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カンボジアで出会った少年たちが教えてくれたこと

旅に出会いは付き物だ。
旅行中の記憶に残る出会いが、みなさんあるのではないだろうか。

私にも、旅先で出会った忘れらない人がいる。その中でも一番心に残っているのが、カンボジアの少年たちだ。

10年経った今でも、ふと思いだす。

カンボジアで出会った少年たちが教えてくれたこと

人生で、もう一度でいいから会いたいと思う少年たち。

彼らと出会ったとき、私は就職活動を終えて卒業旅行を楽しむ大学生だった。

ほんの数ヶ月前に訪れたカンボジアを気に入って、仲の良い友人と二人での再訪を決めた。

1週間ほどの慌ただしい滞在だったと思う。カンボジアの首都プノンペンで数泊したのち、私たちは、アンコール・ワット遺跡などが人気のシェムリアップに向かった。カンボジア旅行の鉄板の都市だ。

このシェムリアップで、私と友人は1日だけ別行動をすることにした。

アンコール・ワット遺跡群には、小回りコースと大回りコースという2つのコースがある。カンボジアを初めて訪れる友人は、ゆっくりと遺跡を見てまわることができる小回りコースを、数ヶ月前にすでに小回りコースを周っていた私は、自転車を借りて大回りコースを周ることにした。

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宿で借りた自転車をこぎ、アンコールワットなどの遺跡のある敷地に入っていくと、少しずつ周りの雰囲気が変わっていく。大回りコースでは、アンコールワットのほかに、プリアカンやニャック・ポアンなどの遺跡を見て回ることができる。

今回の話の主役となる少年たちと、どこの遺跡で出会ったのかは忘れたが、大回りコースをまわり始めて、まだ序盤だったと思う。

自転車に乗って遺跡から遺跡へ移動しようかなと立ち止まっていたときだった。まだあどけなさの残る少年二人が、私に話しかけてきた「一緒に回らない?」と。

勝手にガイドをしてきて、別れ際にお金を要求してくるというのはよくある話だ。一瞬そういう人なのかとためらったが、話をしていると、下心がある感じではなさそうだった。地元の学校に通っているという少年二人は、16才くらいだったと思う。

少年たちは、将来ガイドになることが夢だと話してくれた。休日を使っては遺跡群を訪れて、プロのガイドが説明している内容を聞いたり、海外から来ている観光客に話しかけてガイドの練習をしたりしているそうだ。

この時点で私には衝撃的だった。

16才のときの私は、将来のために何かしたことがあっただろうか。あのとき将来の夢は、大学生活の先にあって、机に向かって勉強をすることしかしたことがなかった。大学生活の先に待ち受けていたのが、就職活動。エントリーシートを書いて、スーツをきて面接を受ける。

幸いなことに就職先は決まったが、少年たちの「仕事を自らつくっていこう」とする姿勢に、自分を照らし合わせて少し恥ずかしさを感じたのを覚えている。

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彼らは、私と遺跡をまわりながらも、いろいろな観光客に英語で話しかけていた。相手にしてくれない人がいても気にせず、次の観光客に話しかけていく。ちょっとしたことで心が折れることはなかったし、何より彼らは楽しそうだった。ガイドになるために、学校でも遺跡の勉強をしているらしい。

彼らの姿を見ていると、ガイドになりたいという気持ちが伝わってくる。そしてガイドになるという未来は、彼らにとって学校の先にあるものではなく、自分たちで社会にでて作り出すものなのだ。作り出すことができる未来なのだ。

環境や将来の夢もそれぞれ違うのだから、一概には言えないのかもしれない。ただ年齢や立ち位置に関わらず、誰でも夢のために動くことができる。

机上の話ではなく、社会の中で実践的に動き学ぶことができるのだ。

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遺跡では、未来のガイドたちが丁寧に案内をしてくれた。

ただ残念なことに、私の英語力は中学生並みだった。分からない単語が多く理解できずにいると、彼らは優しい単語を使って、私がわかるまで噛み砕いて教えてくれた。そして、私が意味を理解するととても喜んでくれた。

3人で頭を付き合わせて、携帯にインストールされた簡易の英語辞書でわからない単語を調べもした。やっと意味がわかったとき、わたしたちは顔を見合わせて笑いあった。

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時には、あまりにも英語が通じない私に苦笑いしつつも、ちゃんと理解するまで付き合ってくれる優しいガイドだった。

彼らは、一緒に遺跡を回る新しい仲間2人との出会いもプレゼントしてくれた。

カナダから旅行に来ている親子との出会い。息子さんは、私よりいくつか年上で、高校生のころに1年間日本に留学した経験があった。少しカタコトではあるが日本語を話すことができ、私には日本語で話をしてくれた。

英語と日本語が混ざり合った、年齢も国籍も異なる5人の自転車旅。はたから見たら変な5人組だったと思う。

でも10年経った今でも、ふと自転車を漕いでいる彼らの後ろ姿を思い出すほどに、私の心には色濃く彼らとの出会いが残っている。

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気づけば、夕日が落ちる時間になっていた。

楽しくて時間を忘れていた私が、待ち合わせ時間に1時間以上も遅れ、友人に大目玉を食らったのはいうまでもない。

彼らと出会ってから3ヶ月後、私は大阪で社会人になった。それから転職を経て、いまは長野県木曽町で暮らしている。

先日、地元の高校生たちに彼らとの出会いを話すことがあった。

ほしい未来は、自分たちでつくっていく。普段生活する社会の中に、チャレンジすることのできる場所はごまんとある。そんなことを、彼らの姿を思い出しながら、自分に言い聞かせるように話した。

彼らの話をしていると、また旅に出たいなとふと思った。

旅の出会いをつくる「ヒトタビトーク」

「この人に会いたい」それは大きな旅の目的になりえる。

今度5月27日、人に会いにいく新しい旅の形「ヒトタビ」のキッカケとなる出会いを作るライブ配信番組『ヒトタビトーク』にださせてもらうことになった。

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私でいいのかと不安に思いながらも、MCのおふたりとおしゃべりできるのが楽しみでいる。

私自身が会いに来てもらうに値する人間かはわからない。でも自信をもって言えるのは、会いに来てくれた人に、木曽地域の面白い人を紹介することはできる。

まだ見ぬ誰かが、いつか旅に来てくれたら嬉しいし、大したガイドはできないけれど、顔を見合わせて笑う相手になることはできると思う。

ヒトタビトーク#15
つながりをデザインして”楽しい”を増やしたい!
2021年5月27日(木)19:30配信開始

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