ユーザ系SIerからアジャイルコーチになって分かったこと

はじめに

この記事はAgileJapanEXPOの Advent Calendar 2022 21日目の記事になります。
この度、有難いことに「アジャイル人財の育て方」というテーマで、AgileJapan2022の登壇機会をいただけました。
その記念もかねて表題の記事を書くことにします。
現場でエンジニアやっている人、私と似たようなキャリアを考えている人をターゲットに、少しでも参考になってもらえればいいなと思います。

簡単な自己紹介

株式会社マネジメントソリューションズにて、アジャイルコーチや研修講師をさせていただいています。
元々ユーザ系SIerで10年以上システムエンジニアをしていて、2022年3月に現職となりました。
私個人については、自己紹介記事をご参照いただければです。

ユーザ系SIerからアジャイルコーチになって分かったこと

既にAgileJapan2022の本番でお話したことも多いので、話をしていない範囲からピックします。
※念のため、ユーザ系SIerとは、特定の事業会社に子会社などの形でくっついてシステム開発業務を担うSIerのことです。私がいた会社もそれで、開発案件は全て親会社から流れてくる形でした。

給料は自然と沸いて出てくるものではないと知った

色々ありますが、一番大きかったのはこれです。
正直言いますと、SIer時代は真面目に働いていれば給料はもらえて当然と思っていました。
むしろ、勉強して技術的にできることが増えたり、社内の人脈が広がって調整できる範囲が増えたりしているのだから、給料上がってくれたらいいなーみたいな浅はかな考えすら持っていました(もともと給料は悪くなかったのですが)
それは、ウォーターフォールでなくアジャイルをやっていた時も一緒で、「私は開発側の立場にいながらPOと一緒に仕様を考えたりできている!ビジネス視点持ってるちゃんとしたアジャイラーだぜ!」みたいな気持ちが腹の底であったと思います。
ですが、コーチとして市場にでて、自分に値札をつけて売り、自分が提供した成果が対価に見合っているかお客様から常に判断される立場になったことで、今までどれだけ守られている世界で生きていたのかがとてもよく分かりました。
エンジニア時代は、合意した仕様通りに動作するソフトウェアを作ることができれば、自分の仕事としては成功でした。
一方、現状は、自分がコーチとして頼りなければ、どれだけ頑張っていたとしても切られてしまいます。つまり失敗です。
私が実装して納品したシステムを使ってビジネスを組み立てているユーザ側の方々は、言わずもがな後者の世界で戦っていたわけです。
自らの業務によって生み出した成果をお客様に認めてもらい、そこから対価を得ないことには個人も企業も継続できない。だから、限られた時間を使って何をするべきなのか、何をしたら良い成果(価値)につながるのかをちゃんと考える必要がある。
このあまりにも普通すぎる事実が、エンジニアでソースと向き合っている時には中々気づけない観点でした。

で、それが何か?

自分の仕事や、成果を考える時のマジ度、ジョジョ風に言うと「スゴ味」が全く違います。
自分の仕事に対して、どれだけ頭を使うことができたか、どうやったら高い成果を上げられたか、を一生懸命考えるようになります。
これだけ書くと大変なだけの苦行に見えそうですが、実際はそんなことはなく、仕事に対して見合った結果を得られた時には、これ以上ない喜びがあります。技術屋をやっている方でも、エンドユーザの方から直接的にポジティブなフィードバックをもらえたら嬉しいですよね?それと一緒です。
つまり、ビジネス視点を持って頑張ることはモチベーションに寄与するということです。
このマインドは、価値を生みだす成長するチームを作るために必要な要素だとしみじみ思いました。これぞアジャイルだなと。
作る人と考える人を明確に分けない。チームで考えて、チームで動いて、チームで成果を出すことが重要なのだ!

あなたの仕事はエンドユーザにどれだけの貢献ができていますか?

ということで、私自身に対しても、コーチ対象のチームに対しても、上記は問い続けていきたいと思います。
そんな小さな積み重ねが大きなソーシャルインパクトになると信じて!

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