見出し画像

妄想: キーボードのカスタマイズとニッチ市場での販売について

2001年7月24日に他のサイトへ掲載した原稿を加筆修正しました。==================================

私が初めて手動式タイプライターを使ったのは1984年7月頃だったと思います。

当時の私はパリ第1大学パンテオン・ソルボンヌ校で、日本の大学では卒論に該当する論文作りに四苦八苦していました。

多分、その頃の日本の大学の卒論のボリュームは原稿用紙・XX枚みたいな具合に定められていたのではないでしょうか? 原稿用紙で提出するのですから、当然手書きですね。

私が在籍していた大学の学部では、A4サイズ紙片面を使用、右端に約5cmの余白を残して本文は25行、そしてページ数は参考文献ページを除いて90〜120ページまでと決められていました。そして論文の提出形態はタイプライターで清書したA4サイズ紙を製本したものと決まっていました。

手書きの原稿をタイプで清書するには、プロのタイピストに依頼するか、当然有料で結構高かった、または自分でタイプするか、方法はどちらかしかありませんでした。

慢性的な金欠病に苦しんでいた私は、背に腹はかえられず、論文を仕上げるため、安い中古の手動式タイプライターとタイピングの教本を手に入れ、ブラインドタッチの習得に勤しむことになりました。

タイプライターはこんな感じの伊・Olivetti社製のポータブルタイプでした。

画像2

タイプライター(英語: typewriter):文字盤を打鍵することで活字を紙に打ち付け、文字を印字する機械。筆記業務の高速化、各種原稿の清書といった目的で使用され、カーボン紙を挟んで複数枚の紙に同時に印字することで文書の複写もできたことから、会社での事務や個人の文章作成など 幅広く使われた。
タイピスト:タイプライターが普及するとタイプライターで清書を作成するタイピスト (typist) と呼ばれる職業が誕生した。小規模の事務所や会社ではしばしば秘書がタイピストを兼任したが、需要の増大に伴い専業のタイピストを養成する学校も登場した。20世紀中頃にはタイピストは秘書や交換手同様に女性の代表的な職業となり、女性の社会進出に貢献した。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

しかし手動式タイプライターというのが曲者で、キーを打つには”指圧力”が必要です。常日頃あまり使わず、力の弱い小指と薬指がとても疲れます。腱鞘炎がタイピストの職業病の一つだということを後に知るのですが、これにはすごく納得しました。

手動式タイプライターの基本動作:アーム(またはハンマー、タイプバー)と呼ばれる、先端部に活字が付いている部品が、機構を介してキーに直結している。印字したい用紙を、ローラーにセットする。任意のキーを押下すると、梃子の原理でアームの先の部分が、インクリボンと呼ばれるインクを染み込ませた帯の上から、ローラーに固定された紙を瞬間的に叩きつける。その際、アームの先端についている活字の形でインクが紙に染み込むため、結果的に印字が成される。押下したキーから指を離すと、アームが元の位置に戻るのと同時に、紙をセットしているローラー部分が活字1文字ぶん左にずれる。このため、いわゆる「キータッチ」はコンピュータのキーボードに比べると、大変重い。
これを繰り返し、印字部分がある程度右側に近づくと改行を促す意味で「チーン」とベルが鳴り、利用者に知らせる仕組みになっている。打鍵したい単語が右側部分に収まりそうにないと判断した場合は、ローラー部分に付いている改行レバーを掴んで印字位置を左側まで戻してやる。これを繰り返す事で、用紙を文字で埋めていく。
アームの先端には、2種類の活字が刻印されている。大文字と小文字・あるいは数字と記号(引用符や感嘆符など)が刻まれているが、これらの印字の切替はシフトキーを押下しながらタイプすることで実現する。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

画像1

話が長くなりましたが、本題はここからです。

1992年9月にフランスから日本へ戻ってからはタイプライターを使うことはなくなり、ワープロを使い始めました。しかしそのワープロも3年後の1995年11月に発売されたWindows 95の爆発的な普及により、瞬く間にパソコンに駆逐されました。

そして数年が経過した或る日、友人と酒を飲みながらタイプライターやワープロ、パソコンについて話していると、話題は使い易いキーボードの性能などの話に及びました。そして手動式タイプライターの難儀さ、特にあまり使うことのない左手・小指に力が入らず、苦労した事を話していた時、ふとピン!ときました。

左手・小指です。

日本には左手・小指が極端に短い人々が、都合により自分で左手・小指の一関節分をちょん切った人々が、一定数います。

このご時世、その道を極めた方々も、IT化の波を避けて生きることは出来ないでしょう。肉体派的特攻論だけでは新規ビジネスの発展は難しい時勢ですし、意外と(失礼)時流に敏感な方々が多いだけに、パソコンを使うことに抵抗はないはずです。既に非常に特殊な商品群を会員制でネット販売しているかもしれません。

しかしパソコンのキーボードを操作する上で、極端に短い左手・小指は大きなハンディキャップです。左手・小指が短かったなら、左側端に並ぶタブキーなどや頻繁に使うAのキーは非常に使いにくいはずです。

そんな悩みを解消するために、スペースバーを二分割し、その左側をQAZキーに三分割し、左手・小指の代わりに左手・親指で操作できるようにカスタマイズされたキーボード “極ボード” と付録ソフト “極ブラインドタッチ” を開発して、セットで売り出すのは如何でしょうか? それは人間”指先”工学の粋を集めたものです。

あちら側の世界は完璧なトップダウン型のタテ社会ですから、トップが納得すれば、それこそ完璧な市場独占も不可能ではありません。残り少ないニッチ市場を狙い、そこを一気に制圧するわけです。

しかし大きな問題が残っていることに気付きました。誰がどのようにアポを取って営業に行くのか? それとも飛び込み営業?

おのれ、なに考えとんのじゃ〜!
ナメとんのかぁ〜!

そんな怒声が聞こえてきそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?