の部活を引退して解放感があって、やりきった気分で、（ボクシングは）もういっかという気持ちになりました。
そこからボディビルにハマりました。

ーボディビルですか？

はい。身体を鍛えるのは好きで、鍛えれば外見でわかりますし、すぐ成長するのでやってて気持ちよかったんです。アマチュア引退後はただただ鍛えてましたね。親父と一緒に鍛えてたんですけど、親父は元々細くて、僕がボクシング始めた時に鍛え始めて。息子に負けないぞという気持ちなんですかね（笑）

ーお話の端々からお父様が登場して、仲の良さをうかがえますね（笑）

元ボクサーがプロモーターに、そしてトーナメントが増えたことで選手のチャンスが増えたと実感する最近の業界

ーボクシングキャリアは10年以上になりますよね。歴が長いですが、始めたころから比べるとボクシング業界は特に「ここが変わったなー」と感じる部分はありますか？

プロボクシングを引退した亀田興毅さんや伊藤雅雪さんがプロモーターとして戻ってきて、業界を発展させていると感じます。世間にボクシングを広めていると思いますし、選手にとってもチャンスが増えたなと思います。

あと、トーナメントが増えて、昔じゃ考えられない流れですよね。世界ランキングが上がるチャンスですし、賞金も出るなら選手もやる気がでますよね。7月15日に大阪で初戦が開催されるミドル級のトーナメントは賞金が一億円なんて夢があります。ランキングの争いになりますし、ベルトに近くなるチャンスももらえて良いですよね。今回のライト級トーナメントはタイミングが悪かったので、出れませんでしたけど、もっとトーナメントが増えてくれるといいなと思っています。

泣くことでストレス発散？！プライベートの話。課題の話も。

ープライベートのお話をお伺いさせてください。マイキーさん（猫）お元気ですか？

マイキーお元気です（笑）マイキーは実家にいるんですけど、この前久々に会ったら凶暴化していました。構ってないからかもしれないですね。親父の手遊びがめちゃくちゃ激しいので、それも原因かも…（笑）

ーマイキー凶暴化してるんですね…！宇津木選手ご自身の最近の息抜きを教えてください。

試合前なので最近はやってないんですが、休日は妻とピクニックしてます。公園を探して、広い原っぱでお弁当を持って、フリスビーやったり。川にBBQに行ったり。

ー絵にかいたようないい夫婦ですね！試合前はどんな息抜きをされてますか？

試合前はドラマを観ています。日曜劇場を観ることが多くて、結構前の「陸王」とか、見直して泣いています。熱くてなれるドラマを観ますね…。「シーサイドゲーム」も好きで、熱い思いを持ってラグビーをして努力して、良いとラマですよね。ドラマは感情移入するんですよ。ストレス発散は感動系のドラマ・映画をみて泣くことです。僕、涙もろいんですよ。リアルでも人が泣いているのをみると、感情が入ってしまって。

逆に言うと、ムキになってしまうんですよね、これは自分の課題でした。一発もらって、ムキになる。でもメンタルトレーニングで直しました。前回の負けで、感情が先に出てしまいました。高校から変わってないことに気づきましたね。メンタルトレーニングで、思ってる感情を深堀りしたときがあったんですが、他人をなめたような感じで見ていて、自分の方が強いというのが強くて天狗になっていることに気づきました。それに気づいてかなり変わりました。「常に恐れておけ」というのが今では教訓です。

知られざる京口選手との「兄弟関係」の話

ー同門の京口紘人選手を「兄貴」と呼んでらっしゃるとうかがいました。京口選手との「兄弟関係」についてお伺いさせてください

なんで兄弟関係になったかというと、定かではないんですけど…。高校大学の頃から京口さんのSNSを見てて「すげー選手だ」と思っていました。2013年の長崎国体で僕が５位で、京口さんが優勝した大会で会ったんです。普段選手に声かけるなんてしないんですが、帰り際に京口さんに声を掛けました。「いつも見てます、応援してます。」って。そこが出会いですね。

プロになって、ワタナベジムにたまたま京口さんがいて、ごはんに行く位の仲になりました。小林トレーナーと組んでから、アドバイスをしてくれるようになりました。練習も、礼儀も、尊敬できるなと思った。急に兄貴と呼ぶようになりました（笑）この人に付いていったら、背中を見せてもらってて、兄貴みたいになれるかなと思っています。

「この人いやなボクシングをするな」と思われたい。今回の試合の見どころ

ー「初めて宇津木選手にボクシングを観る」という方に向けて、今回の試合の見どころを教えてください！

試合を観る人は、やっぱりディフェンスの部分に注目してほしいです。パンチをもらわないところだったり、その中で相手の嫌な部分をついて、相手がどんどん弱っていって最後に仕留めるのを期待してほしいです。「この人いやなボクシングをするな」と思ってくれれば最高の言葉です（笑）綺麗でかっこいいボクシングするけど、いやなポイントをついてくるボクシングをするなと思ってもらえれば、僕が望んでいるようなボクシングができていると思います

ーめちゃくちゃ面白いコメント、ありがとうございます！また今日はお時間いただきありがとうございました！試合が楽しみですね

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