音楽の強さ
高2最後の春休み終盤。SNSで繋がり、住みも年齢も近いという事から始まり連絡を取るようになった女の子が居た。そこから話は盛り上がり、カラオケに行くことになった。その子は可愛くて歌も上手くて聴き入ってると、「次、Saucy Dog一気に入れたよ!一緒に歌おう!」と言われた事からふと思い出し始めた。
私が今まで好きになった人は、音楽が多少なりとも好きな人達だった。特に邦楽ロック。サウシーだけは必ずと言ってもいい程聴いている人達だった。それに付け加えて、クリープハイプなどのさまざまなジャンルの曲を聴いていた覚えがある。
実の所、私はサウシーの曲を久しく聴けていない。気が向いたら聴くくらいに遠のいてしまっていた。理由は一つ一つの曲に色んな思い出が詰まっているからである。
私が寝る前に「魔法にかけられて」と「煙」を弾き語りをしてくれて、フェスに出ていた時の事を話した人。インスタのストーリーに音楽を載せていて、私の中でサウシーといえば君で、ライブに行ってみたいと電話や帰り道にお互い話をした人。
彼らと繋がりが切れたり、その人の事を考えて切なくなるようになってしまってからは、あんなに好きだったサウシーの曲が聴けなくなってしまっていた。
クリープハイプの曲だってそうだ。クリープハイプの中では「大丈夫」が好きだと教えてくれて、「一生に一度愛してるよ」をアカペラで歌ってくれた人。今になって考えてみると、なにが「一生に一度愛してるよ」だ。
それ以来その曲を聴くと、その人の事を思い出しながら聴くようになってしまうのだ。
やっぱり音楽の強さは凄いと思う。偉大だ。その曲を聴いただけで、歌詞を見ただけで、その時の思い出がすぐに蘇ってくるからだ。
だが、最近になって今まで聴けていなかった曲が少しずつ聴けるようになってきた。サウシーはもちろん、その時にずっと繰り返し聴いていた曲もやっと最後まで聴く事が出来るようになっていた。
今まで聴く事が出来なかった曲を少しずつでも聴けるようになっていったのならば、自分の中で気持ちの整理がついてきて、少しずつ想いが薄れていってるのであろう。でも決して嫌いになったとかどうでも良くなった訳ではないと私は考える。いい思い出として、幸せだった思い出として終わらせる事が着実に出来ているだけだと思う。
音楽を聴いて思い出したら、本気の恋だと私は思う。試着室なんかではない。音楽を、思い出の曲を聴いた時、そんなふとした瞬間に思い浮かべる人はやはり本当に好きな人で、好きだった人なのだ。
もう二度と逢う事のない人や元の関係に戻る事が出来ない人。自分にとって思い入れのある人が違う場所で私が勧めた曲を聴いて、その人も自分の事を少しでも思い出してくれていたら嬉しい。本望だ。
でも君はきっと忘れていると思うとちょっと切ない気持ちになってしまうのが常だ。
最後に。
私は幸せだった日々だけを思い出してしまうけど、後悔はないよ。
でも多分、君の事は今でも好きです。
それでも胸の中に大切に仕舞っておくね、ずっと。
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