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2024/09/02 日経新聞 朝刊 個人的厳選4トピックス

[1面] 1.2億人の生体情報が標的
米中、モノ・データで威圧

米中対立による世界の分断が経済と安全保障を結びつける時代をもたらし、自由な世界経済秩序を守ることが日本の豊かさにつながる。健康アプリの普及と利用増加に伴い、個人情報の取引リスクが浮かび上がる。特に中国製アプリには軍事転用の懸念があり、ゲノムデータの収集や利用が国際競争に影響を与える可能性がある。日本は経済安保を重視し、中国からの依存をリスクとして捉えている。経済安保推進法の成立やサプライチェーンの多様化など、自由で公正な経済秩序の下での成長を模索している。経済活動の制約を最小限に抑える提言も行われ、経済的な威圧に対する耐性を高めつつ、国際協力を強化し、富国を目指す新たな経済安保時代が求められている。

コメの混乱招いた農政 供給抑制、猛暑で品薄に
米価維持優先に転機 意欲的な担い手確保課題

8月に入り、小売店でのコメやパックご飯の購入量が通常の1.5倍に増加した。この急増は南海トラフ地震への警戒や台風の影響で需要が高まり、一部地域では商品不足が生じている可能性もある。昨年の猛暑による高温障害でコメの収穫量が減少し、高温耐性品種の割合が低い状況が続いている。需要の増加とコメの減少により価格が上昇し、新米の価格も高騰している。農林水産省の政策も米価の安定を重視し、生産抑制策を取っているが、農家の所得向上と供給力の確保が必要とされている。需要が減少すれば生産も抑制され、日本の食料供給基盤が弱体化する可能性がある。異常気象や地政学リスクも影響し、世界的に食料価格が上昇している。コメ政策を見直し、農業の生産性向上や輸出拡大を図ることが重要である。

もう一つの円キャリー FXの「円高地雷」に注意

ここ数年の円安の背景には、海外投機筋の円キャリー取引があり、その巻き戻しにより円高が進んでいる。一方、日本の個人投資家もFXで円キャリーを増やす動きが見られ、これが将来の円高を促す可能性がある。過去1カ月半では円相場は下落傾向だが、FX投資家は逆張りの円売りに舵を切っている。円キャリー取引の増加により、円相場の動向が注目されており、円高が進行すればポジション解消が加速し、円相場上昇に拍車をかける恐れがある。特に、円高時にはロスカットが増加しやすいため、市場混乱時には地雷が爆発する可能性がある。日銀の利上げと米国の利下げが進む中、円相場の動向には不確実性があり、円売りポジションが拡大すれば注意が必要だ。FX投資家の逆張り戦略が円高を加速させるリスクもあるため、慎重な取引が求められている。

石油資源開発、化石燃料投資2倍に
30年までに4000億円 原油市況安定、EV鈍化

石油資源開発(JAPEX)は、2030年までに化石燃料開発に4000億円を投じる計画を発表。需要の堅調さから、化石燃料への注力を強化し、米国やノルウェー領北海での開発を拡大する。再生可能エネルギーの採算悪化や競争の激化を理由に、再生エネルギーの開発規模を縮小。太陽光やバイオマス発電の小規模開発に限定。産油国の協調減産やEV需要の減退を背景に、化石燃料へのシフトを進める方針。JAPEXは、ノルウェー領北海での開発強化のため石油・ガス開発会社への出資比率を引き上げる。石油需要のピーク到来が予測される中、JAPEXは化石燃料事業を基盤としつつ、脱炭素関連投資にも注力し、地下に二酸化炭素を貯留する取り組みを進める方針を示している。欧米のエネルギー大手も化石燃料への回帰を図る中、ESG投資は減速傾向にある。

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