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僕には、うつ病の友達がいる。

僕には、うつ病の友達がいる。とある国家試験を受けていて、彼は数年をかけてその試験に取り組んでいたが、最後の試験残り1ヶ月の時にうつ病が発症した。

そんな彼と僕は最近、よくカフェで時間を潰したり、公園で日向ぼっこをしていたりする。

うつ病とは心の病。僕にとっての心の病のイメージとは、「不安で夜も眠れない」という言葉が象徴するように、「不安」という気持ちが先行して起こるものだと考えていた。

将来への不安、人間関係のストレスなど。に頭を巡らせているうちに不安なことで頭がいっぱいになって、眠れない、布団から出られない、ご飯が食べられない。そうして病気になっていく。うつ病に関して何も知らない僕がこの病気に持っているイメージとはこんなものだった。

夕方のカフェ。彼と暇を潰していた時に、僕は「うつ病になるきっかけって何かあったの?」と聞いてみた。彼は「眼鏡のフィット感がいつもと違うことが気にになって仕方なくなったこと」と言った。そのせいで勉強にあまり集中出来なくなったとある1日。そしてその日から突然、眠っても数時間で起きてしまうようになったと。

次の日には眼鏡を新調したが、数時間で起きてしまうという現象は残った。その時点では、何かがおかしいなと思うだけで、まだ不安はない。ただ数時間で起きてしまう夜が続く。寝不足で勉強が捗らない。試験までの計画と現実にズレが生じ始める。再び眠れない夜。ここで初めてこれからの不安が頭をよぎる。眠れない夜を不安が食いつぶし始める。

こうして病気が発症していったということだった。

僕はてっきり、不安が先で、不安で眠れなくなって、病気になるという順番だと思っていたら、きっかけは眼鏡だった。不安を感じるよりも先に、眼鏡のズレが気になり、寝てもすぐ起きるようになった。
心の病と思っていたけど、SOSを出したのは心より先に体だったということに驚いた。

すっかり日も暮れて夜。僕たちはまだカフェ。一緒に原因を考えてみる。明確なこれ!という原因は分からないけれど、僕と彼の間で、どこかで見えないプレッシャーが彼に常に乗っかっていたんじゃないか、という結論に至った。
頭で考えるよりも先に体がそのプレッシャーに反応したのか、と僕は思った。

体は、頭で考えるよりもずっと先に僕らの気持ちをキャッチしているのかもしれない。宇宙の不思議くらい人間のことは分からないな、と思う帰りの終電。

#一駅ぶんのおどろき #エッセイ #うつ病 #日記

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