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1人の女性エンジニアがCTOになるまで〜だむはの場合〜

みなさん、こんにちは。bgrass株式会社CEO/CTOのだむはです・

今回のnoteのタイトル「1人の女性エンジニアがCTOになるまで〜だむはの場合」に既視感ありませんか?

そうです。2021年にゐろはさんを起点にムーブメントを起こした #1人の女性がエンジニアになるまで の記事と同じタイトルです

今回は私がエンジニアになった2016年新卒〜2024年現在のCTOになるまでの軌跡を書いてみようと思います。なぜこの記事を書くかというと、私でもCTOになれるかもと思える女性を少しでも増やしたいからです。

独立系SIer時代(2016年〜2018年)

地元にも本社がある独立系SIerに新卒入社しました。就職先自体は東京で探していたのですが、地元に本社があるのに東京に配属になってすごく嬉しかったことを覚えています。これが私のエンジニアデビューです。もともと大学は外国語学科だったので文系出身エンジニアということになります。

新入社員研修は皆さんと同じく(?)Javaでした。今でも覚えてますが、正直あの時はチンプンカンプンで何も面白みを感じていませんでした。

そして、研修後はプロジェクトに配属されました。SIerというのもあり3−6ヶ月くらいで案件が変わっていたため、一つの言語に集中してスキルを身につけられないという辛さがありました。しかし、当時はそれが分かってないので全然焦ってませんでした。なので、このままじゃスキルが身につかない!!と自分で気づいて、キャリア相談に来る人はみんな偉いと思います。

そんな私にもエンジニアとして楽しいと思える瞬間は結構ありました。特に覚えてるエピソードをシェアします。

BPのベテランが諦めた機能のソースを私が全て書いたことがありました。だって、仕様で決まってるし、リリース日も変わらず、納品もしないといけないんだから、「諦める」とかないんですよ。やらなきゃいけないんですね。そしたら、PMにめっちゃ褒められました。

すごく嬉しかったことを今だに覚えています。この時のことをいまだに忘れていないのは、あ、私エンジニア向いてるかも?、と初めて思った瞬間だったからかもしれません。小さな成功体験ってこういうことなんですね。

翌月、そのBPさんはいなくなっていました、、、、何があったのかしら、、、はて?

そして、この会社で得たことは3つあります

  • 基礎的なウォータフォール開発手法によるプロダクト開発

  • 上流工程の経験と基礎的なシステム設計

  • 1人称で動く力

SIerは時に悪として語られることは多いですが、私は最初がSIerでよかったなと思っています。理由として基礎的なウォーターフォール開発の経験を積むことができ、開発に関する基礎知識を得ることができたからです。さらに設計書もしっかり作らないといけないので、仕様を設計書に落とし込む力、テストを細かく設計する力を身につけることができました。これは確実に今のエンジニア人生に生きています。

そして、私はエンジニアはハードスキルさえあればいいと思っていません。ソフトスキルも重要なスキルです。私は1社目で新規部署の立ち上げメンバーに選んでいただき、先輩1人と私2人だけのチームで必死で部署を立ち上げました。タイ出張にもいきました。頼れるのは自分たちだけ!一人称で動ける人間は強いということをここで学びました。


上場SIer(当時はまだ未上場)時代(2018年〜2020年)

そして1社目は約2年半ほど在籍して、2社目に転職をしました。転職理由としては、企業カルチャーがマッチしなかったのと、給与が低すぎたことがきっかけですね。でも今も新卒時代の人事とは定期的に連絡をとらせていただいています!

本当に正直すぎるくらい正直に書くと、転職の理由として以下3つをメインに見てました

  • 給与が高い

  • 働きやすい、休みやすい

  • オフィスがおしゃれ

なので、この会社がインフラ中心の企業(実は開発の部署もあるらしい)というのは入社して初めて知りました。(マジでやばい)とはいえ、転職活動中にマイクロソフトのM365(当時はO365)の移行プロジェクトのチームにいたので、M365関係の仕事ができるということで入社を決めました。

ここでの初めての案件は、M365移行プロジェクトでグローバル案件のプロジェクトリーダーでした。日本のオンプレ環境からUSのクラウド環境に社内システムを全移行するというかなり大規模なプロジェクトでした。

正直、一言で言うとカオス状態。MTGは30分で終わるものを1時間以上ダラダラやる。USとは意思疎通が取れない、他チームとの連携も終わっている、みたいなエグい状況でしたが、私にとってはめちゃくちゃ学びの多いプロジェクトでした。

今振り返るとエグいことも多かったけど、ステークホルダーの多さ、他チームや他部署との連携、大企業での根回し、チーム内調整、このプロジェクトで一番核となるプロジェクトリーダーをできたことは、今思うとかなり大きな経験だったと振り返ることができます。(PMは可哀想すぎました)

英語でのMTGや英語でのメールでのやり取りも当たり前のプロジェクトだったので、ビジネスにおいて英語でのメールでのやり取りなどに抵抗がなくなったのも、このプロジェクトのおかげかなと思います。そして、ここで出会ったチームの女性陣とはいまだに一緒にご飯に行くほど仲良し!そして尊敬する女性の部長とも飲みに行ったり定期的に連絡をとっています!!

この会社で得たこととしては、以下です。

  • インフラ、ネットワークの基礎的な知識

  • 大規模プロジェクトの面白さとマネージメント

  • グローバル案件の難しさ

現在運営している「WAKE Career」のドメインやネットワーク周りは私が全て管理しています。ネームサーバーやAレコード、Cレコード、DNSなどの知識がこの会社で十分身についたからこそ、かなりスムーズに調整したり設定ができています。(ポート1つ開けるのさえ1ヶ月かかる環境でした笑)

本当にこれ書いてて思いますが、無駄なことなんて一つもない人生だなと思います。

そして、このプロジェクトの後の案件があまりにもホワイトすぎて、20代という貴重な時間を無題にしたくないと思った私は自分のキャリアを棚卸しした時に、一人で食っていけるスキルが一つもないことに気づきました。

つまり、「コードが書けない」

多分マネージメントのスキルはある程度ある、でもこの会社以外での市場価値は低いだろう。と思っていました。この会社が潰れたらどこにもいけないという危機感が強くなっていました。そして、コードが書けるエンジニアになりたい。という強い気持ちで、コロナ禍真っ只中でSIer→Webに転職を決意しました。

この時、25歳で30歳までの目標を立てました。

転職活動(コロナ禍)

いろんなところで話しましたが、書類選考含めて100社くらい落ちました。これは私が怠けていて、調子に乗っていたからでもあります。

SIer出身だし、開発経験も一応あるし、完全未経験からよりは転職しやすいだろうと高を括っていて、ポートフォリオも作らずに転職活動していました。でも、私が応募しているのは開発エンジニアの募集です。設計だけできてコードが書けない人材は求めてないのです、、、

語弊がないように言うと、マネージメントや設計が得意でコード書けない人はたくさんいます。これは専門性に特化すると言う意味で理にかなっていると思います。ただ私は、PMではなくエンジニア職に応募していたので、スキルミスマッチと判断されていました。

そして70社落ちたくらいから、こりゃダメだ!と思ってポートフォリオを作り始めました。これが私の個人開発の始まり、女性エンジニア向け1on1サービス「sister」です。


受託Web開発時代(2020年〜2021年)

そして、だいたい100社くらい受けた頃に受託開発企業に内定をいただくことができました。

この時の私の転職条件として

  • とにかく開発経験が積めること

  • とにかく開発経験が積めること

  • とにかく開発経験が積めること

  • とにかく開発経験が積めること

  • とにかく開発経験が積めること

でした。なので、年収が落ちても、残業がどれだけあっても、どんなにきつくても1年は頑張ろうって決めて転職活動していました。あと、私の転職の目的が「とにかく開発経験が積めること」なので、どんなにお見送りされてもSESだけは絶対に受けませんでした。配属ガチャによっては開発できない可能性も高いためです。

そして結果的に、年収は下がることはなくとても素敵な会社に拾っていただくことができました。もうここでの1年間は本当に学びも多くて、とても楽しく開発しました。その年の8月に入社したのに12月の年末で社内賞をもらうこともできました。

技術的に言うと、Rails+Reactのモノリシックなプロダクトのリリースや、0→1のLaravel+Vueのプロダクトリリース。ドメイン駆動開発。そして何もないところから顧客要望を聞き設計に落とし→開発→リリースまで、幅広い経験をさせていただきました。

毎日毎日とっても楽しいエンジニアライフを送れていたと思います。

そして、1年経った頃、25歳の時にたてた夢と目標のために、個人事業主になりました。現職と交渉させてもらって、正社員→業務委託に契約を切り替えていただきました。

よく交渉できたねと聞かれるのですが、成果を結構出していたので、圧倒的自信で乗り越えました笑

フリーランス時代(2021年〜2022年)

正直、個人事業主としてのフリーランスは半年くらいしか経験していません。

半年くらい前職で契約してもらって、その後、シード期のスタートアップに業務委託で参画しました。女性エンジニ向けプログラミングスクールのMsEngineerです。IT業界のジェンダーギャップを解消するという私の軸は一切ぶれておらず、「sister」の運営も個人で続けていました。フリーランスになったことをきっかけに、より「sister」もサービスとして試行錯誤していきました。

正直、フリーランスだけやってると、お金は稼げるのですが面白みはなくて半年で飽きちゃった感がありました。さあ、生きていく上で十分な時間と仕事とお金は手に入れた、次にあなたが欲しいものは何?と聞かれた時、なんと答えるのか。

私はこの時、「sister」の運営を通して知った、ジェンダーギャップについて人生を賭けて解決したい課題だとビビビッと感じました。ここにかけていきたい。と思っているのに足踏みしている状態でした。

その中で、他の記事でも書いてある通り、私が尊敬する女性のエンジニアにバアアーーンと背中を押されて、起業を決意しました。


起業家1年目(2022年〜2023年)

最初の半年は3回のピボットをして、2023年の年始に「Waveleap」(WAKE Careerの旧名称)に辿り着き、資金調達をしました。スタートアップ的な成長速度でジェンダーギャップ解消をしていくことを決意しました。

初期の基本的なネットワークやデータ周り?は私が全て整備しました。ドメイン取得、LP作成、資料請求フロー構築、Notionでの顧客管理、メール設定などなど、、、

MVPも1ヶ月半でリリースしたのですが、0→1の開発がある程度得意だったので、エンジニアと一緒に開発はもちろんのこと、技術選定から設計、スケジュール管理、セキュリティやお金周りの確認など、エンジニアとしてやれることは全てやりました。

クローズドリリース〜ベータ版リリースまでも開発自体はゴリゴリ入りました。ただ、コード書き始めると連絡が取れなくなる現象が起きるので、チームには迷惑をおかけしました、、、

経営と開発のバランスむずい、、、

とはいえやっぱりあの時の設計をああしてればよかった、、、は今になってたくさん出てきますね。でもそれって幸せなことでもあるなと思います。だって、MVPでニーズがないと判断されて技術負債もろとも葬り去られるサービスだって珍しくありません

そして、私はここまでCTOと名乗っておりませんでした。なぜなら、私みたいな、薄ーくはなんでもできるけど、特化した強いスキルは持っていない中途半端なエンジニアがCTOって名乗れないな〜、と思っていたからです。

私がCTOと名乗り始めた日

きっかけは、2023年のAWS CTO Night & Dayの開催でした。こちらのイベントに参加した2−3人くらいの方から、CTOのイベントに200人中女性が3−4人しかいなかった。違和感がある。という声が届いたからです。

その前から、CTOの女性比率を上げたいという話だったり、CTO協会について話に聞いていたりはしていたのですが、私にはまだ遠い話だと思っていました。

でもこの時思いました。私がやらなきゃ誰がやるんだ?ジェンダーギャップやダイバーシティの課題について声を上げる人が一人でもその場にいたら、みんなの意識は少しでも変わり、伝染するはず。その声を上げる役目は私なんじゃないのか?私以外誰がやるのだ??

何をひよって、遠慮しているんだ。インポスターになっている場合じゃない。周りの目や評価なんてどうでもいい。私が背中を見せていかないきゃ誰がやるんだ。今できるのは私なんだきっと!!

って思いました。そして、CTOと名乗り初めて、CTO協会に入ることから始めました。なので、会社としては2年くらいの会社なのですが、CTO歴としては1年目ということになります。

CTOの肩書をつけ始めた当初は、私の経験くらいでつけていいのかな、、、と思ってましたが、今は、経営もやってるし、コードも書いてたし(現在はたまに緊急のバグ対応など、、、)、プロダクトオーナーもやってるし、BizとDevのバランスとって事業進めてるし、CTOの役割でしかないなって自信持って生きています。

CTOと名乗り始めた影響

登壇が増えました。CEOとして、CTOとして、両側からの登壇依頼が増えたと思います。とっても嬉しいです。

一方で、確実に「女性枠」とわかるものもあります。正直そういう時は周りの目が怖いです。たまにこんな声も届きます「なんであなたが?女性だからでしょう?」きっとこの声はそんなに多くないと思いますが、それでもネガティブな言葉は一生忘れられないし、たくさん言われたと錯覚してしまいます。(実際に言われた)

それでも私は強い意志を持って、登壇します。ポジティブアクションを全力で受け止めます。私はシード期のCEO、CTOとして私にしか話せないこともたくさんあると思ってるし、テクノロジーによるジェンダーギャップ解消についてや、多様な組織についてなら自信持って詳しいと言える!はず!!

IT業界のジェンダーギャップ解消へ

CTO協会のイベントやAWSさんのイベントに参加させていただいたりする中で、いつもチャンスが訪れます。

「IT業界のジェンダーギャップを解消したいです。私たちだけでは無理なのでみんなで考えていきたいです。力を貸してください。ここにいる女性比率を2−3年後には50%にしましょう!」

私がいつも伝えさせていただいてる言葉です。テクノロジー業界のトップたちに何度も伝えられるチャンスがあってすごく嬉しいですし、少しでも想いが伝染して、何かアクションにつながれば良いなと思っています。

誰かの小さな熱量が伝染し、歴史を変えたり、世界を変えたりしてきたのを、歴史が証明しています。不可能なことなんて何もなーい!!


WAKE Careerへの登録が応援になります!

ということで、日々全力で生きて頑張ってるので、ぜひ登録よろしくお願いします!!





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