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1995 タイ -13-

噛まれていたら死あるのみ。それはそうだ、私はサムイ島にいるし、まともな医療行為をうけることは出来なかった。

25年前のバンコクで衝撃を受けた光景。それは、ひたすら野良犬をこれでもかと蹴飛ばし散らすタイ人の数々。取り分け、屋台をうろつく野良犬に対しては、そこまでやらなくても。。。と引きまくったのは一度や二度ではない。

狂犬病は今のタイでも決して油断していい類のものでは無いし、ワクチンの投与が遅れれば致命傷になる。当時は今よりも野良犬は多かったし、リスクも相当に高かっただろう。一旅行者の私はワクチンすら打たずにタイを経由してネパールを目指していたが、予備知識なき個人旅行は結果オーライとはいえ、かなりのリスクを抱えていたと言える。

バンコクにおける野良犬の処遇(蹴りまくられる)を見るにつけ、たとえ生まれ変わったとしても、タイで犬になるのは絶対にイヤだと思った。ひたすら蹴られまくられていた野良犬はすべからく戦意喪失状態であった。そこまでしないとならない事情は理解できるが。

話をサムイ島に戻そう。ある日、サムイ島で夜中に出歩いた帰り道、ビーチ経由でバンガローに戻ろうとしていたとき、遠くから恐ろしい慟哭と共に野良犬が私目掛けて突進してきた。噛まれたら大変と言うことは理解していたので、砂を蹴り上げ必死の応戦を試みた。幸いにして私のキックによる砂煙幕が勝利を導き大事に至ることは無かったが、実に緊張感あふれる瞬間であった。

今、少なくともバンコクのコンビニでは、店先の野良犬は商売繁盛の印と言われているらしい。時代は変わり、野良犬も市民権を得たのか。野良犬達は、コンビニ店内から流れ出る涼しいエアコンの風を享受するために、店先で寝ているだけ。商売繁盛との関係性は心優しい店員とお客がいる証なのかどうかはよく分からない。

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