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【前編】“迷子なPR担当”に伝えたいPRの基本

皆さんこんにちは、新型コロナウィルスのニュースが毎日のように報道される昨今。外出の自粛やイベントの中止など動くに動けない歯がゆい日々が続きますね…

4月に入り、今期から新しく広報・PR担当になる方や部署を立ち上げる企業もいるかと思います。そこで、最近さまざまな企業のPR担当や経営者の方からPRについての質問や相談を受ける機会があるので、その回答を全2回に分けて共有し、少しでも役立ててもらえたら嬉しいです。

「PRって言葉を頻繁に聞くけど、そもそも何?」「PRって何をするの?」「PRって何からやればいいの?」このような疑問やお悩みを抱えている方に、このnoteをきっかけにPRをより興味を持ち、PRの面白さをより理解してくれたらと思います。

回答として不十分な部分もありますが、誰かのためになったら嬉しいです。

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■質問1:そもそもPRって何?

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PRとは、「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」のことで、日本語に訳すと「世の中との関係づくり」ということになります。

PRという概念が、世の中との関係づくりである以上、会社の経営や商品の開発、新サービスのリリースなどはどれもPR活動(世の中と関係を作る活動)と言えます。そのため、PR担当者だけがPR活動を行うというわけではないと思っています。

PR活動をまず理解するには「PR思考」と「PR手法」に分けて考えることが重要です。

■質問2:「PR思考」と「PR手法」って何?

「PR思考」とは、自社・サービスが自身の行動や発言によって、世の中、生活者(ターゲット)にどのような反応(態度変容・行動変容)を起こしてもらいたいか、その接点を作ることです。

ここでいう"反応"とは、「買いたくなる」「行きたくなる」「誰かに進めたくなる」「好きになってもらう」などが例として考えられます。ターゲットがどのような行動・反応をして欲しいのかを設定したら、その反応を起こすための接点を作ることが「PR思考」と言えます。

いまの時期でいうと例えばーー
・コロナでお花見を楽しめなくなった人
 ⇛自宅で楽しめる、VRで楽しめるお花見を提案

・大型就活イベントがなくなったり、面接ができなくなった就活生
 ⇛オンライン説明会やオンライン面接を提案

・家にいることが多いけど暇
 ⇛エンタメコンテンツを無料で提供

など、各社取り組んでいましたよね。また、この先はwithコロナの場合に起こりえることや、afterコロナの場合に起こりえることを常に先を予測し、何ができるか考えていきたいところです。

こうした世の中やサービスのターゲットが思っていること、課題に感じていることをどうしたら自社で解決できるか=接点を作ることだと思っています。PR担当には、受け身ではなく、社会やターゲットの動きをみたなかでPR思考で事業に提言できるようになると良いと思っています。

一方で「PR手法」とは、その接点を「どう作り出すか、どう伝えるか」を指しています。代表的なものとしては、プレスリリースを配信してニュースメディアに取り上げてもらうことで、記事を通して接点を作っていく方法です。

ほかには、記者会見やメディアキャラバンなどがあげられますが、個人的には手法はニュートラルにあるべきだと思っているので、PR思考で作り上げたコンテンツを最適なメディアを使って、どのように情報を流通するか考えていきます。それではここからは、もう少し詳細に話していきましょう!

■質問3:そもそもPRってなんでやるの?

質問1-2でも説明した通り、世の中との関係づくりがPR活動です。世の中において誰とも関わらず、孤独に生きていけるなら必要ないと思いますが、企業活動においてそんなことはありえないかと思います。

但し、企業によって事業フェーズによってはPRの役割は変えていくべきだと思います。なぜなら、リソースは限られているからです。よく、なんでもやろうとして、どれも中途半端になってしまっている方を見かけます。PRの役割を明確にリソースを集中することをおすすめします。

また、PRと広報についての違いも質問されることがありますが、世の中との関係づくりがPRである以上、私は「PR=広報」と変わらない、またはPRの一部と考えています。


■質問4:昔と現在のPRの大きな違いは何ですか?

「PR思考」という点では、大きな変わりはないと思いますが、「PR手法」においては、大きく変化してきていると感じています。

その変化は「個人のメディア化」が大きく関わっています。

TwitterやFacebook、instagramなどのSNSの普及やニコニコ動画やYouTubeなどの動画メディアが増えていき、個人が気軽に情報発信ができるようになりました。

これにより、一人の情報発信が大きな影響を持つようになり「インフルエンサー(影響力者」という言葉も生まれてきました。昨今、テレビ番組で取り上げたものがSNSで話題になることもありますが、逆に「SNSで話題の〇〇!」とテレビで取り上げることも増えていて、一次情報が変化しつつあるように思います。

これらが生まれる前までは、テレビや新聞といったいわゆるマスメディアの影響力が大きかったため、マスメディアを通して接点を作る手法がメインの「PR手法」として行われてきました。代表的なものとしては、プレスリリースを作成・配信したり、記者発表会したり、キャラバンしたりといったものですね。

こうしたPR手法=パブリシティを獲得することだけに定義する時代は時代遅れだと思います。よく広報と広告の違いについて聞きますが、違いを知っておくのは必要ですが、違うからPRの仕事ではないというするのはダメだと思っています。広告も広義の意味ではPRです。

■質問5:PRってどんな仕事ですか?

前述の通り、あらゆる企業活動がPRといえます。そのため「これはPR! これはPRじゃない!」という考えはNGだと思っています。PRパーソンとして領域を決めてしまい、関与しないのはPRパーソンといえないと個人的に思っています。PRパーソンは、「PR思考」を持ちたくさんの「PR手法」を使いこなす人物であるべきです。

個人的には、とても面白い仕事だと思いますーー っというのも人や社会は、日に日に状況が変わります。少し前までなら良しとされていたことが、急にNGとなったり、まったく新しい価値観が生まれたりします。

コロナの件もまさにそうですよね。こうした状況をいかにPR思考で接点を作っていくか。同じ状況は二度とないのでその時その時によって、PR手法を変えていく必要があります。

ある程度の経験を積まないとなかなか難しい仕事でもあるような気がします。


■質問6:よく聞く「プレスリース」は、何の為に書くのですか? また書くときのコツは?

プレスリリースは、企業の公式文書としてニュースメディアに届けるツールです。書く時のコツとしては、目的を意識して書くことが重要です。そして、ファクト情報を整理して
5W1Hを大切にして書くことを意識すると良いでしょう。このあたりは、たくさんの書籍やnoteもあるのでいろいろと読んでみるといいと思います。


■質問7:プレスリリースのほかには、具体的にどんなPR手法がありますか?

一つひとつのPR手法をまとめたものを「コミュニケーション設計」と私は位置づけています。コミュニケーション設計とは、「オウンドメディア」「ペイドメディア」「ソーシャルメディ」「アーンドメディア」の組み合わせたものです。

・オウンドメディア
自社所有メディア。公式サイト、ブログなどを指します。
自社で所有するものなので、内容を自分たちでコントロールすることが可能です。
そのため、伝えたい内容を網羅的に伝えることができる。一方で、オウンドメディアは基本的には興味を持った人が訪れる場所なので拡散性が低いという側面もあります。
・ペイドメディア
広告枠を購入するメディアです。TVCM、OOH、新聞の広告枠などを指します。
広告枠を購入するので内容も自社でコントロールできる且つ多くの人の目に触れることができる。一方で、多額の費用が必要となるデメリットがある。
・ソーシャルメディア
ソーシャルメディアとは、インターネット上で不特定多数の人がコミュニケーションを取り情報の共有や情報の拡散が生まれる媒体のことを指します。「Facebook」や「Twitter」などがこれにあたります。
・アーンドメディア
アーンドメディアとは信用や評判を「獲得する」メディアのことです。自社ではコントロールできないのが特徴です。新聞やテレビなどニュースメディアで取り上げられる活動全般を指しています。

これらの頭文字をとって、「PESOメディア」と言われています。
ここまで紹介した4つの要素を組み合わせることがPR手法では重要です。そして、PR組織を立ち上げる際にまず取り組むべきは、オウンドメディアだと思っています。前述の通り、自分たちで内容をコントロールできるものなので、時間をかけることもできるし、予算もそこまでかからない。自社の【ヒト、カルチャー、事業】を納得いく形でまとめることが可能です。興味を持って訪れた方が、より理解を深めることに寄与できるものとなります。

次に取り組むべきは、「ソーシャルメディア」と「アーンドメディア」です。この二つを取り込み「自社の理解が深まる情報が豊富にあり」「第三者も多く取り上げてくれている」この状態が確立できたら、「ペイドメディア」でリーチが足りていないところを補うように情報を届けるという考えで設計していきます。

■質問8:PR組織の課題はどんなものがありますか?

前述の通り今はPR手法の変化が起きているのですが、PR担当者の成長と組織が追いついていないことが課題として挙げられます。そんな中で企業におけるPR組織としてあるあるなのが、「プレスリリース作成・配信するだけに留まっている組織」です。そのほかには、各メディアや媒体に取り上げられた露出数に注力を注ぐなども挙げられます。

■質問9:PR担当として知識・スキルアップするために何したらいいですか?

まずは、とにかく情報接触を多く持ってください。テレビ、新聞、Web、Twitter、YouTubeなどいま何が話題なのかを息を吸うように接触してください。まずはここがスタートです。

そして、次に「PR思考」を鍛えていきましょう。ニュースをみたら「なぜいまこれがニュースとなるのか」SNSで話題なら「なぜいまこれがバズっているのか」を考えて抽象化することで、自分が何か行うときに活用できるようになります。

また、シーズナルの出来事と話題になるタイミングは抑えておきたいところですね。エイプリルフールやハロウィン、クリスマスなどのメジャーなものは知らない人はいないと思いますが、マイナーな記念日も大事にしたほうがいいですね。
(PRTIMESのカレンダーは記念日が載っているので重宝します。PR担当者が日々気にかけていることを知っているからこそのアイデアですね。)

シーズナルネタは当日までにどんな情報がどういうタイミングででてくるかも知っておくと良いと思います。例えば、クリスマスの点灯式は11月に行われるとか。

あとは、記者・ライターの方に相談できる環境を作ることも非常に大事です。

「PR手法」を鍛える方法としては、上記の気になったものやライバル企業の施策を見つけて、どういった情報の流通の仕方をしたのかを調べてみましょう。PESOメディアでどこを起点としているのか、また起点からどのように拡がったのか、を観ていくことでどんなPR手法を使っていったのかわかってきます。

■質問10:スタートアップ企業がPR組織を立ち上げる時にやるべきことは?

スタートアップの企業が、PRを行う際に大切なことは"何を目的としてPRを行うかを意識する"ことです。私が企業からPRについての相談を受ける際には「なぜPRを立ち上げたいと思ったのか(目的)」「PRに期待していることは何か(ミッション・ゴール)」をヒアリングしていきます。

しかし、「とりあえずPRを行えば効果が出る!」とだけ考えている方も多いのが現状です。ただ闇雲にPRを実施しても効果がでる訳ではありません。PRの目的が定まっていないままPRを任せられる人が増え「PRって何したらいいんだろう……」と迷子になる人が多い印象があります。当たり前ですが、事業フェーズや会社が抱える課題に対して、限りあるリソース(人員・予算)をどこに集中させるか、決めて取り掛かるべきだと思います。

PRについてまず何をしたら良いのか迷っている方は、まず目的を明確にして言語化することから初めてみてはいかがでしょうか? 目的が定まれば具体的にどのような方法を取っていくのかが決まっていきます。

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いかがだったでしょうか? 駆け足にはなりましたが、ここまでPRについてのよく訊かれることに回答してみました。なんか余計に混乱させてたらすみません…!
内容としてはまだ満足いく回答にはなってないと思うので、これから各項目をより深ぼって書いていきたいと思っています。

今後もこちらのnoteでは、PRについてのコンテンツを配信していきます! PRについてのお悩み・ご相談はわたしの下記Twitterアカウントにお気軽にご相談ください。

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