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5月の犬

イチョウの赤ちゃん葉っぱ、

お久しぶりのコンビニアイスコーヒー、

手首の日焼け止め、

ツツジ、

ハナミズキ、

会いたいな。


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もう20年ほど前の、5月のある日。

その日は家族でよく知らない街の、知らないペットショップに行った。

なんで行ったんだろう?

「ペット飼おう!」と前々から家族で話していた訳でもないし、、チラシか何か見てかわいいね〜って、なんとなく行ってみたんだと思う。

犬や猫は好きだけど、我が家はペットを飼ったこともなかった。


1匹のシーズー犬に出会った。

その犬は売れ残っていたらしく、安売りされていた。(かわいそうに)

もう生後7ヶ月くらい。他の犬に比べて、身体は結構大きくなっていた。

毛も伸びまくって、もしゃもしゃのモップみたい。顔もよく見えない。

ショーケースから出してもらったそのモップ犬は、スーパーハイテンションで、床をバタバタ転げ回っていた。

たとえるならば、つかみ取りされたニジマス、持ち上げられたニワトリ、親戚の知らないおじさんに抱っこされた子ども。全身の筋肉を動かし、暴れまわっていた。いや、でもあれは嬉しかったんだと思う。ペットショップの床と爪がこすれてカチャカチャ音が響いていた。

飼うつもりなかったはずなのに、気が付いたら私たちは一緒に帰っていた。

ミスドの箱みたいな紙箱に入れられた犬。

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(今考えると、完全にアウトな買い方だ)


帰りの車内で、犬の名前を決めた。

5月にうちに来たから!という理由で、そのまんまな名前をつけた。

今までに何回、その名前を呼んだかなあ。


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もう君はこの世界にはいないのだけれど、5月が近づくと特に思い出す。

今朝通勤するときに、ハナミズキの花が上を向いてツンツン咲いていた。

道路脇の植え込みには、ツツジの花がふわふわ咲いていた。

白、赤、ピンク、うすピンク。

街がカラフルで可愛いなあ、いい季節になってきたな、

5月がやって来るな、と思ったと同時に、君の耳の毛の柔らかさが手のひらによみがえってきた。

ツツジのふわふわを見ただけで、私はずっとずっと死ぬまで、ふわふわを思い出して、愛しい気持ちになってしまうんだから、

犬はすごい。

犬は最強だ。



もうすぐ、来月のカレンダーをめくる。

今年も5月がやって来る。


週末は、ダスキンのモップを使って、スーパーハイテンションお掃除をしようかな。



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