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保育園は誰のため?保育の質とは


1,はじめに

保育園は誰のためでしょうか?
子どものため?保護者のため?
私が保育園に勤務していた際も
「保育園は親のための施設なんだから
 もっと融通してくれてもいいじゃないか」
「お金払ってるんだから・・・」
といった声を聞くこともありました。

そこには
保護者の考える保育の質
保育士が身に着けている保育の質
に大きな隔たりがあるように感じます。

2,保育の質とは?

最近読んだ慶応義塾大学の出した論文に
保育の質についてこう定義されています

保育を「公共的な性格」をもち、子どもの生活・発達への権利保障をするものととらえ る立場である。この立場では、保育者が専門性を発揮し、乳幼児期にふさわしい生活が保障 され、子ども一人ひとりの発育状況に応じて、子ども自身が主体的に遊び、遊びを通して学 び成長していくことを支える教育的営みが保育の「質」として問われる

保育の「質」は子どもの発達に影響するのか ―小規模保育園と中規模保育園の比較から―

二つ目は、保育を「私事」ととらえ、保育をサービスの一環としてとらえる立場で ある。ここでは、サービスの受け手・利用者の期待・要求をどれだけ満たしているかという点が、「質」として問われる。そして、サービスの受け手として想定されているのは、子ど もというよりは、親である。子どもの豊かな発達保障よりも、親のニーズを満たすことが保育の「質」の高低を意味し,「親による自由選択」「保育所間の自由競争」により保育の質を 維持できるとする市場原理的な立場である

保育の「質」は子どもの発達に影響するのか ―小規模保育園と中規模保育園の比較から―

とても正確な表現ですね。

これを読んで納得できるかは
保育に対する専門性も関連してきます。

3,親のニーズは子どもの幸せか?

これを読んで
「両方満たせばいいじゃないか」
と仰る方もいるでしょう。

ですが、これらは矛盾を孕む場合もあります。

保護者のニーズを満たすと自然と
駅近、長時間保育、病児保育、早期教育、自由登園

といったものが上げられます。

その場合に子どもにとってそれがよい環境とは
言えない場合が多いです。

駅近は、地価が高く狭い園舎、園庭なし、低い天井(音が反響しやすい)、
少ない部屋数、換気しづらい=感染症が流行しやすい

などのデメリットがあります。

長時間保育は、大人にとっての長時間労働と同義です。
子どもはただ遊んでいるのではなく、集団生活をしており、
疲れは溜まっていきます。

私見ですが、長時間保育のお子さんは情緒が乱れやすい傾向にもあります。

英語などの早期教育は将来的な効果が薄いことが
研究や調査などで報告されています。
反対に子どもの興味関心に合わせた主体的な遊び
その後の学習能力や学歴の高さに比例することが
統計上示唆されている研究があります。

などなど、親のニーズを叶えることが
必ずしも子どものためになるとは限らないのです。

4,時代の流れは?

しかし、保育園のおける主体が子どもだとしても
保育園を選ぶのが保護者である以上
保護者のニーズをより満たす園
が生き残る可能性が高いです。

現に駅近の園で定員割れするところは少ないようです。

保育の質よりも利便性

保護者に知識がなければより
その流れが強くなるのかもしれません。

保育業界に求められる課題は
いかに保育の質が重要であるか
早急に世間に広めていくことかもしれません。

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