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8. オペラディプーピ

この街は小さいと思っていたら、意外に住人が多い。ガイドブックでは3万人と書かれており、間口の細い家が密集している。教会(chiesa)がいくつもあるし、さらに聖堂(Duomo)もある。さらに、州立陶器博物館と市立博物館も。陶器に特化した博物館って珍しいかもしれない。ヴィッラ(Villa)という公園には陶器の飾りが置かれ、街の中央の広場もタイルで装飾されていた。アラブ系の支配時期すでに釉薬を使った製作は盛んで、高級な陶器だったこと、この町からイタリア国内に広まったという話を読んだ。いい土も、釉薬に使ういい素材も近辺で取れるのかな。昔はもっと華やかな街だったかもしれない。

街のバロックのこてこて感が、自分のシチリアのイメージ通り。

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これは裏の小さな道。石造りの家が隙間なく。

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これは、聖フランチェスコ教会(St. Franciesco di Assisi)。日曜で近隣の町からも車でミサに来ているのではなく、住民の車だろう。白線内は住民用、青線枠が一般の有料駐車場。

下の写真はたしかカルタジローネで、建物の中に椅子が並んでいるのを見つけて覗いたら、招き入れてくれた。オペラディプーピ(Opera dei Pupi)という人形劇の劇場だった。舞台の下に台本が置いてあり、壁には名場面と思われる絵がいくつも飾られている。ジェスチャーで、こんなふうに動かすんだよと教えてくれた。かなり大きな人形、衣装が丁寧な作りだった。甲冑は金属、重いだろう。腕の筋肉がすごい。

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舞台芸術なら、一般的には歌劇(オペラ)がすぐに思い浮かぶ。シェイクスピアのようなストレートプレイという台詞の芝居はそれほど普及しなかったようだ。というのも、演出の概念がなく、主要な俳優が演出も兼ねた家族経営の小規模で即興性のある芝居が一般的だったからという話を、芝居のパンフで読んだことがある。プーピも家族経営が多いそうだが、大都市に学校があるとのこと。1日で終わらない、朝ドラのように短時間の連続もので、回数券のようなチケットがあるらしい。入門された日本人の方が紹介記事を書いていらしたので、勉強になった。
http://unima-japan.la.coocan.jp/hiroba/hiro90/h90_10.pdf

この後、2008年にUNESCO世界無形文化遺産に登録された。ここで出会っていなかったら、このニュースに気づかなかったかもしれない。UNESCO無形文化遺産のサイトでは、労働者階級の娯楽と書かれている。英語だけれど、動画もあるので雰囲気は伝わるのでは!
https://ich.unesco.org/en/RL/opera-dei-pupi-sicilian-puppet-theatre-00011

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何年か後にNHKの「世界街歩き」のパレルモ(Palermo)だったか、プーピの劇場が登場しました。この後に訪れたパレルモも、プーピも懐かしく、気持ちはこの旅に戻っていきました。今はどんな況なのでしょう。プーピのおじさんたち、どうもありがとうございました!Grazie, signori !

一緒に旅をしているような気持ちになっていただけたら、うれしいです。 または、次の旅の計画のご参考になれば。