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レトロゲームの追憶 #04 マーカム(サン電子/1983)

かつて「ゲームセンターあらし」と呼ばれた筆者が幼少期に出会ったビデオゲーム紹介と、ゲームにまつわる懐古をゆる~く綴ります。

マーカムのゲーム内容

マーカムは攻撃機を操って南極大陸にある敵の「基地」の破壊を目指すゲームです。

小学生には読み方が難しいタイトル画面

基本的なゲーム性は他の横スクロール型シューティングと同じですが、敵は基地を除くと空中物のみで、地上物はありません。また、自機の動き方と武器に特徴があります。

自機は上下移動の際にななめを向きます。上移動では機首をななめ上に向け、下移動では機首をななめ下に向けます。

武器はビーム砲とミサイルです。それぞれの武器に対応した2つのボタンを使います。ビーム砲は2つの弾が並行して飛ぶ、所謂ツインショットで、連射が可能です。ビーム砲は機首と同じ向きに飛ぶため、上移動しながら撃つとななめ上に、下移動しながら撃つとななめ下に飛びます。

ミサイルしか効かない敵も出現する

ミサイルは機首の向きに関係なく、常に水平方向前方へ飛びます。ミサイルは、発射時にボタンを長押しすると自機の下方へ垂直に降りていき、任意の位置でボタンを離すと前方へ飛び出します。ミサイルには一定の射程距離があり、射程距離に達すると爆発して爆風の範囲にいる敵にダメージを与えます。このミサイルの特性を活かすと、高さと距離を調節してミサイルを撃つことができます。たびたび飛来する中ボス的な「戦艦」や最終目標の基地を撃破するには弱点をミサイルで攻撃する必要があります。

戦艦は下部の弱点にミサイルを当てると破壊できる

ステージのマップ終端には基地があり、基地に到達するとスクロールが止まります。敵の総攻撃をかいくぐって基地を破壊するとステージクリアとなります。エンディングはなく、クリア後は再びマップの初めからスタートします。昔のゲームに多いループ型ですが、比較的マップ終端までの道のりが長いため、クリアできた時はまずまずの達成感を得られます。2週目は新しい敵が出現して難度が上がるのでやり応えもあります。

攻撃目標の基地では稼ぎプレイができる

マーカムはシューティングゲームが隆盛を極めた1980年代前半に、その特殊な操作性と独特の世界観で異彩を放った秀作です。クセのあるビーム砲とミサイルを使い分け、狙い通りに命中させて効率よく敵を排除できるかどうかが攻略のポイントになります。

序盤から敵の攻撃が激しいため気を抜けない

マーカムの思い出

サン電子と言えば「いっき」や「上海」が有名だけど、オレ的にはこのマーカムが一番思い入れの強い作品だ。

マーカムとの出会いは駄菓子屋A。この駄菓子屋Aは小学生~中学生時代に一番通い詰めたお店で、オレにとってはホームと呼べる場所だった。実はここにゲーム機を設置していたのも、以前のエピソードで書いた例のタイトーの営業所だと後年知ることになるのだ。恐るべしっ、タイトーの営業力!

駄菓子屋Aにはテーブル筐体が2台設置されていて、そのうち1台は新作タイトルという、ゲーム好きには天国のような場所だった。もちろん1プレイ50円の良心的な設定。小学校までわずか100メートルという超危険な立地にもかかわらず、毎日ゲーム好きのガキんちょが集まる実に居心地のいい空間だったのよ。

当時シューティングゲームに目が無かったオレは、このマーカムを一目で気に入った。1981年のスクランブルやボスコニアン以降、それまで固定画面が主流だったシューティングゲームもスクロールタイプの作品が多くなってきて、マップという概念が生まれて視覚的な変化を楽しめるようになったんだよね。

コナミを筆頭にBGMに力を入れるメーカーが増えてきて、ビデオゲームの世界が一気に賑やかさを増してきたのはこの頃から。このマーカムのBGMも、並々ならぬ意気込みを感じるものになっている。とにかく耳に残る独特のテンポとメロディライン。そしてドラマチックに変化する曲調に魅了される。特にオープニングのフレーズは最高にノリノリ!

♪テン!テテテン!テテテンテテテンテテテンテテテンテテテーテーテテーテーテーテテーテーテテーテーテテテン!

文字では多分伝わらんと思うので、興味のある人はYouTubeとかでお聴きくだされ。

音楽だけ聴くと「??」となる曲だが、マーカムのポップなグラフィックにはとても良く合っている。今見ればどこかファミコンチックな愛嬌のあるメカデザインや、青空が印象的なほのぼのとした背景には不釣り合いとも言えるミサイルの「バシューン!」というSEが見事に調和して、何とも言えない高揚感を味わわせてくれるのよ。

駄菓子屋Aのマーカムの筐体はレバーが横方向に生えている(コンパネが垂直に付いている)タイプだったから、ミサイルを思い通りにコントロールできないやつらが多かった。オレは右手人差し指の第二関節を右側のボタンに押し当ててミサイルを思いどおりに操れたから、攻略に時間はかからなかった。そして仲間内では一番早く基地を撃破することができた。50円で少しでも長く遊ぶためにその後も腕を磨き、ノーミスで何周もできるようになった。

マーカムでハイスコアを狙うのは簡単だ。基地に到着したらあえて破壊せずに、湧き出る敵をひたすら撃っていればいい。エクステンドで残機が増えたらわざとやられる。復活は基地の少し手前なので、同じパターンで稼ぎ続けられる。故に、オレは作業でハイスコアを目指すよりも、ステージの周回を重ねて高難度にチャレンジする方がレベルの高いプレイだと思っている。

すっかり上達したオレは、なかなかマーカムを攻略できない友達にイスを譲ることが多くなった。必死に小遣いをつぎ込む友達を横目に、オレはおばちゃんの手作り焼きそば(150円)とペプシコーラ300ml(50円)で一服し、優越感に浸っていた。

マーカムはオレに初めて「高みの見物」という言葉と意味を教えてくれた、決して忘れることのできない愛すべきゲームなのだ。

では、またね!

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