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"FRUIT BOWL"のリファレンス 2

"FRUIT BOWL"というZINEを作っていたのとき参考や影響を受けた本や作品の紹介第2段。1回目はこちらです。

Atelier HOKO / Science of the Secondary シリーズ

「Science of the Secondary (取るに足らない科学)」というシンガポールのデザインスタジオ、Atelier HOKOが発行しているZINE。日常のとるに足らないものやことを大真面目に「観察」しまくったブックレット。今シリーズ10まで出ているようですね。1冊目は「りんご」。りんごの持ち方、剥き方、かたち、、、普段無意識に見ているものをまじまじと見つめ直すことで見えてくる解像度の大切さ。デッサンをしたことがある人ならわかると思いますが、クリエイティブの基本中の基本「観察」とは何かということを教えてくれる本です。このシリーズはもう大好き。下記はディストリビューションをしているUTRECHTのサイトより引用。

”A for Apple”からはじまり(というよりなぜ”A for Apple”からはじまるのか?からはじまり)、りんごの色について、りんごの持ち方、齧り方、ハンドルとしての茎、完璧なりんごとは?などなど、文字通り様々な角度からりんごを考察した、まるまる一冊りんごの特集。

SNAP SHOTS (René Redzepi: A Work in Progress)

ご存知nomaのシェフ、レネ・レゼピの本、A Work in Progress。これはレシピ、レネ・レゼピの日記、スタッフと本人による日常や裏側のスナップショットの3冊セットになっており、ラバーバンド(デンマークではメジャーなものみたい)でまとめられています。日本語版はこちら。もちろん3冊まとめて見るとバランスよいのですが、特にこのスナップショット本が一番ライブ感にあふれている本です。僕たちのスタジオでも日々モックアップや模型を作っては壊し絶えず変化しているので、ちょっとした記録をしていると後々使えることがあるかも、、という気づきがありました。

WITHOUT THOUGHT シリーズ

深澤直人さんが行っている「without thought」というワークショップの記録本。フルーツボウルに限らずですが、下記の「without thought」を説明されるときに出てくる傘立ての話に特に影響を受けています。フルーツボウルを作る時、必要なのは果物をおいて置くことができるスペースや果物のための場所であって、フルーツボウルそのものではない。椅子を作るときに必要なのは椅子ではなく座るための場所で、照明を作る時に必要なのは行為や空間に相応しい光と影である、、、といった考え方はモダニズムの典型的な思考方法だと思いますが、僕は最初に触れたのは深澤直人さんのこの話でした。下記はここからの引用。読み返していないのでうろ覚えですが、著書デザインの輪郭にも書かれていた記憶があります。

「傘立てがなくて、たまたま床にはタイルが敷かれていて、その幅7ミリほどのタイルの目地に傘の先を当てて壁に立てかけるということは、きっとほとんどの人が無意識にする行為だと思う。(一部略) 幅7ミリほどの目地と同じような溝を玄関の隅に、壁から10センチほど離して、壁と平行に引けば、傘立てになると思った。訪れた客は傘立てらしきものが見当たらないので、その溝に傘の先を当てて立てるだろう。私は傘立てをデザインし、客は結果的に傘を立てるという目的を達したことになる。

本当はもっといっぱいあるんですがあとは秘密です。


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