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唯一無二の後輩

高校1年生にして初めて後輩という存在が出来た。確か、彼が中学3年生の高校受験真っ只中。出会いはインスタ。ストーリーで○○高校と出していたのがきっかけで話したような気がする。話を聞いてみると私が通っている高校を受験したと言っていた。それが彼との出会いだ。

最初の頃は、彼には彼女が居た。それもあってか私の事をとても警戒してるように見えたのを覚えている。私もそれに薄々気づいていたので執拗に話しかける事はしなかった。
だが、ひょんなことから意外と仲良くなり、いつの間にか通話もするような仲にまでなっていた。

ある時、彼から彼女と別れたというような報告を受けた。それから私は彼に彼女との事についてのアドバイスをするようになっていた。
度々来る連絡は全て彼女への積年の思いばかりだった。私は「大丈夫だよ。」などと慰めつつも、彼と話す回数が増えていくうちに彼の事が気になり始めて好きになってしまったのだ。
得意なスポーツに真剣で優しくて面白い彼の柔らかい性格に惹かれていってしまったのである。

私は罪悪感でいっぱいになった。それに加えて、これ以上彼女への真っ直ぐな思いを聞くのはごめんだという思いもあり、早々にこの気持ちを彼に伝えてもう話す事は出来ないと言おうと心に決めた。上手くいかない事はもともと分かっている。

勇気を出してそれを彼自身に伝えると「ありがとう。嬉しい。」などと言われ、曖昧な返事にされてしまった。違う、そうじゃない。そんな中途半端な回答をしないで欲しい。好きか好きじゃないのか、それとも普通なのかを答えて欲しかった。「分かんないや。」で済まさないで欲しかった。

私は人間関係において中途半端なのがとても嫌いだ。0か100の答えじゃないと気が済まない。中途半端な答えを出されてしまうと連絡手段を失くしたくなってしまうのだ。

私は彼のインスタをブロ解して一方的にお別れをした。でも結局出来なかった。彼に「なんでそんな事するの」と言われてしまい、繋がったままになってしまった。


それから月日は流れ、そんな事もあったなぁ、なんて思い出しながら彼から通話がかかってきて話をしていた。あんな事がありながらも彼は私と仲良くしてくれて、ちょくちょく話をしている。特に気まずくなる事もなく過ごしている。

今日の通話の内容は、彼が最近気になっているという女の子の話だ。度々話を聞いていて、写真や動画も見た事がある。とても可愛い女の子だった。

後輩の恋愛事情を聞けて、私なんかに話をしてくれて嬉しい。でもやっぱりたまに複雑な気持ちになる時があるのだ。私は彼への気持ちが叶わなかったから少し切なくなる。今は恋愛感情は一切なくて普通の友達だ。だけど彼から「今日一緒に帰った!」などの女の子の写真付きのLINEが来ると私も一緒に駅まで帰った事あったなぁ。などと思い出してしまうのが切ない。

私は今回もある決断をした。それは今日の通話でもう連絡をお互いするのを控えようというような提案をした。本命の女の子が居るのに、他の子と通話してるなんて相手の女の子に申し訳なくなるからだ。でもそんなのはただの言い訳であって、彼の気になっている女の子の相談に乗るのが少し悲しくなってきてしまったからだと思う。ごめんね。その旨を彼に伝えたが、未だ返事が返って来ない。

私にとっては初めて出来た後輩。勇気を出して想いを伝えたのも、下の名前で呼んでくれるようになった事も一緒に駅まで帰りながら途中コンビニに寄ってグミを食べた事、通話しながら途中寝てしまった事、テスト勉強を一緒にした事。他にも色々な思い出がある。とても楽しくて居心地が良かった。それをたまに思い出してしまうのは少し切ないけど、もし彼に気になる女の子や彼女が出来たらおめでとうと言おう、たくさん喜ぼうと思う。そう決めている。

高校生にして初めて仲良くなれた1個下の学年の子。ろくに活動していない部活に入り、交友関係の狭い私に出来た唯一無二の貴重な後輩というのが出来た。かなり大切な存在だ。きっと大人になってもこの事を思い出すのだろう。

楽しい時間を毎回ありがとう。君と話すのとても楽しかったよ。話す機会はますます減ると思うけど、こんな私をどうかこれからもよろしくね。


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