小説「射幸心」 #1
ちょっとした恩返しがしたかった、始まりはそんな気持ちだった。
10年も前の、中学生の時のことだ。今わたしの隣を歩いているマヤがまだ友達じゃなく、クラスメイトのひとりだった頃だ。ある日彼女から小さなストラップを貰った。
「ゲーセンでちょっと多めに獲れたから、お裾分けだよ」と微笑むマヤの、こっちが蕩けそうになるほどの甘い笑顔に当てられ思わず受け取る。
こんな可愛いの、貰っちゃっていいの?と問うた背中から、「いいよいいよ、200円しか使ってないし〜」と緩い返事が聞こえる。
他にも貰