見出し画像

7. タオルミーナの海

半日、タオルミーナで過ごす。どこに行こう。同行者は完全に私にお任せで、意見が割れて揉めることがない。ありがとう。タオルミーナのギリシャ劇場跡にするか、この山の頂上にあるカステルモーラ(Castelmora)という小さな町か。どちらも見晴らしがいい。ギリシャ劇場はB.C.3世紀(ヘレニズム時代)に建てられたものだそうで、写真を見ると、劇場の景色は美しい。

でも、タオルミーナだもの、海。ギリシャ劇場は少し惜しいが、カステルモーラまで行かなくても、山の上の方にあるホテルのバルコニーやテラスからの眺めに満足したから。

画像1

<タオルミーナの街の入り口にあるメッシーナ門 (Porta Messina)、1808年再建>

この門を出て、少し行ったところにあるロープウェイで海まで降りよう。この街は英語も通じる、さすが有名な観光地。Funivia はロープウェイのこと

画像2
赤の囲み、星形🌟


往復しているが、景色の記憶がない。乗車人数が多くて外が見えず、あっという間に到着してしまった気がする。切符切りの穴が星の形!3000リラ、150円くらい。

画像3

階段を降りていくと、海だ。ここは、マッザーロ(Mazzaro)という小さな街。

海辺に着くと、すぐに声をかけられた。グロッタアズーラと連呼する周遊ボートの営業だ。地図を見せながら、こう回るんだよ、と。青の洞窟(Grotta Azzura)があるんだ。いいぞ、どうだ?青の洞窟ってカプリ島のものではないかと聞いてみると、目が輝いた。ここにも小さいけれどあるんだ。あれは混んでる。ここで見ていけ!指差す先には、公園の池に浮かぶような小さなボート。船の側面にレタリングされた明朝体「グロッタ アズーラ」が見える。お手本を見て一生懸命書いたカタカナに吹き出してしまい、値段を聞いた。50.000リラ。ぼられているかもしれないが、行ってみようか。

画像4

この地図の右のバツ印からスタート。

画像5

エトナ山は煙を出している。ボートが出ると、すぐに深くなる海。本当にきれいな色。詳しい位置は忘れたが、シチリアで海水浴をした方と以前話したことがある。泳ぐと海藻だらけなのよ!日本人みたいに食べないんだもの。こんなに海藻があるなら、貝類は絶対に美味しいと思って食べたら、本当に美味しいのよ、食べていらっしゃい。それを思い出して、海藻が茂っているか覗こうと思ったが、小さな船は傾きそうで怖い。景色を見よう。

グロッタアズーラ、着いたぞ!と。確かに洞窟だ。でも、入り口は狭くない。大きく開いていて、屈まずに入れる。あまり光が入らなくて反射するから、あのような青が見られるのではなかったか。騙されたのかと入ってみれば、確かに青の洞窟。ちっちゃいね。でも、きれいだ。エンジンを切って、少し滞在。

画像6

洞窟を出ると、イゾラベッラのそばを通過する。美しい島という意味。ジブリ映画に出てきそうな。ほとんど見ていないけれど。

画像7

折り返し地点はカポタオルミーナというホテル。

画像8

海を選んだ理由には、もうひとつあった。私は映画「グランブルー」を観てタオルミーナを知った。すごく入れ込んでいるわけでもないけれど、かなりインパクトがあった、深く美しい海とジャック・マイヨール。ストイックに自分を律する彼は今どうしているのだろう。映画に出てきたホテルを見上げた。

そう思った1年後、彼が自分で命を絶ったとのニュース。エルバ島にいたのか。トスカーナ地方にある小さな島、きれいな海。静かな生活だったかな。イルカと一緒に、私の記憶に残る。

2日目の夕食はトラットリアという種類の気軽に入れる店で、おすすめの魚介類を多めに。身が少なくて小さいが、味の濃いスカンピのグリル。おてんこ盛りのムール貝やタコのパスタ。前菜盛り合わせ(Antipasto misto)の、ナスとパプリカのマリネは甘く、溶けるよう。その他チーズ&生ハムも頼んだ。味付けはシンプルが一番。これに、お通し代(Coperto)としてパンが付き、水とワイン、チップで70000リラ、約3500円。

画像9

**
タオルミーナは海。この夏のバカンス時期は大変だったのでは。早く終息しますように。グロッタアズーラはGoogleMapにマークされており、高ポイント。

画像10

クリーム色のマーカー部分にグロッタアズーラ。

**
ジャック・マイヨール、昨年ミニシアターで映画が公開されているのを見つけました。映画「グラン・ブルー」のジャック役の俳優さんが登場するようです。
「ドルフィンマン」
https://www.uplink.co.jp/dolphinman/
「この映画は人間の実存という根源的なテーマを描いている。死というもの、肉体の限界、母なる自然への回帰、個人的な野望や名声の落とし穴、瞑想を通しての体と魂のバランス…。こういったマイヨールが人生で一番に考えていたテーマを、映画を通して綴っている。」ー 監督レフトリス・ハリートス


一緒に旅をしているような気持ちになっていただけたら、うれしいです。 または、次の旅の計画のご参考になれば。