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桜咲かずに桜散る

日本中がWBCに沸き立っている中、そして、東日本大震災発生から12年を迎えようとしていたその前日、東京オリンピック2020でも活躍した、バレーボールの藤井直伸選手が31歳の若さで帰らぬ人となった。

藤井選手が自らの身体に起こっている状態を、世に公表してからちょうど一年が経過した頃の、突然の訃報だった。

とても愛くるしい顔をした、明るくてやさしい人柄が顔に滲み出ている選手だった。

WBCでオーストラリアに勝利した余韻の中、天国と地獄、世の中の不条理、色々な感情を突きつけられ、そこで向き合って折り合いをつけ、その理不尽さに堪え、暮らしている人がいるのだということを、また改めて痛感させられた。

目の不調がただごとではないと、もう少し何か違った形で早く気づけていたら、発見が早くどうにかなったかもしれないとも思うのだが、それでもそこに気づけなかったということは、きっともう彼の人生はそこである程度の方向が決まってしまったのではないかと、残念だがそう思えてならない。 

どんな最後であっても、やはり十分に生きたとは到底言えない、とても若い年齢で人生を終えるということ程、やりきれない、切ないものだが、それでも彼は様々な意味で輝きを放ち続けたまま逝ってしまった。 

こんなに早く逝ってしまう。それも人生なのだと辛くても思うしかないのだと、私はそう思ってこれからも生きていく。

こんなにも早く逝ってしまった藤井選手も辛いだろうが、見送る方も辛いのである。

会ったことなくたって、顔を知っていれば自然と情は湧いてくる。

なんとなく親しみを覚え、なんとなく知った気になってしまうのである。

それが表に立って活躍する人の宿命なのだと思う。

本当に残念でならないが、これも人生なのだと思うしかない。

ご家族の皆さん、チームメイトの皆さん、関係者の皆さん、彼と直接関わりのあった皆さんの心を思うと、外側からしか見ていなかった僕が、色々言えることではないが、時に世の中どうにもならないことがある。

僕が今、生きていることもどうしてなのかわからないし、藤井選手がいなくなってしまったこともどうしてなのかわからない。

そうやって納得の出来ない色んな思いを幾つも乗り越えて、人は生きていくしかないのである。

藤井選手にはいろいろ心配事もあっただろうけど、それは生きている人間が解決していくしかないのだから、何も心配せずおやすみください。

合掌。

        2023年3月14日・書き下ろし。

今日は第三水曜日だったので何も掲載しない予定でしたが、どうしても藤井選手の早すぎる死を書き残しておきたいと思い、掲載することにしました。

健康でなければ出来ない、スポーツという病気とは縁遠いところで力いっぱい、元気いっぱい華々しく活躍していた人だっただけに、彼の早すぎた死は思った以上に私に衝撃を与えた。






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