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[禍話リライト]裸足の友達[禍話 第四夜]
だらしのない友人に頼まれて、日直の仕事を代わりにこなしていたら、夜になってしまった。
今日は体調を崩してしまった祖母のお見舞いに行かなければならない日なのに、私はいったい何をやっているんだろう……
作業を途中で切り上げ、手早く荷物をまとめて、教室の電気を消す。真っ暗な校舎を転ばないようしながらも、足早に昇降口に向かう。道中で見えた教室や部室、グラウンドにも明かりはない。もうみんな帰ってしまったのか。
昇降口で靴を履いていたら、急に背後から声をかけられた。
「どうしたの?こんな時間に」
ギョッとして振り返ると、私に用事を頼んだ友人だった。
「どうしたのってあんた、あんたに頼まれた仕事してたのよ!大体、あんた用事があるって言ってたのに何してんのよ。こっちが用事遅れちゃったわよ!」
私はイライラしていたが、ふと違和感を覚えた。
こんな真っ暗中で一人で何をしていたのかしら。
友人はその場でじっと立ちながらこっちを見ている。目だけ見開いたような無表情であった。
「どうしたの?こんな時間に」
え?どうしたのこの人、と思って何気なく足元を見てしまった。
友人は裸足であった。
裸足で昇降口前の木の廊下に立っていた。
上履きは?と思って、友人のげた箱を見ると、きちんとそろった上履きが入っていた。
こいつ誰だ?友人ではない。
危険だと思って、すぐ逃げた。
走って校門まで来た。追ってくる様子はなかったが、一体何なんだ。息を荒げながらも、つい気になってしまって、昇降口の方を振り返った。
その子は昇降口に突っ立ったまま、私を見送るようにじっと見ていた。
全身にゾワッと鳥肌が立ってしまって、逃げるように祖母のお見舞いに向かった。
翌朝になって、少し怖かったが、友人に話しかけてみた。
「あんた昨日用事じゃなかったの?」
「え?何で?全然、用事だったよ?」
じゃあ、あんた双子だ。はぁ?あんた何言ってんの?なんて言いながら、その日は、気のせいか何かだということで終わった。
ところが、それからも友人もどきは私の前に現れた。
居残りで部活の業務に付き合っていたとき。
友達の勉強に付き合っていたとき。
私が夜遅くまで校舎に残っていると、真っ暗になった廊下から急に声がしてくる。
「何してるの?こんな時間に」
真っ暗なのでよく見えないが、シルエットや背の高さから裸足の友人であることが分かる。
もちろん本物の友人ではない。
その友人もどきは特に何をすることもなく、ただ声をかけてくるだけだ。無視していたらいなくなる。
でも、出来ればやめてほしい。
※本記事はツイキャス『禍話』シリーズの「禍話 第四夜(2)」より一部抜粋し、書き起こして編集したものです。(20:00ごろから)
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