強さは

強くありたいと
願うわたしは
決して強くはなかった
いつも暗闇に
感じていたひかり
それは
弱さの中にあった
わたしの中にあったひかりは
願う強さとは違った
言葉にはできないような
強くも弱くもないそれが
強くも弱くもあるそれが
今、なつかしい
わたしはひとりで
つねに何かに焦がれ
つねに何かに怯え
つねに揺れ動くなかで
つねに同じひかりを感じていた
わたしが望むわたしに
なろうとした
けれどなれなかった
それでも
強くなったような気がしていた
けれどそれは
わたしではなかった
わたしは無力で
揺らいでいて
それを認めることが
わたしだった
あたりまえのわたしだった
目を閉じたとき
胸がくるしいほど
わたしはわたしで
その無力さに
戸惑うその姿こそ
紛れもなくわたしだった
わたしは何者でもない
なにも持たない
だからこそ
世界は大きくひかり輝いて
死を畏れ
生を感じ

そのさだめから逃げようとして
強くなろうとした
しかし強さはどこにもなかった
ただわたしの中に
すべてがあり
すべてがなかった

2023.06.28

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