栽培知識ゼロの八百屋が、梨農園を運営することになった理由
担い手不足で危機!梨の栽培150年の榛名里見(はるなさとみ)地区
みなさんご存じでしょうか?
群馬県高崎市の榛名里見地区は、北関東の中でも有数の果物王国です。国道406号線沿いにはたくさんの果樹園と販売所が立ち並び「榛名フルーツ街道」と呼ばれ、毎年県内外から多くの買い物客がやってきます。特に梨は知名度・人気が高く、8~10月の旬の時期には街道に人があふれ、販売所前には行列ができるほどです。
そんな大人気の梨を栽培する果樹園の多くは、水や土壌の質が良い榛名山の麓にあります。約150年前に梨の木が植林されはじめたと言われていて、この地域で栽培された梨は「里見梨(さとみなし)」と呼称されています。その種類は何と30種類超え。どの品種も素晴らしい栽培環境下の元で育てられるので、ジューシーで甘く、豊潤な梨に育ち、大人から子供まで「おいしい!」と笑顔をこぼす逸品です。
しかしながら、榛名里見地区の果樹園は近年、かなりの担い手不足に陥っていて、閉園せざるを得ないところも出てきています。そういった現状を間近で見ながらだーれにできることはないかと、ずっと悶々とした想いを抱えていました。
沢田さんと井上農園との出会い
そんな想いを抱える中で出会ったのが、榛名里見地区で梨農園を営む沢田さんです。沢田さんの梨農園は60年以上にわたり運営されていて、里見梨の中でも果肉がやわらかく甘みが強い「幸水(こうすい)」「豊水(ほうすい)」を中心に栽培しています。フルーツ街道では沢田さんの幸水・豊水どちらもすぐ完売するほど大人気で毎年2㌧も売れるのだそう。そんな話を聞いているうちに梨の栽培に興味を持ち、園に遊びに行ってはその様子をじっくり観察したり、知識を分けてもらったりしました。沢田さんが梨を育てる姿はまるで子どもを育てているようで、その姿がとても素敵だな、と思ったことをよく覚えています。
そんなある日、沢田さんからあるお話をいただきました。
二つ返事で「やります!」と答えました。
栽培知識ゼロのだーれにとってはハードルの高い梨農園の運営。ですが、これは農家の現状に本当の意味で向き合うチャンスであるということ、自分も「おいしい」を作る側に挑戦することで未来をかえるきっかけをつくれるのではないかとの確信があり、運営に挑戦することにしました。
そんな流れで、だーれのテーマである‟「おいしい」をつなぐ。未来がかわる。”の第一歩となる梨農園運営が2021年に始まりました。
子どもと同じく、1年中手間暇かかる梨の栽培
さて、井上農園を引き継ぐことになりましたが、栽培知識はゼロ。全く何もわかりません。沢田さんが梨栽培の師匠となってくださることになり、手とり足取り教えてもらいながら、梨の栽培がスタートしました。
果物によって栽培方法やかける手間暇はそれぞれですが、梨は収穫時期以外にも何かしらの作業が必要なため、1年中休むことなく手がかかる果物です。
これらの作業が怒涛のように続きます。全く目が離せないのです。まるで、子どものようです。(栽培の様子はまた記事にしたいと思います。)
でも、子どものように手間暇かけて育てた梨を食べて笑顔になるお客様のことを考えると、やはり嬉しくてたまりません。この気持ちはきっと、農家さんみんな同じなんだろうなと、農園に足を運ぶたびに考えています。「おいしい」を作る立場に挑戦してはじめて、農家さんの気持ちを深く理解できるようになりました。一歩ずつですが、‟「おいしい」をつなぐ。未来がかわる。”の実現に向かっているように感じています。
今後の梨農園の運営で実現したいこと
だーれの梨農園には色々なビジョンがあります。まずはもちろん、井上さんから引き継いだ梨農園の梨の品質を守り続けること。そして、私たちがつくった「おいしい梨」がより多くの人に届くよう、オンラインでの販売も開始します。そして、ゆくゆくは梨農園のすぐそばで、心が浄化されるような大自然の環境下でお食事が楽しめるカフェの運営や梨の収穫体験などができるイベントも計画しています。また、廃棄ゼロの取り組みとして、流通にのらない梨などの果物のアップサイクル事業もスタートします。
だーれの梨農園から「おいしい」がつながり、未来がかわるような様々な仕掛けを構想し実現させていきますので、みなさん、引き続き応援よろしくお願いします。