カイロのラマダーン 〜ラマダーンテーブル探訪記〜
ラマダーンが始まって15日。満月で断食月はちょうど折り返し。
今日はヘリオポリスの近く、マタレイヤで有名なラマダーンテーブルを見てきた。
ラマダーン月の15日目だけに開催される特別なイフタールである。
10年ほど前から始まったもので、最初は近所の人達や若者、子どもたちだけのごく小規模なものだった。
それが年々、SNSの告知などを通じて規模を拡大していき、今や通りまるまる1本をズドーンと端から端まで、長ーーーいテーブルを2列も並べるほどの大規模なラマダーンテーブルになった。
あるネット記事によると、4000人分もの席と食事を用意しているらしい。
スローガンは「al-Bayt al-Kabir」。ひとつの大きな家(家族)とでも意訳できるだろうか。
最寄りの駅を降りると、家族や友人と連れ立って来たひとたちが次々と改札を出てきて、"Izbat! Izbat!" "Hamada, Hamada!" とラマダーンテーブルのある通りの名前を叫んでいるトゥクトゥクに乗り込んでいく。
目指す通りへ近づいていくと、賑やかなざわめきとごった返す人だかりが見え始めた。
人混みをかき分けて、なんとか通りの中に入れてもらうと、そこには見たことのないほど長ーーくテーブルが連なり、ずらりとテーブルに並んでいる人たちとその周りに立っている見物人たち、周りの家から窓越しに身を乗り出して通りを眺めている人たちでごった返す混沌の光景が広がっていた。
想像以上の賑やかさである。
狭い通路には、前に進みたくてもなかなか進まないほど人がぎっしり並んでいる。
そうこうするうちにマグレブのアザーンが流れ始め、賑いは最高潮に達した。
大歓声があがるとクラッカーと爆竹の音がし、上の建物からは紙吹雪がヒラヒラ降ってくる。イフタールの客も見物人もみんなスマホを掲げて写真や動画を撮っている。
テーブルについていた人たちは喜びに溢れた様子で一斉に食事を始め、至る所で「水が足りない!」「デーツが足りない!」と、ラマダーンテーブルの運営委員のスタッフたちが人混みをかき分けながら怒鳴り散らす。
通りを前に進みたい人たちと、通りを後ろに戻りたい人たちで狭い通路はガッチリ塞がり、口論が勃発。
かと思えば両脇のテーブルでは賑やかな家族と友人団欒のイフタールが行われており、一緒に記念写真を撮ろうとあちこちへ引っ張られ、握手を求められる。
あまりの熱気にクラクラするほどだった。
このイフタールのために、何日も前から食事や会場の準備をするのだろう。
それだけこのラマダーン月15日のイフタールは特別なものなのかもしれない。
必死に人混みをかき分けているなか、誰かに渡してもらったデーツが嬉しい。
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