労働はアウトプットベースに(より)漸近する

こんにちは。珍しく連投です。
メディア運営をしていて感じることを書きます。

私がやっているメディア - 副業兼業ニュース
今一番フォーカスしているメディアは「副業兼業ニュース」です。名前の通り、副業・兼業を中心とした情報発信を、toB, toC, toG(政府)向けに行っています。人が、労働を通じた自己実現を達成し、本人の幸福感の向上と、社会の雇用の流動性の拡大と、国力の強化を目的としている実に真面目なメディアです。
(詳しい話はおいおい)

どうやっているか
チームは以下の通り。私は日次で1時間ほど使って運用しています。
1:編集長(私):ミッション定義、編成方針策定、予算管理
2:副編集長(社員):ライターさんの管理、納品管理、営業、広報
3:ライターさん(3名):決まったテーマ、決まった手順で記事を作成
4:アルバイトさん(2名):決まった作業を決まった手順で実施

業務と賃金の構造
業務は、編集長→副編集長→ライターさん・アルバイトさん という順に流れていきます。まず編集長が考えたことを副編集長ができる形に落とし、ライターさん・アルバイトさんに落としていきます。まあ、普通です。

業務の抽象度は編集長の段階が一番高く、ライターさん・アルバイトさんの作業はめちゃくちゃ具体的です。また業務の難易度も、編集長が一番複雑で、ライターさん・アルバイトさんの作業が簡単になるような設定をしています。賃金は、私はまだ事業が赤字のため手取り0でやっているのですが、社員の方が高く、ライターさん・アルバイトさんの給与は安く設定されています。

※私が優秀・高賃金でありご一緒いただいている方が優秀でない・安月給である、という意味ではありません。役割が違いますし、できることが違うので、それぞれやっていることと報酬が違います

構造の背景
個人のビジネス観ですが(例外も多数ありますが)、事業には、そのビジネス・時流にあった最大速度最大品質最小コストが存在すると考えています。実務家は、正しい時流の中で正しいビジネスを最大速度最大品質最小コストで推進できることが、スキルの1つとして必要だと思います。
(※例外は多数あると思います)

その中で、メディアビジネスをKPIに落とすと
・1円いただくには、〇PV必要
・〇PV稼ぐために、〇記事必要
・〇記事あたりの文字数はおおむね〇文字
・〇文字書くためのコストは〇円(文字単価〇円)
必然として文字単価を下げる施策は事業の生命線の1つになります。
(※例外は多数あると思います)

業務の型化と成果報酬
では、文字単価を安定的に下げるにはどうしたらよいでしょうか。一番の方法は「業務の型化」です。私が考える「型化」は、「誰でも同じやり方で同じアウトプットが出せること」を指します。型化のプロセスは、トヨタさんやリクルートさんが沢山本を書いているので、ぜひ読んでみてください。

単価を安定させるもう1つの方法は「成果報酬」です。要は、やったら報酬を支払う、やらなければ報酬を支払わない、というシンプルなルールです。これを社会に一般化させたのが「クラウドソーシング」でしょう。1件いくら、という成果報酬は、時給制度、または職能・職位に応じた給与・賞与をベースに考えられていた人件費構造を破壊しました。

破壊される労働の構造 - 代替されるクラウドワーカー
また、型化と成果報酬は、労働の形を壊しました。まずは、ライターさん・アルバイトさんの話。メリットとしては、彼らは場所や時間にとらわれず自由にやりたいことをある程度やりたいタイミングで行い、賃金を得ることに成功しました。これはある種の奴隷解放宣言と言えます。私はこれを実現せしめたクラウドソーシングの力を強く信じています。

弊害もあります。労働の性質として、型化が可能な状態ですので、きわめて代替が容易な存在になります。副業・内職としては非常によいと思いますが、生計を立てるのに適した仕事を探すことの困難さは残ります。加えて、ROIの最大化を目標としている性質上、実行の末端を担う仕事の賃金は逓減する定めにあります。既存の労働社会もその通りといえばそれまでですが、雇用者側として配慮すべき課題です。

破壊される労働の構造 - 代替者の影に追われるホワイトワーカー
次に社員の話。メリットとしては、面倒臭い実務を他の人がやってくれる、というのは大変心強いです。土日だろうが、風邪をひこうが、気づけば勝手に納品されている。おとぎ話の小人の靴屋のような世界です。加えて、実務に強くない社員が実務を倣い自らのスキルを高めていく好機・ライターさんやアルバイトさんの教育を通じて学ぶ好機でもあります。他者から学ぶことは実に多いものです。

デメリットもあります。一定の粒度まで実務に落ちてきている場合、自分の存在目的が「業務の型化」と「成果報酬労働者への委託業務」になってしまうことです。得手不得手や好き嫌いはありますが、これは精神的に辛い仕事です。極端な話、常に代替され続ける危機と向き合っているわけです。

向き不向きにあった、自分らしさを見つけられる仕事を
思えば産業革命以来、世界は型化されたアウトプットベースの仕事をどんどん再生産してきましたが、クラウドソーシングの黎明を機に、その傾向は加速の一途をたどっていると考えます(根拠はありません)。

また、明確ではなかった役割が、階層ごとに明確になることで、アウトプットとそれに沿った単価がより具体的に定義されていくことになります。アウトプットできる人間が早々と成果を手にする反面、そうでない人はいつまでもお金を手にできない、という社会が実現されていきます。

それがいい、悪いという二元論や感傷的な議論ではなく、その中で自分がどのポジションをとっていくのか?を問うていくとよいのではないでしょうか。

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