見出し画像

Velvet Underground, the / The Velvet Underground and Nico

画像2
画像3
The Velvet Underground and Nico / 1967

2004年7月20日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================

このヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー・アルバムはキャッチーなポップ・センスとロック本来のもつ荒さ・危なさが見事に同居している途方もない名盤。

ある晩、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの演奏を目にしたアンディ・ウォーホルはバンドを気に入り、ウォーホルが企画していたイベントでの演奏を依頼する。

こうした縁から、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドはウォーホルのプロデュースの下で、と言ってもウォーホルが関与したのはレコーディング用の資金提供とジャケット・デザイン程度だが、アルバム・デビューを果たすことになる。

またウォーホルはアルバム・デビューを支援する条件として、当時昵懇だったドイツ人の美人モデル、ニコの参加を求め、ルー・リードを含むバンド側はそれを渋々受け入れることになる。

そんな訳で、正式なバンドメンバーではないニコが11曲中、4曲でヴォーカルを担当している。しかし結果的に気怠く透明感溢れるニコのヴォーカルはこのアルバムの魅力の一つになっている。

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが歌う内容は背徳的で反社会的なものが多く、それまでのロックでは考えられないスキャンダラスなテーマをストレートに表現している。

《Venus in Furs》ではサド・マゾ、《I'm Waiting for the Man》ではゲイの生活、《The Black Angel's Death Song》では黙示録的世界、《Run Run Run》ではオーバードース、《Heroin》では気怠い声で、そのものズバリ、ヘロインについて歌われている。多分この曲は放送コードに引っかかり、オンエアー出来ないだろう。

ニコが歌う曲はメロディアスでキャッチーなポップ調だが、ルー・リードの歌う曲はシンプルな骨太ロック調で、同じリズムやメロディ、フレーズが呪文のように繰り返される。そこに絡むのが、触れれば棘がささりそうなルー・リードの歪んだギターと人の神経を逆撫でするようにキリキリ唸るジョン・ケイルのヴァイオリン。

ニコが歌う曲とのコントラストで、ルー・リードが歌う曲は更にドス黒く、荒廃的なものとして聴こえる。この辺りの予期せぬ効果(?)は”怪我の功名”とでも言うべきか。

アルバムの最後を飾る、約7分に及ぶノイジーな《European Son》はその後のパンクやグランジ、オルタナティヴ系の原型のような曲だ。

ヴァニラ・ファッジと同じコメントになるが、ポップでシンプルなジャケット・デザインも含めて彼らのデビュー作であるこのアルバムは最高の出来。これぞ当時のニューヨーク・ロックシーンを代表するバンドの名作と言える。

60年代後半は、ジャズも含めて、新たなサウンドが擡頭してきた時期。もしタイムマシンが発明されたら、この頃のニューヨークへタイム・スリップして、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドを生で聴いてみたい。

おまけ:バンド名の由来
マイケル・リー著の性的倒錯に関するノンフィクション作品「The Velvet Underground」(1963年)から。

画像3

And More...

画像4
White Light / White Heat

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?