悲しい服

くさばなや
どうぶつは
うつくしさだけで
いかりやしっとさえ
うつくしい
いかりやしっとを
ひょうげんするすべを
もっていないかあるいは
それほどもたないからだ

にんげんは
うつくしさのそとがわに
いくえにも
かたいきじの
ふくをきこんで
それをおとなといって
そのきじとは
いかりやしっとを
ちょくせつあらわさずに
けれどもないことにもできずに
ありとあらゆるほうほうで
せかいにばらまいたことによる
ざいあくかんなのだ

そのきじのふくをきると
いきものであることを
わすれてしまう
おそろしいふくなのだ
そのきじのふくをきると
いきもののきもちが
わからなくなってしまう
かなしいふくなのだ

ふくをぬぐには
きれいなひかりがひつようだろう
きもちのいいかぜがひつようだろう
おおきなそらがひつようだろう

ああ、にんげんは
いつまでかたいきじのふくをきて
ちいさなそらを
みあげることすら
わすれているのだろう

2023.09.28

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